2023.7.31
「デマンドレスポンス(DR)」を3分解説!
電力の使用者側が使用量や使用時間帯を制御して、電力需給バランスを調整する仕組み
エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「デマンドレスポンス(DR)」。電力の需給バランスの調整に貢献する仕組みとはどのようなものなのか。最低限知っておきたい「デマンドレスポンス」のポイントを解説します。
INDEX
需要家が持つエネルギーリソースによって、電力使用パターンを変化させる
DRは「デマンドレスポンス(Demand Response)」の頭文字を取ったもので、電力の使用者(需要家)側のエネルギーリソース(発電設備、蓄電設備、需要設備)を制御して電力需要パターンを変化させ、需給バランスを調整する仕組みです。
小売電気事業者がデマンドレスポンスの契約を締結する需要家側に電力使用パターンの変化を促し、需要家側はその分の対価を受け取ることができます。
電気は大量に貯蔵することが困難であるため、電力系統は、需要(使用量)と供給(発電量)が常に同じになるように調整されています。
これまでは需要に合わせて供給を調整していましたが、デマンドレスポンスでは供給に合わせて需要を調整します。
デマンドレスポンスは、電力系統に接続された再生可能エネルギー発電のほか、家庭や事業所に設置された太陽光発電設備や電気自動車(EV)、給湯機器(エコキュート)や空調といった分散型エネルギーリソース(DER)の活用方法の一つです。
需要を増やす・減らすデマンドレスポンス
デマンドレスポンスには、需要を増やす「上げDR」と需要を減らす「下げDR」があります。
上げDRは、デマンドレスポンスによって電力需要を増やします。例えば、需要家側の機器を稼働したり、蓄電池を充電したりすることで、再生可能エネルギーの余剰電力を消費・吸収することを指します。
下げDRは、デマンドレスポンスによって電気の需要を減らします。例えば、空調や照明、また工場などの生産設備の稼働を調整・停止することで、電力需要のピーク時に需要を減らします。
上げDRで挙げた蓄電池は下げDRにも関係しており、下げDRが依頼された時間帯に蓄電池が放電した電気を利用することで、需要家は契約先の小売電気事業者から供給される電力を削減できます。
制御方法で区別されるデマンドレスポンスの種類
また、デマンドレスポンスは、需要制御の方法によって、「電気料金型DR」と「インセンティブ型DR」に分けられます。
電気料金型DRは、例えば需要ピーク時に料金を値上げするといった時間帯別の電気料金を小売電気事業者が設定し、家庭や事業者に電力需要の抑制や増加を促す仕組みです。
これは大多数に適用が可能である一方、どれだけの需要家が実際に電力を抑制したのか、デマンドレスポンスの効果が現れるか分からない面もあります。
インセンティブ型DRは、需要家が小売電気事業者との間であらかじめ契約を結び、小売電気事業者からの依頼に応じてデマンドレスポンスを実施、その対価としてインセンティブ(ポイントなど)が需要家に支払われる仕組みです。
これは契約に基づくデマンドレスポンスとなるため効果が確実となる一方、実施には手間がかかり、多くの需要家への適用が難しい面もあります。なお、インセンティブ型DRの下げDRのことを、「ネガワット取引」とも呼びます。
DERの活用方法としても注目されるデマンドレスポンス。デマンドレスポンスによって、電力需給のバランスを改善して電力の同時同量を確保し、また導入拡大が進む再生可能エネルギーによる電力を有効に活用することが期待されます。
参考:
・経済産業省『ディマンド・リスポンスってなに?』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/dr/dr.html
・経済産業省『バーチャルパワープラント・ディマンドリスポンスについて』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/advanced_systems/vpp_dr/index.html
・経済産業省『ディマンド・リスポンス(DR)実施事業者一覧』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electricity_measures/dr/list.html
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