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15年ぶりに火星が地球に大接近!ことし最大の天文ショーを見逃すな

軌道と公転スピードの違いが生み出す神秘のメカニズム

地球と火星との距離が通常よりずっと近くなることで、いつもよりも大きな火星を見ることができる“スーパーマーズ”。世間をにぎわせたおととしから約2年2カ月の周期となることし、再び火星が地球に近づいている。さらに今回は約15年ぶりという“大接近”。こよい訪れるその時を前に、「火星大接近」の詳細をお届けする。

“火星大接近”のメカニズム

太陽から数えて4番目、地球の一つ外側の軌道を公転する惑星「火星」──。

7月31日(火)は、約2年2カ月周期で地球に接近を繰り返す火星が最も近づき、そしてさらには15年ぶりに大接近する日。いわゆる“スーパーマーズ”として、天文ファンをはじめ広く一般から熱い視線が注がれている。

国立天文台によれば、火星が地球に最接近する時間は16時50分。ただし、その時間帯は残念ながらまだ火星が空に昇っておらず、日本では21時前後に見ごろを迎えると予想されている。当日の火星は南東の方角に赤くひと際輝いており、望遠鏡などを使えば徐々に大きさが変化する様子も観察できるという。

火星大接近2018を解説した動画がこちら

(C)国立天文台

火星の接近と聞けば、あたかも火星が地球の引力・エネルギーで引き寄せられ、近づいているような印象を受けるが、もちろん実情は異なる。

地球と火星を比較した図

(C)国立天文台

そもそも太陽系の惑星は太陽の周りを異なる周期で公転しているため、惑星同士の位置関係は常に変化している。加えて公転スピードは内側の惑星ほど速くなり、例えば太陽の周囲を1周するのにかかる公転周期は、地球の場合が365日なのに対して、火星はその外側を回るため687日となる。

そのため、地球は約780日(約2年2カ月)で火星に追い付き、追い越しているのだ。ちなみに太陽から見て地球と火星が同じ方向になる時、つまり追いついた瞬間を「会合」、このサイクルを「会合周期」と呼ぶが、会合のタイミングこそ地球と火星の距離が最接近する日というわけ。

また、今回は2003年以来、実に15年ぶりに地球と火星の距離が6000万kmを切る約5800万kmまで近づく“大接近”ということでも注目を集めている。同じ周期で訪れるにもかかわらず、発生年によってその距離に違いが生じることに疑問を持つかもしれないが、これには2つの理由が挙げられる。

まず一つが、地球の軌道が円形をしているのに対して、火星の軌道は楕円(だえん)形をしているため、地球と火星の軌道の間の距離が一定ではないこと。そしてもう一つが、地球と火星の会合周期はぴったり2年ではなく約2年2カ月であることだ。

2016~35年までの最接近時の地球と火星の位置関係を示した図

(C)国立天文台

上記の図を見ていただければ一目瞭然だが、異なる形状の軌道を描く2つの惑星が違う速度で公転した場合、最接近するポイントが年によって変化しているのがお分かりだろう。

つまり、この違いこそが“火星大接近”における距離に毎回ズレが生じる要因なのだ。

火星の接近に伴う地球への影響は?

それでは“火星大接近”によって地球に何か影響はないのだろうか。

結論から先に言ってしまえば、スーパームーン(月の大接近)のような明らかに分かる影響はないと考えられている。

月と地球は平均38万kmしか離れていないため影響力も大きく、月の引力は潮汐力(ちょうせきりょく/潮の満ち干<みちひ>)という形で、地球に影響を与えている。しかし、火星の場合、今回の最接近時でも月と比べて150倍以上も地球から離れているため、その潮汐力は月の10万分の1程度にも満たない。そのため、地球に及ぼす影響もごくわずかなのだ。

2018~35年までの火星最接近時の火星の大きさを比較した図。周期によって最接近時でも見える大きさはさまざま

(C)国立天文台

今回を逃すと次に同程度の大きさで観測できる“火星大接近”は、17年後の2035年。

“火星大接近”というとその瞬間ばかりが注目されがちだが、8月1日以降も数週間は地球と火星がほぼ同方向に並んで公転する接近した状態が続いているので安心してほしい。さらに最接近より少し遅い時期は、火星が昇る宵の空で観測しやすいというメリットもあるとのこと。8月も引き続き絶好の観察期間といえる。

2018年の月ごとに地球と火星の位置関係と視直径(天体の見た目の大きさ)を表した図。他の月と比べて、7~9月は火星の姿が大きく見えることが分かる

(C)国立天文台

気になる見方、楽しみ方だが、火星は最接近のころでも視直径(天体の見た目の大きさ)が月の視直径の約1/77と小さいため、残念ながら肉眼では普段より多少明るく見える程度にしかならないので、ぜひ天体望遠鏡を使って観測してみてほしい。口径が8.5cm以上の望遠鏡であれば火星表面の模様なども観測できるはずなので、口径の大きな望遠鏡がおすすめだ。

いきなり本格的な望遠鏡を購入するのは気が引ける…という人のために、最近ではスマホを使って手軽に観測できるキットも販売されているので「望遠鏡 スマホ キット」などでネット検索、購入を検討してみよう。

自由研究の課題にもぴったりの“火星大接近”。ことしの夏は親子で宇宙の神秘を観賞してみてはいかがだろうか。

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