
2026.5.13
海上輸送の急所「チョークポイント」を3分解説!
エネルギーの安定供給を支える海上航路の要衝
エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「チョークポイント」。多くの資源や製品が大量に海上輸送されている中で、供給網を左右する急所とはどのようなものか。最低限知っておきたい「チョークポイント」の要点を解説します。
代替航路のコストが大きい、代替航路が存在しない要衝
エネルギー資源を含むさまざまな製品が船舶で海上輸送されており、エネルギーの安定供給は信頼性の高い輸送ルートの上に成り立っています。
海上輸送の航路のうち、代替航路のコスト(航海日数、費用)が大きい、あるいは、代替航路が存在しない要衝のことを「チョークポイント」と呼びます。チョークポイントを通じて原油や液化天然ガス(LNG)などが大量に海上輸送されており、少しでも通過できない状況が発生すると、供給の大幅な遅延や輸送コストの上昇を招き、世界のエネルギー価格を押し上げる可能性があります。
伝統的なチョークポイントとして、マラッカ海峡(マラッカ・シンガポール海峡)、ホルムズ海峡、スエズ運河、バブ・エル・マンデブ海峡、トルコ海峡(ボスポラス海峡、ダーダネルス海峡)、デンマーク海峡、パナマ運河の7カ所が挙げられます。米国・エネルギー情報局(EIA)によると、2025年上半期には世界で1日当たり1億440万バレルの石油が供給されましたが、このうち61%がこれらのチョークポイントを通過しました。

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※「日本の海運 SHIPPING NOW 2025-2026」(編集・発行:公益財団法人 日本海事広報協会)を基にEMIRA編集部にて作成
中東からアジア向け石油・ガス供給の要「ホルムズ海峡」
2026年2月の米国・イスラエルによるイラン攻撃以降、世界のエネルギー供給に大きな影響を与えているのが「ホルムズ海峡」です。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年通期には1日当たり約2000万バレルの石油(原油75%、石油製品25%)がホルムズ海峡を通過しました。同海峡を通過する石油の輸出先の大部分はアジア市場向けで、特に日本、中国、韓国、インドが主要輸出先です。また、世界のLNG貿易の2割超がホルムズ海峡を通過しています。
ホルムズ海峡を迂回(うかい)するルートとして、輸送規模は限定的であるものの原油パイプラインがサウジアラビアとUAEに存在します。ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことから(※2026年4月末現在)、紅海やオマーン湾へ抜けるこれら原油パイプラインへの注目も高まっています。しかし、たとえ原油が紅海へ抜けたとしても、欧州や北米へ輸送するにはスエズ運河を、アジアへ輸送するにはバブ・エル・マンデブ海峡という他のチョークポイントを通過しなければなりません。一方で、特にカタールから産出される天然ガスについては、代替輸送ルートとなるパイプラインが存在せず、ホルムズ海峡を迂回する手段はありません。
重要性を増す喜望峰経由の航路
スエズ運河とバブ・エル・マンデブ海峡を通航する石油・LNG輸送量は2024年から激減しました。この背景には、2023年11月以降、紅海を航行する船舶へのフーシ派の攻撃によって、紅海の情勢が不安定化したことがあります。ホルムズ海峡だけでなく、紅海の通航にも引き続き警戒する必要があります。
一方、喜望峰は南アフリカの南端に位置し、喜望峰を経由する航路は世界的な主要貿易ルートの一つとなっています。EIAによると、喜望峰を経由する石油輸送量は2025年上半期に1日当たり910万バレルと世界の石油海上輸送量の11%を占めました(2023年比、約47%増加)。紅海の情勢が不安定な中で、喜望峰経由の航路は航海日数を要し運賃や輸送コストが増加するものの、迂回ルートとしての重要性が高まっています。
輸送ルートやチョークポイントの重要性は、化石燃料の輸出入に限定されるものではなく、日本がさまざまな資源を海外から輸入する限り、引き続き変わりません。直近の中東情勢を踏まえると、特に原油の9割以上を中東から輸入する日本は、供給源および輸送ルートの多様化が強く求められます。
参考:
・U.S. Energy Information Agency (2026), “World Oil Transit Chokepoints”
https://www.eia.gov/international/analysis/special-topics/World_Oil_Transit_Chokepoints
・International Energy Agency (2026), “Strait of Hormuz Factsheet”
https://www.iea.org/about/oil-security-and-emergency-response/strait-of-hormuz

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