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隠れていたエネルギーを有効活用!ビルや工場の導水管で発電するマイクロ水力発電機の可能性

既存の導水管や農業用水路など、小さな水流を利用して水力発電に

12月6〜8日にかけて東京ビッグサイトで開催された日本最大級の環境イベント「エコプロ2018」。そこに株式会社リコーは、現在開発中のマイクロ水力発電システムの要となる小型水力発電機を参考出展した。小さな水流からエネルギー創出を目指す今回の取り組み。未使用資源が私たちの暮らしに活用される日も近い?

身近に存在する小規模水流を小水力エネルギーとして回収

再生可能エネルギーの中でも発電量の変動が小さいといわれる水力発電だが、山地や起伏に富んだ地形、豊富な水資源を有する日本ではかねてから電力供給の一端を担ってきた。

一方で、大型発電所の建設が自然環境に与える影響は大きく、加えて建設や送電にかかるコストが課題として挙げられている。

そうした状況に目を付けたのが、カメラやプリンターなどの光学機器メーカーで知られる株式会社リコー(以下、リコー)だ。

日本企業の中でいち早く「RE100」(事業運営に必要な全てのエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブ/ジャーナリスト・安倍宏行氏による記事はこちら)に加盟するなど、環境対策にも積極的な同社は現在、さまざまな環境技術の実証に取り組んでいる。

その一つが、屋内外に無数に存在する小さな水流を小水力エネルギーとして利活用するマイクロ水力発電システムの開発だ。

東京ビッグサイトで開催された「エコプロ2018」において、ブースで展示された小型水力発電機の試作機

同発電システムのポイントは、プロペラ(水車)と発電機が一つになった一体型を採用し、水車自らが発電所の役割を担えるようになっていること。

構造はいたってシンプル。樹脂製のプロペラの外部に磁石が取り付けられ、その外側をコイルが覆うというもの。導水管に取り付けられた水車発電機の内部を水が通ることで、プロペラが回転して発電する仕組みだ。

開発中の中空構造のプロペラ(左)とガイドベーン(右)の一例

屋内と屋外というそれぞれ異なる使用条件を想定し、プロペラは複数種類を用意。農業用水路など屋外では中空構造のプロペラを採用する。

その理由はズバリ詰まりの防止。

従来のマイクロ水力発電が普及していない要因の一つが落ち葉やゴミによる水車閉塞にあり、除去装置の併設で解決できるものの、場所やコストがかかるため敬遠されがちだった。

しかし、今回の中心部が空洞となったプロペラの開発により、落ち葉やゴミのほか、小魚などの水生生物が水車発電機内部をすり抜けることができ、詰まりを防ぐことが可能になった。これは普及への大きな足掛かりといえる。

一方、ビルや工場内など詰まりの心配がない屋内では、発電効率を重視して中空率0%のプロペラを開発していく予定だ。

使われるパーツには、プロペラをはじめ多くの部分で樹脂製を採用。耐久性を考慮して金属製パーツが常識とされているが、検証により耐久性は問題なく、金属と比べて軽量でコストも削減できるという。

気になる発電出力は1台で1kW前後を想定。家庭用の太陽光パネルにすると3~5枚分程度と大きな電力は生み出せないが、「24時間365日電力を手にできることが重要だと考えています。発電量は低価格を実現して設置数を増やすことでカバーできる見込みです」と同社で研究・開発に携わる事業開発本部マイクロ水力事業推進グループ上原賢一氏は展望を語る。

販売価格は現時点では「コスト低減を徹底することで水力発電機としては1台100万円程度が目標」とのことだが、将来的にはさらなる低コスト化を目指すという。

施設内の電力の一部、これまで通電していなかった中山間地域や災害時の非常用電力としての利用も想定している

マイクロ水力発電システムの概念図

すでに静岡県熱海市の2級河川や自社工場などで実証実験を進めているマイクロ水力発電システム。リコーでは2020年度中の実用化を目指し、さらなる実証実験を進めていく計画だ。

まだまだ身近なところにエネルギー化できる資源の存在を感じさせる今回の取り組み。持続可能な社会の実現に向けて、今一度私たちの周りにある隠れた資源に目を向ける必要があるのではないだろうか。

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