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寒冷地でも活躍! スズキが使用済み小型リチウムイオン電池をソーラー街灯電源へリユースする技術開発を発表

電気二重層コンデンサ(以下、EDLC)とリチウムイオン電池(以下、LiB)を組み合わせてシステムの消費電力を削減

脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギー利用の拡大や温暖化対策として進むクルマの電動化。それに伴い、今後増加が見込まれる使用済みバッテリーをリユース・リサイクルする仕組みが求められている。今回はそのアンサーの一つとなる自動車メーカーの取り組みを紹介する。

EVの普及により直面する新たな課題

各国の自動車メーカーが電動化へと舵を切り、徐々に普及の兆しが見え始めたEV。

化石燃料からの脱却という意味では喜ばしいが、本格的な普及を迎える前に考えなければならない課題もある。

それが、使用済みバッテリーの問題だ。

これまでにもHV(ハイブリッド)車など、小型LiB搭載車は数多く登場している。

LiB搭載車のイメージ画像

(C)chesky / PIXTA(ピクスタ)

日本市場だけで400万個以上が流通しているとされる小型LiB

画像提供:スズキ

ところが、使用済みバッテリーをリサイクルしようにも、セルやモジュールに分解してリサイクルしようにも、現状ではコスト面の負担があまりにも大きい。

そこで、リサイクルする前にバッテリーを使い切る取り組みとして“リユース”が注目されている。

そうした中、スズキ株式会社が2022年5月23日に廃車から回収した使用済み小型LiBをリユースする技術を開発したと発表した。

この取り組みは自動車リサイクル料金の収支余剰金を活用した自社公益事業として実施された。

寒冷地でも実用レベルのリユース技術

今回スズキが開発した技術は、LiB10個をソーラー街灯1基の電源としてリユースするもの。

まず消費電力の小さいEDLCに充電し(下画像<1>)、たまった電力をLiB10個に移して貯蔵(下画像<2>)。放電の際には、LiBの電力を再びEDLCに移し替え(下画像<3>)、LED照明に給電するという仕組みだ。

制御コントローラーへの電源供給もEDLCが行い、LiBの常時稼働をなくすことで消費電力を削減する工夫が盛り込まれた。

車載時とは異なる縦置きにより、幅250mmの角形ポールにLiBを収納。ソーラー街灯本体と電池ボックスの一体型を実現

画像提供:スズキ

2021年12月28日~翌年2月1日にかけて、秋田県で連続稼動試験を実施。曇りや雪で真冬日もある気候条件下ではありながらも、1カ月以上の連続稼働を確認したという。

今回の結果について、「本技術は将来、発生量が増加する使用済み小型リチウムイオン電池の有効利用に道を開くものであり、開発した技術は自社公益事業の成果として公開することで技術の普及を図る」とするスズキ。

今後は自社工場などに設置して、より長期間の性能検証を行い、製品化に向けた開発の取り組みを進めていく。

EVの普及と共に、将来的に大幅な増加が見込まれる使用済みバッテリー。

その有効活用に向けて、自動車メーカーのさらなる取り組みに期待したい。

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