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振動の熱変換で高い静粛性を実現!マツダの最新技術が国産車に革命をもたらす

ボディーの骨格を工夫した減衰構造により、騒音の低減に成功

近年、新たなモデルの自動車が発表されると決まってよく耳にするワードが“車内静粛性の向上”ではないだろうか。快適なドライブを楽しむためには、車内の居住性や静粛性を快適化することが必要不可欠であり、各自動車メーカーがこぞって力を入れている。そうした中、走行中に生じるさまざまな振動が騒音となる前に別のエネルギーに変換させるという新たなアプローチ法で、これまで以上に静粛性を高めた車がマツダから登場。その最新技術をご紹介する。

静粛性へのマツダの挑戦

一貫して“走る楽しさ”を提案してきた国産自動車メーカー・マツダは、5月24日より新世代商品の第1弾として「MAZDA3(マツダ・スリー)」の発売を開始した。

創立100周年を来年に控えるマツダ。

アクセラからMAZDA3へのフルモデルチェンジを皮切りに、以降のマツダ車は“第7世代”にあたる、新しい技術の投入を前提に開発された新世代商品へと生まれ変わる。その幕開けを飾るMAZDA3は、これからの100年を見据えた試金石となる1台だ。

「アクセラ」の後継モデルとしてデビューを飾ったMAZDA3。ボディータイプはセダンとファストバックの2種類

2010年からマツダのデザイン哲学となっている”魂動(こどう)デザイン”。

今回MAZDA3では、”引き算の美学”によって無駄な要素を徹底的に省いたボディーでさらなる深化を遂げた。加えて、究極の内燃機といわれる「SKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)」の搭載車がついにラインアップされるなど、その独自の世界観と技術は業界に大きなインパクトを与えている。
※SKYACTIV-Xに関する記事はこちら

MAZDA3の中でも特に注目したいのが“静粛性”だ。

振動によって生じるエネルギーを集めて熱エネルギーに変換し吸収するという驚きのテクノロジーを初採用して、これまでとは比べものにならないほどの静粛性の実現に成功したという。

人間が不快に感じる急激な音圧の変化の低減に成功

車はエンジン音や高速走行時の風切り音などさまざまな要素を起因としてNVH(振動騒音)が発生している。そのNVHが大きければ、当然車内の快適性が失われるため、これまで各自動車メーカーはサスペンションによる減衰やエンジンパネルの配置を工夫することなどでNVH対策を施してきた。

その中で、ステアリングからコマンダーに手を移動するといった腕の動き、筋肉の使い方に至るまでの徹底的な人間研究に基づく車開発をポリシーとするマツダ。これまでの市販車では、荒れた路面でのロードノイズといった音圧レベルのコントロールに加えて、乗車した人が感じる音の到来方向、音の時間変化などの改善を追求することでNVH性能を高めてきた。

そして今回のMAZDA3の開発にあたって着目したのが、過度に変化する音や振動の差の大きさだ。

例えば、舗装された道から荒れた道に進入した場合、現状では路面から伝わる振動よりも車室内の音の変化の方が大きく、これが不快に感じる原因になっていることを突き止めた。そこでMAZDA3には“振動エネルギーを集めて吸収(減衰)する”という新しい考え方を織り込んだ。

MAZDA3は連続する滑らかな面で構成されるボディーを全て鉄で形成。鉄はエネルギーを伝達するが、減衰しにくいという特性を持ち合わせるため、いかにエネルギーを減衰させるかが課題となった

車体の骨格の中には補強素材として「節」と呼ばれる箇所が存在し、通常は4カ所がスポット溶接されている。

だがMAZDA3では、スポット溶接を3点とし、残る1点にあえて振動エネルギーを集める構造を採用。その1点に独自開発した特殊樹脂を緩衝材として配し、振動エネルギーを熱エネルギーに変換する“減衰節”とした。

節の1点に特殊樹脂を装着し、減衰節が作られたBピラー

ねじりが大きく、骨格断面が変形しやすいBピラー上部を含む計10カ所に振動エネルギーを集めて吸収する減衰節を設定

“減衰節”によって変換された熱エネルギーはボディー外部へと放出される仕組みとなる。

これにより路面から伝わる振動エネルギーの変化と音の変化の差を減少させ、人が感じる不快感を低減させているという構図が成り立つ。

減衰節の仕組みを示したイメージ図

減衰節や減衰接着剤の設置箇所。パネル部の高歪エネルギー部位に減衰接着剤、骨格断面の高歪エネルギー部位には減衰節と振動エネルギーが集まる場所の特性に応じて配置することで効率的に振動エネルギーを低減

振動エネルギーを熱エネルギーに変換するという新手法で今まで以上に快適な静粛性を実現したMAZDA3。

エネルギーをうまく扱うことで、今後の日本車の在り方を変えていく可能性を秘めた、注目の一台となることに期待したい。

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