未来シティ予想図

虎ノ門が大変貌!森ビルが目指す“国際新都心”のカタチとは

2022年までに3棟の超高層タワーが誕生予定

東京都心部で数々の大規模な複合再開発を手掛けてきた森ビルが、「虎ノ門ヒルズ 森タワー」の隣接地に新たに3棟の超高層タワーを建設する。さらには、2020年の東京五輪開催前に供用開始予定の日比谷線の新駅「虎ノ門ヒルズ」駅とも一体化した都市づくりを進めるなど、今後は同エリアの再開発が一気に加速。東京の未来をけん引する壮大なプロジェクトを担当する森ビル株式会社 都市開発本部 都市計画部課長の加藤昌樹氏に話を聞いた。

森ビルの原点・虎ノ門の「ナンバービル」

2014年6月の「虎ノ門ヒルズ 森タワー」誕生を起爆剤として、虎ノ門エリアの再開発が一気に進み、真の“国際新都心・グローバルビジネスセンター”へと変貌しようとしている。

すでに森ビルは地権者の人々と共に、虎ノ門ヒルズ 森タワーの両側にオフィスを中心とした「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」と、住宅を中心とした「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」の建設を進行中。

さらに桜田通りを挟んだ西側には、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅(2020年供用開始予定)と一体開発する「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」(2023年竣工予定)を計画しているという。

新たな3棟の超高層タワーが加わることで、「虎ノ門ヒルズ」は区域面積7.5ha、延床面積80万m2に拡大(六本木ヒルズは区域面積12ha、延床面積76万m2)。約30万m2のオフィスや約800戸のレジデンス、約2万6000m2の商業店舗、約350室のホテル、約1万5000m2の緑地空間を備え、道路や鉄道などの交通インフラとも一体化した複合都市へと進化する見通しだ。

六本木ヒルズに匹敵するインパクトを放つ、まさに一大プロジェクトとなる。

虎ノ門ヒルズ開発エリアのパース。いずれも国家戦略特区の認定を受けており、これまでにないスピードで虎ノ門エリアの変貌をけん引していく

「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」の低層部イメージ。大規模オフィスと商業施設を持つ。1階には、都心と臨海エリアを結ぶBRT(バス高速輸送システム)の発着点となるバスターミナルなどを設置し、世界と都心をつなぐ「東京の玄関口」として機能させる狙い

「(仮称)虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」の低層部イメージ。分譲住宅約550戸を供給する予定だ

「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の低層部イメージ。虎ノ門ヒルズと同規模程度のオフィスやホテルなどを複合させたタワーを計画しており、東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅と一体的に開発する

そもそも、虎ノ門は森ビルの創業の地でもある。壮大なプロジェクトが一斉に動き出した経緯を、同社の歴史と共に振り返ってもらった。

「森ビルの原点は、西新橋に現存している『西新橋2森ビル(以下、2ビル)』の事業です。1956(昭和31)年に森ビルの創業者である森泰吉郎が、災害などに強い鉄筋コンクリート造の強固なビルを建設すべく、近隣の方々との共同建築により完成させました」

1956年に完成した西新橋2森ビル。過去にはフランスの香水メーカーやインドの通信社、米国オレゴン州小麦生産者連盟などが入居していたという

「その後、ビルの名前に番号を振った『ナンバービル』を建てて、国内外の企業をテナントに迎えました。ナンバービルの大半は近隣の方々との共同建築により建設。いわば、地元の方々との信頼関係をベースとして建てられました。関係権利者の方々に参加を呼びかけ、じっくりと対話していくという街づくりの進め方は、現在も変わらず生き続けています」

都市開発本部 都市計画部課長の加藤昌樹氏

1960年代からの高度経済成長に伴いオフィス需要が増加。ナンバービルは多いときは40棟以上も存在しており、虎ノ門は日本有数のオフィス街となった。

しかし、六本木や丸の内など周辺エリアではその後の再開発事業によって大規模ビルが次々と竣工する一方で、虎ノ門エリアは小規模なビルが取り残されたまま。ポテンシャルを生かしきれていない状況だった。

「われわれにとって新橋・虎ノ門は創業の地でもあり、ナンバービルをはじめとしていくつかの建物を所有しています。われわれとしては、それらを生かしながら、更に大きな街区で再開発を行うことで、都市の機能更新を図っています。2014年に誕生した『虎ノ門ヒルズ 森タワー』をはじめ、周辺の3つのプロジェクトも、それぞれナンバービルを含む『再再開発』です」

虎ノ門ヒルズ 森タワー

エリア全体の「回遊性」がまちの魅力に

2014年に「虎ノ門ヒルズ 森タワー」が誕生し、同時に、虎ノ門ヒルズ森タワーの地下を通る環状2号線や、⻁ノ⾨と新橋を地上で結ぶ通称『新⻁通り』が開通したこともあり、⻁ノ⾨エリアは街としての新しい力を放ち始め、近年はますます⼈々のエネルギーやビジネスのエネルギーが急速に集まりだしている。

実際に虎ノ門ヒルズ周辺のエリアは、森ビル以外にも複数の再開発や建て替え計画が進んでいる。環状2号線の開通や地下鉄新駅、BRT(バス高速輸送システム)※といった新たな交通インフラも加わるなど、明らかに都市再生の機運が盛り上がっている。
※東京五輪を機に、虎ノ門─勝どき・晴海の臨海エリアを結ぶ新輸送システム「BRT(バス高速輸送システム)」に関する記事はこちら

また新虎通り沿道では、日本を代表するメインストリートを目指し「新虎通りエリアマネジメント協議会」が中心となって、沿道のにぎわいづくりを進めている。こうした状況を踏まえて、森ビルもエリア全体の回遊性を高めることがプロジェクトの鍵になると考えている。

「特に『(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー』は、新たに整備される東京メトロ日比谷線『虎ノ門ヒルズ』駅と共に、駅と街が一体になったプロジェクト。目玉となるのは、地下に吹き抜けの駅前広場を整備すること。3層吹き抜けの大きなアトリウム空間を作り、利用者の方々は自然光が差し込む方向に向かって直感的に外に上がっていけるように計画しています。また、駅のプラットフォームの壁は一部がガラスとなり、プラットホームと地下駅広場が視覚的・空間的につながります」

虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの駅前広場イメージ。地下鉄のコンコースに接続する地下2階から地上1階まで3層吹き抜け。天井からは自然光を取り入れる

通常、地下鉄の駅は街との接点が出入り口のみで、駅と街の一体感はあまりない。都内の地下鉄駅構内には案内標識が充実しているものの、どこが出口なのか分かりにくい駅も多い。

「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」に設置される駅前広場は、地下鉄が抱える根本的な課題に風穴を開けるような取り組みだ。

「(仮称)虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の足元で虎ノ門ヒルズ新駅と一体整備される交通結節空間のイメージ。東西に駅前広場を確保する計画だ

「ビルを営業する立場からすると、改札を出た目の前のスペースには、本当は店舗を作りたいところです。ただ、ここは虎ノ門の新しい顔であり、地域の新しい玄関となる場所なので、パブリックな空間を作ることにしました」

新駅と街をつなぐ交通結節空間として駅前広場を整備するだけではなく、周辺の開発プロジェクトとつながる歩行者ネットワークの整備も並行して進める。

「われわれのプロジェクトも含めて、周辺ではオフィスや住宅、ホテル、商業、病院、カンファレンス施設、バスターミナルなど、さまざまな都市機能が新たに整備される予定です。それらの都市機能を地上、地下、デッキの各レベルで結び付けることで、エリア全体の回遊性を高めます」

歩行者ネットワークは、日比谷線虎ノ門ヒルズ駅、銀座線虎ノ門駅、そして虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー1階に整備されるバスターミナルとの間を接続する連絡路の役目も果たす。ここは、都心と臨海部を結ぶBRT(バス高速輸送システム)の発着点となる。

「さまざまな人が集まるような街の磁力を作りつつ、駅を中心にさまざまな機能やにぎわいの拠点を緩やかにつなぐことで、虎ノ門という街をより良い形で育んでいく。それがわれわれの課題だと思っています」

「東京を世界一の都市にする」ことが再開発の原動力

半世紀にわたる試行錯誤を経て、森ビルがたどり着いた理想の都市モデルは「緑に覆われた超高層都市」。

職、住、遊、商、学、憩、文化交流など、さまざまな機能がコンパクトに集約された「ヴァーティカルガーデンシティ(立体緑園都市)」実現させようとしている。

「世界から人やモノ、お金や情報といったエネルギーを引きつけるためにも、グローバルプレイヤーが必要とするあらゆる都市機能がコンパクトにまとまっていることが理想です。虎ノ門エリアも、再開発によって真の国際新都心として“磁力”の強い都市となるべく、新たに生み出されるさまざまな都市機能を有機的に結び付けるネットワークが重要だと考えています」

整備完了後の新虎通りのイメージ

もはや民間企業の域を超えた取り組みにも思える。森ビルの原動力はどこにあるのか?

「『東京を世界一にする』という目標を言い続けています。毎年、われわれのシンクタンクである森記念財団が世界の都市の総合力ランキングを作っているのですが、東京は3年連続で3位を維持している状況です。1位のロンドンや2位のニューヨークに比べると、例えば東京は文化との接点が足りていません。さまざまな都市の課題を、再開発によって解決していくことができないかと考えています」

建物を高層化させて集約すれば、余った敷地に木々を育ませたり、アートを設置することができる。

虎ノ門エリアの再開発を序章として、東京が世界一豊かな都市となることを期待したい。

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