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10月21日は「あかりの日」。電気への感謝とともに考える世界の明かり事情

世界に数多く残る無電化地域へ広がる支援の輪! 手軽に参加できるアクションも

世界には電気の届かない無電化地域で暮らす人も数多い。国家間、または民間レベルでの支援も広がっているが、全ての人の暮らしを明るく照らすことは容易ではない。「あかりの日」だからこそ、身近な電気・エネルギーについて考えるきっかけとなるデータや活動を紹介する。
TOP画像:(C)まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

約7人に1人は電気がないのが当たり前

今からさかのぼること140年前。かのトーマス・エジソンが白熱電球を発明した10月21日(1879年)は、照明に関連する3団体(日本照明工業会・日本電気協会・照明学会)から構成された「あかりの日」委員会が制定した記念日「あかりの日」だ。

木綿糸を炭化させたフィラメントを発明し、約45時間の点灯を実現させたエジソン。その後、日本製の竹をフィラメントに用い、約2500時間も点灯する白熱電球の開発にも成功。電気を使う生活様式を広く根付かせたエジソンの功績は、計り知れないくらいに大きい。

日本では今や当たり前となった「明かり」のある生活だが、世界に目を向けてみると電気が不十分な国や地域が数多く存在する。

国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、2016年時点で無電化エリアに暮らす人は約10.6億人。世界の人口が約74億人なので、約7人に1人が電気のない暮らしを送っている計算だ。

無電化地域が多い国はアジアやアフリカに集中。インドでは約2.4億人(無電化人口のうち約23%)、サブサハラと言われるエリアでは約5.9億人(無電化人口の約55%)が電気のない暮らしを強いられている。

IEAの2016年度統計を基に作成された無電化地域を表す円グラフ。アジアではインドが突出しているのがよく分かる

出典:資源エネルギー庁

ちなみにサブサハラとは、アフリカ大陸北部にまたがるサハラ砂漠より南に位置する地域のこと。モロッコやアルジェリア、エジプトなどを除くアフリカ大陸のほとんどの国がサブサハラに位置していることからも、無電化エリアの広大さが分かる。

無電化の理由はさまざまだが、第一の理由としては経済面が挙げられる。発電所や送電線を造るには莫大な費用がかかり、建設後にも維持・メンテナンスに一定額が発生する。そもそも、無電化エリアには電気を買えないほどの貧困に苦しむ人も多いため、そのような人たちのためにエネルギー分野へ投資する余裕がないというのが実情だ。

インド・デリーのスラム街でレンガを運ぶ少女たち。貧困から無電化地域での暮らしを強いられるケースも多い

(C)kouji / PIXTA(ピクスタ)

他にも、治安が安定していない国では、電気などのインフラ整備が後回しになっている傾向が強い。

また、紛争から逃れるために作られた難民キャンプはへき地にあることも多く、送電網を張り巡らせることが物理的に難しいなどの要因もある。

国家間、そして民間レベルでの支援

無電化地域を解消するため、日本政府も長きにわたって資金や技術の協力を行っている。

1993年度と1996年度には、政府開発援助(ODA)を通じてインドネシア1562村落の電化を達成。合計150.9億円を有償資金協力として拠出した。

また、2008年度から2年間にわたり、サブサハラに位置するシエラレオネ共和国を支援。首都・フリータウンの電力安定化において、合計16.51億円を無償資金協力している。

2017年度の二国間政府開発援助分野別配分を見ても、数ある項目の中からエネルギー分野に全体の10.14%を拠出。これは、輸送および貯蔵の38.41%に次ぐ2番目の数字だ。

ODAと聞くと遠い存在になってしまうが、もっと身近な民間レベルでも支援の輪は広がっている。

電機メーカー大手のパナソニックでは、2013年度から2018年度にかけて『ソーラーランタン10万台プロジェクト』を実施。アジアやアフリカを中心に30か国、合計10万2716台の自社ソーラーランタンを寄贈した。

5つのLEDチップを搭載するソーラーランタン。3段階の明るさが調節でき、最大100lx(ルクス)。USB端子を備えているため、携帯電話を充電できるのも特徴だ

これは、無電化地域で普及している灯油ランプの代替品として使用してもらうため。

ソーラーランタンを使うことで高額な灯油代が削減できるほか、燃焼時に発生する有害物質もカット。さらに、灯油ランプに比べて十分な明るさを確保できるため、日没後の作業や子供の勉強時にも生かされる。

灯油ランプ(上)だけでは満足な明かりが得られない。一方、ソーラーランタン(下)を使うことで生活様式は一変する

この活動を通しパナソニックは、SDGs(持続可能な開発目標)に設定されている複数の目標に貢献したとして、社会課題の解決に一石を投じた企業を顕彰する『企業フィランソロピー賞』≪未来を拓くAKARI賞≫をことし2月に受賞(1月に決定)した。

2018年度以降も同様の活動を続けている同社。10月1日からは『みんなで”AKARI”アクション』の一環として、同社の照明・管球全商品の売り上げの一部をソーラーランタン寄贈の費用にすることを発表。期間は来年の1月末までで、2月以降にアフリカやアジアの無電化地域へ約6000台の発送を目指すという。

『みんなで"AKARI"アクション』の概念図。この他にも、古本やCDを寄付することでソーラーランタンの費用に充てる活動も実施中

「あかりの日」を通して世界の無電化地域に住む人のことを考えてみるのはもちろん、もっと省エネができる家電製品への切り替えを検討してみるのはいかがだろう。

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