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非接触でウイルス対策にも最適! 世界中に広がるロボットの自律配送サービス

賢さの秘密は下準備にアリ! 毎日のアップデートで街の変化にも対応する優れもの

インターネットの普及により、オンラインでの物品購入が日常になった現代社会。それに伴って爆発的に増加した物流を支える宅配業界に、ロボットによる自律配送の新風が吹き荒れている。アメリカに本社を構えるStarship Technologies(以下、スターシップ社)が手がけるのは、配送に特化した6輪ロボット。人の手を介さずに受け取り主に届けることから、新型コロナウイルス禍に揺れる中でも高い需要と注目を集めているという。なぜ自律配送できるのか、そのシステムを解明する。

外出制限により改めて注目されるきっかけに

「はんこかサインいただけますか?」

近い将来、このセリフを聞くことはなくなるのかもしれない──。

新型コロナウイルスの感染拡大により、社会生活においてさまざまな変革が進む日本。時差出勤が推奨され、オフィスを離れてテレワークで働く人たちが急増中だ。

そうした中、宅配業界にも変革の波が訪れている。

業界大手のヤマト運輸では、3月3日から非対面による荷物の受け渡しを開始。インターホン越しに配達員へリクエストすれば、サインレスで玄関前などに置くことで配達完了となる。

また、外出自粛によりその需要が一気に高まった飲食宅配業界においても、この「置き配」がスタンダードになりつつある。以前から非接触デリバリーを行っていた出前館に加え、3月20日からUber Eatsでも置き配が選択できるようになったのだ。

注文者と配達員との不要な接触を避けるこれらの取り組みだが、海外に目を向けるとさらに先進的な取り組みが見られるという。

その筆頭と呼べるのが、スターシップ社が展開する自律運行型の配送ロボットだ。

アメリカ・カリフォルニア州サニーベールの街を走るスターシップ社のロボット。信号を守り、障害物を避けながら進む

2014年にSkypeの共同創業者2名によって立ち上げられた同社が提供するのは、ロボットを使った食べ物や日用品のデリバリー。

すでにアメリカやイギリス、ドイツなど5か国で運用されており、その配送地域は大学のキャンパス内サービスを含めて100を超える。

ことしの3月以降、米国ワシントンDCやカリフォルニア州のアーバイン、アリゾナ州のテンペなど、そのエリアを次々と拡大中。新型コロナウイルス感染拡大による外出制限が続く中、ロボットによる非接触配送は合理的だと、改めて注目の的になっているという。

地道な準備とテクノロジーの融合

配送の主役は、どこか愛らしい姿の6輪ロボット。

約10kgまでの荷物が積載可能で、最高時速は約6km。雨や雪の日、夜間でも自律走行が可能で、3マイル(約4.8km)以内の配送を基本としている。

運送にかかる費用は、1回につき1~2USドル(日本円にして約106~213円、5月1日現在)。注文者の元に届いたらスマートフォンを介してロックを解除する仕組みで、それ以外の動作で開けようとすると警告音が鳴るように設定されている。

コーヒーやピザなどのほか、バナナや牛乳を頼む人が多いのだとか。2019年8月の段階で、10万回以上の配達実績がある

ロボットには10台のカメラが搭載されており、撮影された映像は常にスターシップ社によるチェックが行われている。しかし、遠隔操作しているわけではなく、万が一のトラブルに備える意味での監視だという。

自律運行の秘密は、事前の入念な準備と実装後のアップデートによるところが大きい。

まず同社が行うのは、衛星写真で撮影された2Dの地図に歩道や交差点、車道などを区別して落とし込むこと。これにより、ロボットが最短距離や最も安全なルートを割り出し、GPSを基にした走行を可能としている。

緑色のラインが歩道で赤色が交差点、紫色が車道と区別していくイメージ図。まずはこのような地図を配送エリア内すべての道で作成していく

次に、ロボットに設置されたカメラやセンサーによる3Dデータの収集。ビルや標識、ベンチなど、走行中に見えるありとあらゆるモノを線で認識し、オフラインによる3D MAPを作成していく。

この作業は複数台によるロボットで行い、あらゆる角度から取得したデータを統合することで効率と正確性を高めているという。

この作業により、障害物を事前に認知。スムーズな走行を可能にしている

そして最後は歩道の正確な位置と幅の計測だ。ロボットが撮影した画像と2Dの地図を組み込むことで、データを蓄積していく。

ここまでの入念な準備を経て、ようやくロボットによる自律走行が可能になる。

ロボットは歩道を走行するため、どこがより安全に走れるかを計算していく

また、実装後は各ロボットが継続的に3Dデータの収集と分析を繰り返すことで、他のロボットと情報を共有。街路樹の切断やビルの取り壊しといった軽微な変更には自動的に対応する。もし配送エリア内に新しい道ができたとしても、該当する部分だけ上記の手順を繰り返すだけでよいため、配達を繰り返すほど効率的になっていく仕組みだ。

レストランや小売店にとっては配送する手間やコストが省け、顧客にとっても注文の選択肢が広がることから、ロボットによる配送はまさにWin-Winの関係。

見えないウイルスとの戦いが続く中、愛らしいロボットの配送姿を子どもに見せたいという理由での注文も多いのだという。

また、トラックからロボット配送に変わることで、CO2等の有害ガス排出量が削減されるのは言わずもがな。配送車が減れば渋滞も少なくなることから、地域全体のエネルギー消費量が減少することも期待されている。

高効率で環境に優しく、地域経済をブーストする力までも併せ持つロボットによる配送サービス。

今後、大きな波となり、世界各地で走行するロボットの姿を見られる日が訪れるのかもしれない。

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