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「再生可能エネルギー」を3分解説!

気候変動対策の強化に向けてさらなる普及拡大が求められるエネルギー

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第24回のテーマは「再生可能エネルギー」。世界が気候変動対策を進める中で、改めて注目されるエネルギー源。最低限知っておきたい「再生可能エネルギー」のポイントを解説します。

さまざまな再生可能エネルギー

日本では法律および政令上の規定で、再生可能エネルギーを次の7種類と定義しています。

(1)太陽光
(2)風力
(3)水力
(4)地熱
(5)太陽熱
(6)大気中の熱その他の自然界に存する熱
(7)バイオマス

このうち、固定価格買取制度(FIT制度)及びFIP制度の対象となっているのが、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つです。

日本における再生可能エネルギーの設備容量を見ると、全体で133.8GW。実は世界第6位の導入量を誇ります。

中でも太陽光発電は74.2GW(世界第3位)と規模が大きいのが特徴です(国際再生可能エネルギー機関2021発表より)。

陸上風力発電も4.4GWの規模で導入されていますが、国土の約70%が山地であり、風況の良い平地が限られているため、海外に比べると大量導入が進みにくい状況にあります。

そうした中で期待されているのが、洋上風力発電です。

現在の設備容量はまだ0.07GWにとどまりますが、海に囲まれた日本において今後の開発が期待されています。

また、定義されている7種類以外にも、実用化に向けて研究開発が進められるエネルギー源があり、その一つが海洋エネルギーです。

一定方向で安定的に流れる海流を利用した海流発電、周期的に生じる潮の満ち引きを利用した潮流発電、海面の上下の動きを利用する波力発電など、今後の進展が注目されています。

再生可能エネルギーの現状

日本における発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2021年の国際エネルギー機関(以下、IEA)発表によると、2010年の9%から2020年には19%へ増加しました。

もともと、再生可能エネルギーによる発電量の大半は水力発電が担っており、2010年時点でも水力発電が7%を占めていました。

2012年、再生可能エネルギーのFIT制度が施行されたことで、太陽光発電を中心に水力発電以外の再生可能エネルギーによる発電量が急拡大しました。

2020年には水力が8%、他の再生可能エネルギー発電が11%となっています。

2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーについて、2030年に向け次のように言及されています。

「S+3E(※)を大前提に、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、再生可能エネルギーに最優先の原則で取り組み、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入を促す」

※S+3E:安全性(Safety)、安定供給(Energy security)、経済性(Economic efficiency)、環境(Environment)の頭文字を取ったもので、日本のエネルギー政策の原則。

一つ前の「第5次エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)では2030年度までの導入目標を22~24%としていましたが、「第6次エネルギー基本計画」では36~38%(太陽光14~16%、風力5%、地熱1%程度、水力11%、バイオマス5%)と大きく引き上げられています。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁『2030年度におけるエネルギー需給の見通し(関連資料)』より

世界における再生可能エネルギーの現状

IEAによると、世界の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は、2010年から2020年にかけて20%から28%へ拡大しました。

世界のエネルギー部門の長期的な見通しとして、IEAは「World Energy Outlook(世界エネルギー展望)」を毎年公表しています。

最新の2021年版では、2050年までにカーボンニュートラルを達成するために、再生可能エネルギーの割合を2030年には61%へ、2050年には88%へ増加する必要があると分析されています。

国・地域レベルでも、野心的な脱炭素化の目標に向けて、再生可能エネルギーの導入目標を引き上げる傾向にあります。

例えばEUでは、2030年までにGHG(温室効果ガス)排出量を1990年比55%削減という目標に向けて、同年までに最終エネルギー消費(産業活動や家庭などで最終的に消費されるエネルギーの総量)に占める再生可能エネルギーの割合を38%~40%にすると示していました。

しかし、2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻を受けて、EUはエネルギー安全保障の観点からロシア産化石燃料依存の低減を急速に進める方針を示しました。

省エネルギー、エネルギー供給源の多角化と共に、2030年の再生可能エネルギー導入目標を45%まで引き上げることが提案されています。

太陽光発電や風力発電などの発電コストは過去10年間(2010~2020年)で急速に引き下げられ、平均的には化石燃料発電の発電コストと同水準になりました(国際再生可能エネルギー機関2020発表より)。

国・地域によって再生可能エネルギーの適地やポテンシャルが異なる点や、統合コストを含めたコスト評価も踏まえなければなりませんが、脱炭素化を目指す世界にとって、再生可能エネルギーのさらなる拡大は待ったなしの状況です。

参考:
・経済産業省「なっとく!再生可能エネルギー」
・IRENA, “Renewable Capacity Statistics 2022”
・IRENA, “Renewable Power Generation Costs in 2020”

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