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バイオ燃料飛行機が飛ぶ日も近い!IoT×AIでミドリムシ大量増殖計画

持続的再生可能エネルギー源として注目のバイオ燃料の安定的確保が狙い

環境に優しい再生可能エネルギーの一つとして期待されているバイオマス発電。中でも次世代バイオ燃料(有機性資源“バイオマス”由来の液体炭化水素燃料)原料として注目されているのがミドリムシなどの藻類だ。食料にも用いられる植物由来のバイオ燃料原料に比べて、莫大なエネルギーを生み出す藻類の大量培養技術の確立に挑む企業の取り組みをご紹介する。

バイオ燃料の未来を担うミドリムシ

ビジネスソリューションを提供するIT企業・日本ユニシス株式会社と微細藻類の研究を行うバイオベンチャー・株式会社ユーグレナ。業界の異なる両社が8月よりタッグを組み、バイオ燃料用ミドリムシの生産量予測を、IoTやAI技術を活用して行う共同研究を開始した。

この研究では、航空機などに向けたバイオ燃料用ミドリムシの生産量安定化に加え、屋外大量培養における管理コストを減らすための実証実験を行う。

バイオ燃料用ミドリムシの屋外大量培養に向けた研究がスタートした三重県多気町の藻類エネルギー研究所

提供:株式会社ユーグレナ

現在の日本では、消費するエネルギーの多くを海外から輸入する石油や石炭、天然ガス(LNG)などの化石燃料に頼っているのが実情だ。

しかし、これら化石燃料はいつかは尽きる限られた資源である。また、燃焼の過程で地球温暖化につながるCO2などの温室効果ガスを排出することから、近年、社会問題となっているのも周知の事実。

そこで、持続的再生可能エネルギーの一つとして注目されているのが、生物由来のバイオマスを原料にするバイオ燃料だ。ただ、一般的に原料に使われているサトウキビやトウモロコシ、パームなどは食料利用と競合するため、食料価値の高騰を招くという新たな問題点も浮上している。

この問題をクリアし、新たなバイオ燃料の原料として期待されているのが、ユーグレナが研究を進める「ミドリムシ」をはじめとする藻類だ。

藻類は植物同様に太陽光を利用して光合成を行い、代謝産物としてオイルを産出するが、生産効率はトウモロコシと比較して700倍強と桁違いに高いのが特徴。安定かつ低コストで大量に培養する方法が確立できればエネルギー問題を大きく解消できる可能性があるのだ。

データを自動取得し、藻類増殖&低コスト化をアシスト

今回の研究で日本ユニシスは同社の持つ2つの技術を提供。バイオ燃料用ミドリムシを屋外で大量培養する上での要ともいえる仕組み作りをサポートする。

まずは「IoTビジネスプラットフォーム」を活用して、観測対象の情報収集や可視化を目的としたセンシング基盤の構築だ。

波長情報を取得することで一般的なカメラでは識別できない細かな色の変化や物体の状態変化まで判別できるハイパースペクトルカメラとセンサー群を使用して、培養プール内の状態を可視化。ミドリムシの成長状況など生産管理に必要な情報をリアルタイムで取得することができる。

こうして常時取得・蓄積されたデータを、日本ユニシスが持つAI技術「Rinza(R)」を用いて解析。

藻類にとって常に最適な育成環境となるよう予測する増殖シミュレーションモデルの確立を目指していくという。

次世代バイオ燃料として期待されるミドリムシ。資源の乏しい日本にとって大きな武器になるはずだ

提供:株式会社ユーグレナ

ユーグレナは、今回構築されたシステムにより、従来、担当研究員が定期的に見回って取得していた各種データを安定かつ自動的に取得できるようになる。情報取得から管理までを一元化することで運用コストの削減につなげたい考えだ。

一方の日本ユニシスも、このノウハウをその他の生物や農業などへ応用し、さまざまな社会課題の解決につなげていく狙い。

ユーグレナが建設中の「バイオ燃料製造実証プラント」完成イメージ図

提供:株式会社ユーグレナ

ミドリムシの大量培養実現を目指す今回の取り組み。その進捗(しんちょく)によっては莫大なエネルギーを手にすることができるかもしれない。この研究の成否は、まさにエネルギーの未来にとって、ターニングポイントになるかもしれない。





※ユーグレナによるバイオ燃料の製造、実用化に向けた構想に関する記事はこちら
※燃料に藻類を使用するマツダが進める次世代バイオ燃料研究に関する記事はこちら

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