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空想未来研究所2.0

腕力132トン、衝撃耐久力1450トン!改めて考える「こち亀・両さん」驚異の肉体

「両津勘吉」のエネルギーについて考えてみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「肉体」。本来五輪イヤーだった今年は、マンガ界の恒例行事である『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(1976~2016年、以下こち亀)のあのキャラクターが登場する年だった。以前、空想未来研究所ではその能力を取り上げたものの、その上をいくポテンシャルを見せるのが主人公・両津勘吉だろう。連載終了から4年を経て、改めて両津勘吉の肉体が持つエネルギーについて考えてみました。

改めて考える両津勘吉のすごさ

延期になってしまったが、今年は五輪イヤーだった。『こち亀』の日暮熟睡男(ひぐらし・ねるお)巡査が、4年に一度、起きてくる年だった!

もし『こち亀』が続いていたら、日暮巡査は「地上に出てみたら冬だった!」というセミの幼虫と同じ喪失感に打ちひしがれていたであろう。

>>日暮熟睡男「進化の可能性!?人間が生きるために必要なエネルギー量を考察」

その『こち亀』が、2016年に終わったときは、信じられない思いだった。

「週刊少年ジャンプ」を開けば必ず『こち亀』が載っている。地球に空気があるのと同じ。それが1976年以来の日本の常識だった。

単行本は全200巻、話数は全1960話。40年間、休載は一度もなし。たたえる言葉もないほどの偉業である。

なぜ、これほど長く続けてこられたのか。論をまたず、秋本治先生の努力のたまものだが、マンガやアニメの世界を現実と捉える「空想科学の目線」で考えれば、別の理由が見えてくる。

それは、両さんが超人的にタフだからだ!

第11巻、キャンプ場で、服に染み込んだガソリンに火がついて、全身火ダルマに!
第21巻、交通整理中、一つの見開きページの中で3度も車にはねられる!
同じ話で、乗っていたパトカーがダンプカーにひきつぶされる!
第41巻、実物大のプラモデルの戦車を操縦中、自衛隊のヘリにミサイルで撃たれる!
第58巻、月面に取り残される!

常人なら、ごく初期の段階で、物語はとっくに終わっていたはずなのだ。

だが、われらの両さんは、車にはねられても「あいて!」で済み、ミサイルで撃たれても「戦車を壊しやがって」とわが身は顧みない。月面に取り残されても、宇宙服の酸素だけで1カ月も生き延びる。通常は数時間で酸素が尽きるのに!

こういうタフな男だからこそ、ワイルドな『こち亀』で主役を張り続けてこられたのではないだろうか。

ここでは、『こち亀』の40年を支えてきた両津勘吉巡査長の驚異の肉体に迫ってみよう。

1450tの衝撃に耐える両さんの肉体

両さんの一大特徴は、衝撃や爆発に対して、ことのほか強靭なことである。

61巻「お手柄!?不発弾!の巻」では、背中に縛り付けた不発弾が爆発!それでも入院しただけで済んだ!

71巻「それゆけ香港!の巻」では、大陸間弾道有人ロケットで香港に送られるが、ロケットは地面にドガッと突き刺さる!それでも「重圧につぶされるかと思ったぞ!あいてて…」と言いながら、ロケットからはい出してきた!

驚くほかはないが、両さんはどれほどの衝撃に耐えたのか。

不発弾は、直径20cm、長さ1mほどの大きさだった。両さんは「このクラスなら50m四方は跡形もなく…」と言っていたが、不発弾の全容積の半分を爆薬が占めていたとしたら、爆薬の重量は26kgとなり、確かにそれに類する被害が出る。

これを両さんは、背中で爆発させたのだ。この超至近距離で受ける爆風の圧力は、1cm2あたり5.6t。戦車ですら1cm2あたり1.2kgの圧力で破壊されるから、その4700倍!恐るべき耐爆発力である。

ロケット事件もすごい。東京から香港まで2900km。ロケットは15分で到着すると言われていた。すると、平均速度は秒速3.2kmとなるが、このぐらいの距離を飛ぶ中距離弾道ミサイルは、一度宇宙へ出て、再び大気圏に突入し、空気抵抗で秒速2km前後に減速される。

ロケットは先端の10mほどが地面に貫入していた。ということは、秒速2kmで飛んできたロケットは、10m進む間に静止したことになる。このようなケースで受ける衝撃は、「体重の何倍か」を表す「G」を単位として、次の式で求められる。

【衝撃[G]=(速度[m/秒])2÷距離[m]÷2÷重力加速度】

「重力加速度」とは重力の強さを表す数値で、地表の場合は9.8[m/秒2]だ。

計算すると、2万400G。両さんの体重は71kg(公式設定)なので1450t!もはや畏怖するしかない耐衝撃力だ。

実はゴム人間!?バウンドする両さんの肉体

両さんは、なぜこれほどまでに衝撃に強いのか。答えは155巻で見つかった。

「スーパーバイオリニスト両津!の巻」では、上司の大原巡査部長(以下、大原部長)が上から振り下ろすパンチで両さんを殴ると、両さんは道路でドガッとバウンドして、はるか彼方まで飛んでいった。

「飲酒運転は駄目、ゼッタイ!!の巻」では、飲酒運転対策車に乗せられる。センサーが障害物を発見して、急ブレーキがかかり、ルーフが開いて、両さんはシートごとロケットエンジンで打ち上げられる。道路に落ちてバウンドしたところを、トラックにはねられて、最初にいた亀有署の庭に落ちてくる。

なんと、どちらも両さんは道路でバウンドしている。人間がバウンド!にわかには信じがたいが、作品世界における厳然たる事実であり、それなら両さんが衝撃に強いのもよく分かる。

例えば、高いところから、アスファルトの道路に落ちたとしよう。言うまでもないが、普通の人間は、ほとんどバウンドしない。これは、落下のエネルギーが全て体へのダメージに変わることを意味する。

しかし、両さんはバウンドする。これは、落下のエネルギーの一部が、運動エネルギーに変わったということだ。

この場合、

【ダメージ=落下のエネルギー-運動エネルギー】

となるから、ダメージは小さくて済むことになる。

野球で、頭にデッドボールを受けたとき、ボールが大きく跳ね返ればダメージは少なく、その場に落ちれば危険と言われるのも、同じ理由だ。

例えるなら、普通の人間がガラスや陶器だとすれば、両さんはゴムのボールなのである。これなら、衝撃に強いのもよく分かる。

だが、両さんといえども、衝撃を全く受けないわけではないようだ。

飲酒運転対策車での両さんのリアクションは、道路でバウンドしたときが「いて」、トラックにはねられたときが「ひえーっ」、亀有署の庭に落ちて、後輩の中川圭一巡査に「地球一周して来たんですか?」と尋ねられて「バカか!」。これで済むとは、超人である!

しかし、両さんを殴って道路でバウンドさせた大原部長もモノスゴイ。

物体が壁や床にぶつかると、跳ね返るスピードはぶつかる前より遅くなる。その遅くなる比率を「反発係数」と言い、例えば時速100kmで衝突したものが、時速60kmで跳ね返ったら、反発係数は0.6だ。

反発係数は、ぶつかるものの組み合わせによって違うが、両さんとアスファルトの反発係数はどのぐらいか。

飲酒運転対策車から打ち上げられ、道路でバウンドした両さんは3mほど跳び上がった。打ち上げられた高さはマンガでは測れないが、100mは上昇したイメージだ。

この場合、反発係数は、

【(3÷100=0.03)の平方根=0.173】

となる。

一方、大原部長に殴られてバウンドした両さんは少なくとも10mは上昇している。ここから、両さんはバウンドして時速50.4kmで跳び上がったことが分かる。

このとき反発係数が0.173ならば、ぶつかる前の速度は、

【時速50.4km÷0.173=時速291km】

体重71kgの両さんをこのスピードで殴り飛ばすとは猛烈なパンチだ。最も飛距離の出る仰角45度で殴れば、両さんは670mも殴り飛ばされていた!

人間を三塁から本塁まで投げる両さんの肉体

両さんは体力も超人的である。筆者は確認できていないが、「自転車で新幹線を追い抜く」など、さまざまなレジェンドを残している。

筆者が確認した中にもモノスゴイものがある。それは72巻「晴天ひきうけます!の巻」。

両さんは、雨の日でも野球ができる大きなテントを作った。ところがその日は晴天で、テント内は50℃にもなる。ピッチャーは倒れ、バッターも倒れる中、両さんはバッターを引きずり起こして転がってきたボールを無理やり打たせ、担いでベースを回る。

しかしレフトの選手は元気で、バックホーム。そこで両さんは三塁から、担いだバッターランナーを投げる!激突されたキャッチャーは落球し、見事にランニングホームランが成立した。

両さんにしては地味なアクションに見えるが、三塁からホームまで人間を投げるとはただごとではない。しかも、バッターランナーは一直線に飛んでいった。

とはいえ、地球上において、水平に投げられた物体が、真の直線を描くことはないので、ここでは三・本塁間の27.43mを飛ぶ間に10cm落ちたとしよう。地球上で物体が10cm落下する時間は0.143秒。

この間に27.43mを飛ぶ速度は、時速691km!

バッターランナーの体重を70kg、投げる動作で彼を1m動かしたとすれば、両さんの腕力は132tである!

ほぼ垂直を自転車で登る両さんの肉体

マンガだけでなく、アニメでも両さんはすごい。最終回『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE FINAL 両津勘吉 最後の日』でもパワー全開だ。

犯人を逮捕したが、犯人が持っていた時限爆弾のタイマーが動き始める。爆発したら、半径500m以内が被害を受けるという。起動に気付いたとき、残り時間は4分47秒!

この大ピンチに、両さんは爆弾の入ったバッグを背負い、パトロール用の自転車で東京スカイツリー®を登り始めた!高さ634mの頂上で爆発させれば、地上に被害は及ばないという作戦だ。

両さんほどの肉体と体力があれば、こんなことが可能なのだろうか?

最大の問題は、タワーの鋼管が地面からほぼ垂直に伸びていること。アニメの画面で測定すると、その傾きは地面に対して85度。もう、ほとんど垂直である。

自転車が登れる坂の傾きには、根源的な限界がある。どんなに脚力があり、摩擦が十分に働いても、自転車と人間の共通重心(両者を一体と見たときの重心)が、後輪の接地点よりも前にないと、後ろにひっくり返ってしまうのだ。

アニメの画面で測定する限り、両さんの自転車が登れる坂道の傾きは、最大で40度。なのに両さんが登っている鋼管の傾きは、85度!

両さんはなぜ、そんなことができるのだろう?ひょっとしたら、タイヤがモノスゴク強力な磁石になっている……とか……?

この謎は解けないが、両さんのスカイツリー自転車登攀(とうはん)は、ダイナミックだった。

時間を計ると、地上450mの天望回廊まで50.6秒で登っている。スピードは時速32km。展望フロアまで上るエレベーター(時速25km)より速い!

だが、地上450mで自転車が壊れてしまった。もちろん、両さんはくじけない。そこからは自らの手と足でよじ登る。残る184mにかかった時間は、たったの13.4秒。このときのスピードは時速49km。100m走の記録に換算すると、7秒28だ!

両さんの100m走のタイムは10秒4と発表されている。なんとこのヒト、平地を走るより、鉄塔をよじ登る方が速い!

衝撃に耐え、爆発に耐え、おそらくは酸欠にも耐え、体はバウンドし、人間を投げ、自転車で鉄塔に登って40年。この超人ぶりのみならず、多彩な趣味、知識、技術、あくなき金銭欲、必ずやの破綻……とてもここでは総括しきれない豊かな人生である。

だからこそ、連載が終わって4年を経た今もなお、多くのファンを引きつけてやまないのだろう。人間の想像力は、本当に素晴らしい!

※記事では数値を四捨五入して表示しています。このため、示している数値を示された通りの方法で計算しても、答えが一致しないことがあります。

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