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「ERAB」を3分解説!

エネルギーを束ねてコントロールするビジネスモデル

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第22回のテーマは「ERAB(イーラブ)」。VPPやDRを用いた新しいエネルギービジネスとはどのようなものなのか。最低限知っておきたい「ERAB」のポイントを解説します。

ERABは、小さなエネルギーリソースを束ねる新たなビジネスの形

ERABは、「Energy Resource Aggregation Business(エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス)」の略称です。

アグリゲーションは集める、集約するという意味で、エネルギー・リソース・アグリゲーションは工場や家庭など(需要家)が保有するエネルギー機器と電力の消費量をエネルギーリソース(資源)として束ねることを指します。

電力会社などの供給側で再生可能エネルギーの導入が普及すると同時に、需要側でも太陽光発電やコージェネレーションシステム(電気と熱を生むエネルギー供給システム)、蓄電池、電気自動車、ネガワット(節電した電力)といったエネルギーリソースが普及しています。

これら各需要家に分散しているエネルギーリソースは、単体では小規模ですが、地域などで束ねると一つの発電所のように機能させることができます。

集約することで電力の需給バランス調整や再生可能エネルギーの活用促進、災害時のレジリエンス向上などに貢献できるため、新たなビジネスとして期待されているのです。

VPPとDRを用いたエネルギーサービス

需要家側エネルギーリソース(DSR ※1)や分散型エネルギーリソース(DER ※2)を統合制御してサービスを提供する事業者を、「アグリゲーター」(リソースアグリゲーター、アグリゲーションコーディネーター)と言います。

※1 DSR(Demand Side Resources:需要家側エネルギーリソース):需要家の受電点より下流側に接続されているエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)の総称
※2 DER(Distributed Energy Resources:分散型エネルギーリソース):DSRに加えて、配電線など(電力系統)に直接接続されている発電設備、蓄電設備の総称

アグリゲーターはサービスを提供するために、大きく分けて「VPP」(Virtual Power Plant:バーチャルパワープラント)と「DR」(Demand Response:デマンドレスポンス)の2つの方法を用います。

VPPは、IoTを活用した高度なエネルギーマネジメント技術で分散型エネルギーリソースを遠隔で統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みです。

DRは、需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、エネルギーリソースを制御することで、全体の電力の需給バランスを調整する仕組みです。

経産省が推進するアグリゲーションビジネスの今

日本では2016年1月に、経済産業省が「ERAB検討会」を設置し、同検討会と連携して産学主体でアグリゲーションビジネスを推進する「ERABフォーラム」も設立されました。

ERAB検討会では、アグリゲーションビジネスに関する課題や要望を抽出しており、例えばDSRやDERの参入拡大に向けた環境整備として、関連する電力市場の設計見直しや制度整理を行っています。

一方のERABフォーラムは、企業のアグリゲーションビジネスに対する理解促進に主眼を置いており、今後はその軸足を企業トップ層から実務者レベルへ移す予定です。

2022年4月から導入されたFIP制度を機に、アグリゲーションビジネスの普及、拡大が期待されています。

FIP制度と同時に「特定卸供給事業(アグリゲーターライセンス)制度」もスタートし、登録事業者(アグリゲーター)が今後経済産業省のWEBサイトで公表されることとなります。

社会全体で電力を効率よく利用するために、工場やオフィス、家庭などのエネルギーリソースの活用方法が変わりつつあります。

参考:
・経済産業省 資源エネルギー庁『エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスハンドブック
・経済産業省『エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス検討会
・早稲田大学『エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネス・フォーラム

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