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世界は、動き始めたか?東京モーターショー2017

エネルギーを「使う」「作る」「蓄える」あらゆる面での効率化が加速度的に進む

10月27日から11月5日まで、「第45回 東京モーターショー2017」が東京ビッグサイトにて開催された。EV(電気自動車)シフトへの鮮明化に始まり、人工知能(AI)の搭載、小型・軽量化、電気・機械効率の向上などあらゆるプロセスでの効率化・最適化が打ち出され、各メーカーはこぞって最新のエネルギーマネジメント技術を披露した。隔年開催のメガイベントを、関連したシンポジウムと共に総括する。

クルマの未来、進化について考える

国内最大級の自動車業界のイベント「第45回 東京モーターショー2017」、今回のテーマは「世界を、ここから動かそう。BEYOND THE MOTOR」であった。

世界で最初にガソリン自動車が誕生したのは1886年。

ドイツのダイムラーによって走り出したガソリン自動車は、それから130年余を経て多様な進化を遂げた。そして「コネクテッド(車のIT化)」「自動運転」「シェアリング」「電動化」といった広義でのエネルギーに関連する言葉をキーワードに、自動車はさらなる進化の勢いを加速させている。

今回の東京モーターショーのテーマには、各自動車メーカーや自動車関連企業の最先端を見せることで、日本から世界に向けて、自動車の未来を提案していこうという意志が表れているわけだ。

では、自動車の未来を世界のキーパーソンたちはどう見ているのか?

それは東京モーターショーに先立ち、10月24日に東京・両国国技館で行われたシンポジウム「フューチャーモビリティサミット東京2017」に表れていた。

メーカーやサプライヤー、コンサルタント、IT企業など、この日のために世界から自動車業界の重鎮が来日した

当日、会場に集まったのは世界の自動車産業や最先端テクノロジーをリードする重鎮たち。

以下6つのテーマでそれぞれに関わるキーパーソンとして登壇、クロストークを展開した。

1.都市化の未来:都市化とモビリティ
2.世界の自動車産業のいま
3.コネクテッド・モビリティ
4.モビリティのシェア
5.パワードモビリティ
6.バーチャルモビリティ

メーカーや業界関係者など多くの人が会場に足を運んだ

東京モーターショーへの布石

例えば、テーマ3には、トヨタ自動車専務役員でコネクティッドカンパニープレジデント兼ガズーレーシングカンパニープレジデントの友山茂樹氏、日産自動車・日産総合研究所・シリコンバレーオフィスのダイレクター、マーティン・シーアハウス氏、本田技術研究所執行役員・R&DセンターXセンター長の脇谷勉氏、サムスン電子の子会社で米ハーマン・インターナショナル・インダストリーズのディネッシュ・パリワルCEOが登壇。

コネクテッド・モビリティを進める上でポイントとなる“ビッグデータ”の扱い方や自動運転に欠かせない人工知能(AI)、さらに将来的にクルマそのものがどんな進化を遂げていくのか、活発な意見交換が行われた。

また、カーシェアリングについては「チャンスと受け止めている」(日産)としながらも、「クルマを自分で所有したいと考える人とのすみ分けが必要になる」(同)、「カーシェアリングをより効率良く展開するためには個人情報の開示が必要になるが、例えばアメリカでは個人情報は非常に大切に管理されている。それを活用する方法については慎重に検討しなければならない」(ハーマン)といった意見が交わされた。

では、クルマの未来はどのように進化していくのか? 

ハーマンのパリワル氏は「(自動運転は)技術だけを見れば、すぐにでも実現できるだろう。むしろ問題はインフラ。現在、世界には10億台くらいの自動車が走っているわけで、その中で完全自動運転を実現させようと思ったら、インフラ整備を含めると30年くらい先の話ではないか」とコメント。

日産のシーアハウス氏は「個人的には2022年には無人自動車のテストを始めたい。そして2030年までにメリットを明確にし、2050年には人間が運転しなくても良い車ができるのではないかと思う」という。

一方で、トヨタの友山氏が「2020年は一つのターゲットだ。そこまでに実証実験は行っていると思う。ただ、無人のクルマが市街地を走るためには、社会制度の整備が不可欠。実現には10年以上はかかるのではないか」と展望を語ると、ホンダの脇谷氏は「弊社には2030年ビジョンがある。本当の意味での自動運転とは何かという定義付けを明確にし、そこからロボットにできることを判断していく」と語った。

そしてこのシンポジウムの翌日、一般公開に先立ち報道関係者向けのプレスデーがスタートした「東京モーターショー2017」。各社のブースには、「コネクテッド」「自動運転」「EV」「カーシェアリング」を具現化することを目指したコンセプトカーが並んだ。

TOYOTA

コンセプトカー「TOYOTA Concept-愛i」は、AIを搭載することでドライバーの意思を理解し、人とクルマの新しいパートナーシップを表現したという。

LEXUS

最上位セダンの未来形であるコンセプトカー「LS+Concept」を発表。2020年の高速道路における自動運転を目指す。

NISSAN

インテリジェント・モビリティを形にした「IMx」を発表。EVを進化させた完全自動運転のモデルケースとして披露された。

HONDA

環境性能とスポーツドライブの高次元での融合を目指した「Honda Sports EV Concept」を発表。ロー&ワイドなスタイルと愛らしいフロントマスクが印象的。

MAZDA

より効率良くエネルギーを使う新しいガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を展示。搭載モデルとして新しいコンパクトハッチバック「魁(KAI) CONCEPT」を展示した。

SUBARU

アイサイトなど運転支援技術に定評があるスバルは、それを進化させたスポーツセダンのコンセプトカー「VIZIV Performance CONCEPT」を披露。走りの楽しさへのこだわりを見せた。

SUZUKI

バッテリーとモーターで駆動する4WDを搭載したコンセプトカー「e-SURVIVOR」は、未来のコンパクトSUV。高トルクを発生するEVのメリットを、走りの楽しさに生かした。

MITSUBISHI

4WDのEV「e-EVOLUTION CONCEPT」というコンセプトカーを発表。フロント1基、リア2基のモーターを搭載するほか、AIによる運転支援機能も備えているという。

DAIHATSU

用途に合わせて、タイプの異なる5台のコンセプトカーを発表。1963(昭和38)年発売の「コンパーノ」のデザイン思想を継承した「 DN  COMPAGNO」などが並んだ。



以下は会場の様子。

日本が目指すべきクルマの未来像

今回の東京モーターショーには、アメリカ、イタリア、イギリス、中国、韓国といった国々のメーカーが出展を見送り、華やかさに欠けた印象は拭えない。

しかし一方、例えばトヨタは2020年を見据え、すでに発売を開始したLPG(液化石油ガス)エンジンと電気のハイブリッドシステムを使った「JPN TAXI」や、2020年までに東京都を中心に100台以上の導入を目指す燃料電池バス「SORA」を展示。人と環境に優しい自動車がある未来社会の一端を披露して見せた。

その意味では、日本の自動車メーカーが目指すところがクリアに見える展示だったかもしれない。

LPGハイブリッド搭載の「JPN TAXI」は、ロンドンタクシーのようなフォルムがかわいい

トヨタは、燃料電池で走るバスを2020年までに都内を中心に走らせたいという

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