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世界初!?24時間365日稼働“完全自動”ドローンを大解剖

充電も離着陸も人手いらずの「DRONEBOX」とは!?

ゆっくりと基地のゲートが開いて、ドローンがテイクオフ! 問答無用でかっこいい。そんなSF映画のようなプラットフォームを持つ「DRONEBOX」が注目を集めている。特筆すべきは、充電から離着陸、データ送信まで、人の手を借りずに“全自動”で行えること。果たして、どんな作業を任せられるのか?

遠隔地に“放置”でも運用できる!

DRONEBOXは、専用ドローンと有線・モバイル回線に対応した基地(通信設備)のセット。基地には、電源のない環境にも対応するソーラーパネルもオプションで搭載可能だ。

シンガポールのH3 Dynamicsが開発したシステムを、東京を拠点にドローン事業を展開するブイキューブロボティクス・ジャパンが昨年10月から国内独占販売。ことし夏ごろの本格展開に向けて、現在はパートナー企業との実証実験を進めているという。

ドローン自体は30~45分の連続飛行が可能。基地は雨対策のために防水処理されており、要するに“置きっぱなし”でOK。あらかじめ決められたルートを自動飛行するほか、充電、離発着なども自動で運用できるため、これまで操縦するオペレーターの配備が困難だったエリア・用途での運用が可能だ。

ドローンを使うために、わざわざ現地まで行くコストやリスクを抑えられるというわけだ。

電源がないエリアでは、基地の天板に設けられたソーラーパネルによる蓄電も可能。国内用は電源が取れるエリアでの運用を想定しており、ソーラーパネルはオプションとする予定

設定したルートを巡回したら自動で基地に戻り充電を開始

「これまでも“自動で運航”するドローンは他にもありましたが、“ドローンを現場に運搬する”などの人手が必要なく、“運用も完全自動”で行えるシステムはDRONEBOXが初めてではないでしょうか」と語るのは、ブイキューブロボティクス・ジャパン事業開発部の吉井太郎氏。

ドローンの発着時は、DRONEBOX上部の扉が左右に開き、1m四方のヘリポートが自動で上昇して離陸する。高精度GPSなどの測位センサーで位置を正確に認識するため、着陸時もほとんどズレなく降下するという。

基地に格納されたドローンが飛び立つ瞬間

「電源がある環境では1時間の充電で30~45分の飛行ができるので、複数台置いてローテーションで動かせば現地の巡回が途切れることはありません。単純計算で、3台並べておけば24時間体制で完全自動運用することも可能です。また、弊社が持つ映像伝送システムを組み合わせることで、ドローンが捉えた映像を複数拠点でリアルタイム受信することもできます」(同氏)

映像が確実に撮影されているか? これまでのドローンは送信機でしかリアルタイムで確認することができず、詳細は帰還後に記録データを確認するしかなかった。よって、せっかくドローンを飛ばしても狙った場所が写っておらず、“二度手間”になってしまうことも…。

そんな悩みを解消したDRONEBOXの活躍が最も期待される用途は、災害時の状況確認だ。警察や救急、災害対策本部などが、タイムラグなしで同じ映像を確認することで、より迅速かつ効果的な救助活動を行えるようになるのだ。

また、ドローンに搭載するカメラを載せ替えることで、メガソーラーの異常箇所の点検や、害獣・人物の感知も可能となり、幅広いシーンで応用することができる。

水素電池の搭載で3~4時間の連続飛行が可能に?

昨年12月、DRONEBOXの技術を最大限に生かすため、ブイキューブロボティクス・ジャパンは三重県とドローンを活用した地域活性化に関する包括協定を締結。同社が自治体と協定を結ぶのは宮城県丸森町に続いて2例目だ。

「防災・減災や施設の巡視・保守点検などで三重県の行政課題を解決し、同じような課題を抱えている自治体にドローンの活用法を発信していくことが弊社の役目です。また、観光や農林などの産業振興にもドローンを応用しつつ、それに関わる人材育成も促進することで地域活性化につながるのではないかと期待しています」(同氏)

半径1.5kmほどのルートを巡回することができる

一方、開発元のH3 Dynamicsは元々MIL規格(軍用)の電池を開発するメーカーで、近年は水素電池の研究も進めている。その技術をDRONEBOXに応用することができれば、将来的には3~4時間の連続飛行が可能になるとか。

選択するサービスで価格が変わるものの、メンテナンスや映像配信システムなどを含めて運用費は月額数十万円が目安だ。

高齢化社会の日本では、今後ますます遠隔地の設備で点検や警備を担う人材が不足することが予測されている。「24時間365日、全自動」での運用も不可能ではないDRONEBOXが活躍の場を広げれば、人間はより生産性の高い作業に集中できる。

何事も効率化することが正しいとは限らないが、ドローンが活躍するシーンが広がれば広がるほど、“人手”という貴重なエネルギーを他の場面で有効活用できるのは間違いなさそうだ。

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