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日本の空港初!自律走行可能な警備ロボットが成田空港で本格運用スタート

人とロボットの融合で、労働者不足解消&効率的な警備の実現へ

ラグビーワールドカップ2019日本大会に五輪の東京大会、ワールドマスターズゲームズ2021関西、大阪・関西万博など、国際的な大型イベントを数多く控える日本。外国人観光客のさらなる増加にも対応するには、安全で秩序だった空港運営が不可欠だ。今回、成田国際空港(以下、成田空港)で運用が開始されたのは、労働者不足を解消しつつ、警備の効率化を図るセコムのセキュリティロボット。空港の安全を守り、世界に日本のハイテク技術をPRできる次世代の取り組みを紹介する。

世界でも珍しい空港警備ロボットの成功例となるか?

日本の空の玄関口・成田空港は、100を超える海外の都市とを結ぶ巨大空港だ。2018年の旅客数は約4260万人。ここ5年で約720万人増加している。

ことしに入ってからも、1~4月の同数字は前年同月比約105%で推移。9月にラグビーワールドカップ2019日本大会が開催されることもあり、今後さらに利用者数が伸びることも想定されている。

当然、利用者急増によって施設運営の難易度は上がり、より高レベルなセキュリティ体制が必要となる。2020年の五輪東京大会に向け、世界からも注目が集まるところだろう。

年々増加する旅客者に対しての安全対策は急務。海外では空港がテロの対象になることもあり、日本も例外ではない

一方、高齢化社会が進む日本では、労働者不足が叫ばれて久しい。中でも空港や駅などの安全を守る警備業においては、有効求人倍率が約9倍(2019年1月、厚生労働省「一般職業紹介状況」)を記録するなど、圧倒的な人手不足が問題となっている。

しかし、警備業界も人手不足をただ嘆いていたわけではない。業界最大手のセコムは、約20年前から警備ロボットの開発に着手。2005年には屋外巡回監視ロボット“セコムロボットX”を販売し、人に代わっての巡回警備などを行ってきた。

また、ことしの1~2月には、東京都が行った「都営地下鉄施設内における案内・警備ロボット実証実験」に、セコムロボットXの後継機種“X2”を投入。これは、2020年までに社会実装が見込まれるロボットについて、実証実験を通して活用の可能性や課題等を検証したもの。都営新宿線馬喰横山駅のコンコースでさまざまな試験を実施し、今後の活躍に向けて弾みをつけた。

※駅の業務においてロボットとAIを有効活用しようとする動きに関する記事はこちら

馬喰横山駅でのセコムロボットX2実証実験の様子。このほか、都営大江戸線上野御徒町駅や都庁前駅などでは案内型ロボットの実証実験も行われた

そして、この6月から成田空港で本格的に導入されたのが、先の実証実験でも使用されたセコムロボットX2だ。2018年4月から12月まで同空港での実証実験が繰り返され、今回の実用化に至ったという。

日本の空港において初めて導入される警備ロボットとなるのだが、実は世界でもあまり前例がないということをご存じだろうか? 2016年に中国の深圳空港、2018年にアメリカのラガーディア空港で導入された例はあるものの、空港を警備するロボットはまだまだ発展途上の分野。それだけに、今回、成田空港に導入された同機にかかる期待は大きい。

通常は時速4km程度で、敷地内の決められた巡回ルートを自律走行(最大時速10km)。レーザーセンサーにより自らの位置を特定することが可能で、搭載した全方位カメラを使い画像監視を行うという。

あらかじめ決められたコースを自律走行することが可能。障害物を自動的に避けることもできる。安全やセキュリティを連想させる赤色のボディが目印だ

なお、サイズは幅840×奥行1120×高さ1225(mm)、重さ約230kgと、ホームセンターなどで見かける大型のショッピングカートとほぼ同じ大きさで、全長1200mmのアームを備えている点が特徴だ。アームには金属探知機や熱画像センサーなどが装着・内蔵されており、ゴミ箱内の点検やルート上に置かれた放置物などをチェックすることができる。

これは、海外で多発する爆破テロへの警戒から。人間の目では分からない放置物内部の温度や金属の有無をチェックすることができるため、警備の効率と正確性が向上するとのこと。

また、巡回警備のほか、動かずに監視・警戒にあたる立哨(りっしょう)警備により立入禁止エリアに人が近づいてくると、警告音を出して注意を与えるという。さらに、ロボットにはマイクとスピーカーが内蔵されているため、管制員との遠隔通話も可能だ。

セコムロボットX2の業務例。バッテリーが少なくなると充電ポートに戻る自動充電機能も備えられている

現在は、成田空港の第1・第2ターミナルにそれぞれ1台ずつ導入されているセコムロボットX2。10月からは各ターミナルで2台ずつになる予定で、空港内の自律走行型警備ロボットとしては世界最多になる見込みだ。

空港利用者から注目を集めるカラフルな赤いロボットは、世界の警備業関係者からも熱い視線と期待が寄せられているのかもしれない。

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