2024.10.23
再エネ普及に重要な役割を果たす。「DERMS」を3分解説!
分散型エネルギーリソースを統合的に管理・制御するシステム
エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「DERMS」。カーボンニュートラルの実現に向けて普及が期待される分散型エネルギーリソース(DER)を管理するシステムは、どのようなものか。最低限知っておきたい「DERMS」のポイントを解説します。
DERを統合的に管理・制御するシステム
DERMS(Distributed Energy Resource Management System)とは、分散型エネルギーリソース(DER)を統合的に管理・制御するシステムの総称です。
DERの例としては、太陽光発電などの再生可能エネルギー発電設備や、蓄電池、電気自動車(EV)、ヒートポンプ給湯器などが挙げられます。
これまでは電力需要に合わせて大規模集中型の発電設備が電力を供給していました。それに加えて、今後は再生可能エネルギー発電設備や需要側のDERの利用がさらに進むと考えられています。
DERの種類や規模はさまざまです。電力の品質を維持しながら電力系統にDERを組み込むためには、DERの運転情報を正確に把握した上で、電力の流れを適切に管理・制御することが必要となります。そのためのシステムがDERMSで、多様なシステムをさまざまなベンダーが開発しています。
DERMSとVPP
DERMSは、DERを既存の電力系統に統合しながら系統の安定を維持することに焦点を当てたシステムです。
フロント・オブ・ザ・メーター(※)やビハインド・ザ・メーター(※)の双方にあるDERを対象に、DERMSはサードパーティー・アグリゲーターを通じて、または直接、あるいは分散型コントローラーを使用してDERとの通信などを行います。
DERを活用する方法の一つとして、VPP(バーチャルパワープラント)があります。VPPは、DERを遠隔で統合制御し、あたかも一つの発電所のように機能させる仕組みです。その実装にあたっては、基盤となるシステムであるDERMSの存在が欠かせません。
※メーター(電力量計)を境に電力系統側をフロント・オブ・ザ・メーター、需要家側をビハインド・ザ・メーターという。
DERMSの実装に向けて
今後さらに多くのDERが電力系統に接続されると見込まれる中で、各国の系統運用者や電力会社はDERMSの実装にどのように取り組むかに直面しています。
米国や英国では、DERMSを用いた配電管理や系統運用の実証や検討が行われています。Smart Electric Power Alliance(米国)の報告書では、DERMSを導入する上で段階を踏んだロードマップの作成が重要と指摘しています。
既存システム、例えば配電管理システムやデマンドレスポンス管理システム、停電管理システムなどとDERMSの相互作用を理解し、利用目的に沿ったシステムの導入・活用を見込むことが必要です。
DERMSの実装にはまだ時間がかかりますが、電力系統の信頼性やレジリエンスを確保しながら、再生可能エネルギーの普及に向けて重要な役割を果たすことが期待されています。
参考:
・Smart Electric Power Alliance, “DERMS: State of the Industry 2023 – Gaps & Opportunities”, November 2023
https://s3.us-east-1.amazonaws.com/fonteva-customer-media/00Do0000000Yi66EAC/ITXPInjh_DERMS_State_of_the_Industry_2023_pdf
・Electric Power Research Institute, “Understanding DERMS”, July 2018
https://www.epri.com/research/products/3002013049
・Peter Asmus, “VPPs and DERMSs: Different Sides to the Same Coin How Alectra Is Building the Business Case for Integration”, Navigant Research, 3Q 2018
https://www.ashb.com/wp-content/uploads/2020/04/IS-2018-325.pdf
-
この記事が気に入ったら
いいね!しよう -
Twitterでフォローしよう
Follow @emira_edit