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JAMSTEC×JAXAが初コラボ!海・空にまつわる企画展が大分県で開催中

実物の「H-II ロケットエンジン」から「しんかい6500」の大型模型まで、大人も大満足の展示がズラリ

大分県立美術館(大分県大分市)で11月25日(日)まで開催中の「海と宙(そら)の未来」展。JAXA(国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)とJAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)による全面協力のもと行われている、同館初の科学系の企画展だ。実物のロケットエンジンや有人潜水調査船「しんかい6500」の大型模型展示など見どころ満載でワクワクが止まらない!

純国産ロケットエンジンの実物を公開

今回の企画展は「未知への挑戦~夢を追う人々~」が大テーマ。

超高性能カメラが捉えた最新の小惑星や深海映像の公開をはじめ、歴代ロケットの大型模型、生命の起源は深海か宇宙かに迫る研究成果の紹介など、誰しもが興味をそそられる内容となっている。

注目すべきは、日本初の純国産大型ロケット「H-II ロケット」の心臓部にあたる第1弾エンジン「LE-7」の展示(1Fアトリウム)。しかも今回JAXAは実物を提供しているのだ。

日本の独自技術の結晶である「LE-7」。H-II ロケット開発過程で最も難航したところであり、「LE-7」の開発は純国産ロケット完成の要でもあった

画像提供:JAXA

1994年2月の試験機1号以降、1999年11月の8号機まで合わせて計7機が打ち上げられたH-II ロケット(※打ち上げに至らなかった1機あり)。重量2t級の静止衛星打ち上げ能力を有する、全てが日本独自の技術(全段自主技術)で構成された2段階式のロケットだ。

静止衛星とは、赤道上空の高度約3万6000kmの円軌道を、周回(速度約3km/秒)する人工衛星のこと。地球の自転周期と同じく24時間で公転するため、地上からは静止しているように見えることから、この名が付けられている。ちなみに、気象観測を行う「ひまわり」も、この静止衛星だ。

「LE-7」はH-II ロケットのために開発された大型エンジンで、高性能な液体酸素・液体水素を燃料(推進剤)としている。真空中でロケットを推し進める推力は約110tといわれており、そのことからも膨大なエネルギーを出力していたことが分かる。

小惑星探査機「はやぶさ2」を打ち上げたH-IIA ロケットの開発にも、H-II ロケットで培った経験や技術が生かされている

画像提供:JAXA

通常、重量1tのロケットを打ち上げるためには、1t以上の推力が必要とされている。これは重量1tのロケットに1tの推力しかなければ、重量と推力が釣り合ってしまい、ロケットが上昇しないためだ。

H-II ロケットの場合、人工衛星を除いた全備重量は約260t。これではロケットは打ち上がらないのでは?と思ってしまうが、実はロケット重量の大部分を占めているのが燃料なのである。そのため、打ち上げ開始からある程度時間がたつと、燃料の燃焼とともに容積が減少するため、重量が軽くなり推力が得られるということになる。

昨今、開発が進むエネルギー効率の高い小型ロケットの誕生には、新たな燃料と同時にエンジンの性能向上が必須となっている。「LE-7」はその礎ともいうべき存在の、貴重な国産エンジンなのだ。

合計で約3万3000馬力のパワーを持つターボポンプが搭載されている「LE-7」。ジャンボジェット機エンジン4基分の推進力が発生する高さ約32m、下部幅約1.5m、重量約1.7tもの巨大なサイズのエンジンを目の前にすれば、宇宙開発の壮大さを感じることができるはず。

深海の圧力に耐える深海調査船の1/2スケール模型

JAXAが宙(そら)なら、その反対の深海に関する研究を行っているのがJAMSTEC。

深海は地球上で人類が最も到達困難な場所とされているが、その理由が水圧にある。

水圧は水中へ10m潜るごとに1気圧上昇する。塩分などが含まれる海水の場合、水深6500mの海底では実に681気圧(1cm3あたり約680kgf)となる。これはカップ麺の容器が約1/8の大きさに縮んでしまうほどの莫大な圧力がかかっているのだ。

水深6500mにあたる圧力をかけられたカップ麺の容器(右)。左の原寸サイズと比べるとその差は一目瞭然

画像提供:JAMSTEC

そんな過酷な環境下で調査を行うのが、JAMSTECが誇る「しんかい6500」。人を乗せて6500mの深さまで潜ることができる世界有数の有人潜水調査船として今なお活躍している。

海底での作業に向かう有人潜水調査船「しんかい6500」

画像提供:JAMSTEC

1階のアトリウムでは、「しんかい6500」の1/2スケール模型が展示され、実物に迫る臨場感の中、有人潜水調査船の仕組みを学ぶことができる。また、「しんかい6500」などの調査船/探査機が捉えた、普段見ることのできない深海に棲(す)む貴重な生き物の映像を大型モニターで上映している。

他にも、海底資源を探る自律型無人探査機「ゆめいるか」や地球深部探査船「ちきゅう」の模型、2010年に奇跡の帰還として話題を集めた小惑星探査機「はやぶさ」の実物大カプセル(模型)などを展示。

また、3階展示室Bでは有限会社大平技研の協力の基、2200万個の星を映し出す「SUPER MEGASTAR-Ⅱ」の上映プログラム(観覧料:一般500円、大学/高校生400円、中学生以下無料)、1階展示会場にはスペースシャトルのクルー用ユニフォーム“オレンジスーツ”の試着コーナーなどが用意されている。雰囲気たっぷりに最先端の科学技術の体感や未知への探求に思いをはせることができるはずだ。

宇宙と深海──。

ロマンに満ちあふれるそれぞれの世界観を一度に感じることができてしまう今回の企画展。かつて思いをはせた宇宙と深海の神秘な世界を、童心に帰って楽しんでみてはいかがだろうか。

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