2022.8.23
「エネルギーミックス」を3分解説!
一次エネルギー供給の組み合わせ
エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第25回のテーマは「エネルギーミックス」。最低限知っておきたい「エネルギーミックス」のポイントを解説します。
INDEX
エネルギーミックスとは一次エネルギー供給の組み合わせ
エネルギーミックスとは、エネルギーの需要を満たすために利用されるさまざまな一次エネルギーを組み合わせた供給源(一次エネルギー供給構成)のことです。
一次エネルギーとは、石油や石炭、天然ガス、水力、原子力、太陽光、風力など天然資源から得られるエネルギーを指します。
なお、一次エネルギーを転換・加工して得られるもの(例えば、電気や石油製品、都市ガス、水素、コークスなど)を二次エネルギーと言います。
国際エネルギー機関(International Energy Agency。以下、IEA)の発表によれば、2020年における世界のエネルギーミックスは、石油が29%、天然ガスが24%、石炭が27%、原子力が5%、水力を含む再生可能エネルギーが15%という構成でした。
一方、同年の日本は、石油が38%、天然ガスが24%、石炭が27%、原子力が3%、水力を含む再生可能エネルギーが8%という構成です。
各国のエネルギーミックスは、その国のエネルギー資源賦存量(ふぞんりょう。理論上に導き出されたエネルギー資源の総量)やインフラの整備状況などからの影響も受けますが、世界と日本のいずれも、一次エネルギー供給で見ると、化石燃料の割合が高いことが分かります。
●世界と日本のエネルギーミックス
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※出典:IEA「World Energy Balances 2022」より
これは、発電の燃料としてだけでなく、産業や運輸などにおいて、化石燃料が重要なエネルギー源として利用されているためです。
「エネルギーミックス」とは、前述のとおりエネルギーの需要を満たすために利用されるさまざまな一次エネルギー供給源の組み合わせ(一次エネルギー供給構成)を指し、国の全ての需要におけるエネルギー源の割合を示します。
「電源構成」とは、エネルギーミックスの中の電力の部分を指し、電気をつくるための一次エネルギー供給源である火力や太陽光、原子力といった発電技術の割合を示します。
社会全体で脱炭素化を図るためには、電源構成の脱炭素化のみならず、エネルギーミックス全体を考慮した、産業や運輸など排出削減が難しい業界の低炭素化が重要なのです。
日本が目指す将来のエネルギーミックスと電源構成
2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年度における日本のエネルギーミックスが示されました。
内訳は、石油等が31%程度、再生可能エネルギーが22~23%程度、天然ガスが18%程度、石炭が19%程度、原子力が9~10%程度、水素・アンモニアが1%程度と見込まれています。
日本は、2030年度までに温室効果ガス(GHG)を2013年度比で46%削減という高い目標を掲げています。
この目標達成に向けて、再生可能エネルギーや原子力に加え、水素やアンモニアといった非化石エネルギーの拡大が期待されています。
ただし需要面では、エネルギーを生み出すシステムを低炭素化していくために、あらゆる分野で最大限に省エネルギー化が図られることが大前提となっていることを忘れてはいけません。
なお、2030年度の電源構成は、石油等が2%、天然ガスが20%、石炭が19%、原子力が20~22%、再生可能エネルギーが36~38%、水素・アンモニアが1%程度です。
発電部門は脱炭素化を進めやすく、再生可能エネルギーの拡大がその中心を担っています。
●日本が掲げる2030年度のエネルギーミックスと電源構成の目標
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※出典:経済産業省「第6次エネルギー基本計画」より
世界が見据えるエネルギーミックスとカーボンニュートラル
IEAの「World Energy Outlook」2021年版では、2050年に世界がネットゼロを達成するためのシナリオ(Net-Zero Emissions by 2050 Scenario。以下、NZE )について分析されています。
NZEが見込んでいる2050年の世界のエネルギーミックスは、石油が8%、天然ガスが11%(内CCUS付き天然ガスが8%)、石炭が4%(内CCUS付き石炭が3%)、原子力が11%、再生可能エネルギーが67%です。
一方、各国が表明済みの具体的政策を反映したシナリオ(Stated Policies Scenario。以下、STEPS)では、石油が27%、天然ガスが23%、石炭が16%、原子力が5%、再生可能エネルギーが26%、伝統的バイオマスが2%となっており、2020年時点から化石燃料の割合は低減するものの、依然として6割以上が化石燃料由来となっています。
●NZEとSTEPS の比較
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※出典:IEA「World Energy Outlook 2021」より
NZEとSTEPSを比較すると、カーボンニュートラルを達成するためには世界全体でエネルギーの供給構造を大きく変化させなければならないことが分かります。
また、化石燃料についても、NZEではCCUS付き天然ガスや石炭の割合の増加が見込まれています。
現在、研究開発が進められている新たな技術について、コスト低減を含めた実用化が一層期待されるところです。
日本をはじめ、多くの国がカーボンニュートラルの目標を掲げていますが、そのゴールにたどり着く道筋は多様であるべきです。
カーボンニュートラル達成には、一つのエネルギー源に依存せず、バランスの取れたエネルギーミックスを達成することも重要なカギとなります。
参考:
・経済産業省「第6次エネルギー基本計画」
・IEA, “World Energy Outlook 2021”
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