2024.3.15
自国で賄うエネルギーの割合とは?「エネルギー自給率」を3分解説!
一次エネルギーのうち輸入に頼らず自国の生産で賄う割合
エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「エネルギー自給率」。日本はどれくらいエネルギーを自国で賄えているのか。最低限知っておきたい「エネルギー自給率」のポイントを解説します。
自国の生産だけで賄う一次エネルギーの割合
エネルギー自給率とは、一国の社会経済活動のために必要とされる一次エネルギー(自然界に存在し、転換・加工されていないエネルギー)のうち、輸入に頼らず自国の生産で賄っている割合のことを指します。
日本は、1960年代までは一次エネルギーとして国産の石炭や水力を活用していました。
その後、国産石炭が価格競争力を失う中で、使い勝手がよく安価な石油が一次エネルギー供給の大部分を占めるようになります。
下図に示すように、1960年時点では58%だった自給率は、1973年に9%まで下落しました。
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日本のエネルギー自給率の推移(1960~2022年)
出典:IEA, World Energy Balances 2023
近年、原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの導入進展によって、日本のエネルギー自給率は13.3%まで回復しましたが、他国と比較すると依然として低い水準にあります。
非常に低い日本のエネルギー自給率
他国のエネルギー自給率と比べると、日本はG7の中で最も低く、OECD加盟国38カ国の中でも下から2番目という順位です(最も低いのはルクセンブルク)。
エネルギー自給率が低いことは、海外からの輸入に依存していることを意味します。
日本の一次エネルギー供給に占める化石燃料の割合は87%(IEA、2022年発表)ですが、国内に石油や天然ガス、石炭といった資源が乏しく、ほぼ全量を輸入しています。
日本の化石燃料の自給率は、天然ガスが2%、石油と石炭が0%(IEA、2022年発表)です。
輸入に依存することは、例えばエネルギー供給国や地域での紛争、供給ルートの途絶、輸出関連施設での事故や故障など、海外で何か起きたときの影響を受けやすくなります。
1970年代の2度の石油危機(オイルショック)を受けて、日本はエネルギー源の多様化、そして調達先の多角化を進めてきました。
その結果、原油輸入の中東依存度は一時低下しましたが、2022年には94.9%(IEA発表)と再び高くなっています。
エネルギーセキュリティの確保のために
エネルギー自給率の向上は、日本のエネルギー政策の柱の一つである「エネルギーの安定供給(エネルギーセキュリティ)」の確保に大きく関係します。
日本はこれまで、省エネルギーや国産エネルギーの利用拡大、エネルギー供給の多様化といった取り組みを行ってきました。
脱炭素化に向けた取り組みを進める中でも、エネルギーセキュリティは引き続き重要な視点です。
2023年は、第一次石油危機の発生から50年となる節目の年でした。
ロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー情勢、そして脱炭素化に向けた動きを踏まえ、エネルギー自給率の低い日本がエネルギーにどう取り組むべきか、考えるタイミングに来ています。
参考:
・小山堅編『エネルギー業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書』
・International Energy Agency, “World Energy Balances 2023”
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