1. TOP
  2. トピックス
  3. 窓や外壁で発電する時代に突入! 大成建設×カネカが建材と一体化した太陽光発電システムの開発に成功
トピックス

窓や外壁で発電する時代に突入! 大成建設×カネカが建材と一体化した太陽光発電システムの開発に成功

ビルや集合住宅への導入で、温室効果ガス削減&災害時のエネルギー源としての活躍に期待大

高層ビルやマンションの建設ラッシュが続く東京。デザインや居住性が求められるのはもちろんだが、大手企業や公共施設ではエネルギーの削減・創出に向けた取り組みを行うケースも多く、その拠点となる建物には最先端の工夫を凝らすことが求められている。そうした中、窓や外壁から発電するシステムを大成建設とカネカが開発し、注目を集めているという。屋上に太陽光パネルを設置する必要がなく、スマートに発電できる新技術を紹介する。

温室効果ガス削減の切り札・ZEBとは?

地球温暖化が問題提起されてから久しい──。耳慣れてしまい実感が薄いかもしれないが、気象庁がことし1月にこんなデータを発表した。

2019年の日本における平均気温の基準値(1981~2010年の30年平均値)からの偏差は+0.92で、1898年の統計開始以降で最も高い値になったというのだ。さらに、世界の年平均気温(基準値との偏差:+0.42℃)で見ても、1891年の統計開始以降で2番目に高い値になるという。

温暖化の要因としては、二酸化炭素などの温室効果ガス増加と自然・気候変動の影響が大きいと結論づけられている。

温室効果ガス削減にはさまざまな方法があるが、環境省のホームページで特設サイトが作られるほど注目を集める取り組み・ZEB(ゼブ)をご存じだろうか?

ZEBとはNet Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称。環境省によれば「快適な室内環境を実現しながら、建物内で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指したビル」と定義づけられている。

人が建物の中で活動する以上はエネルギー消費量をゼロにできないが、“省エネ”と“創エネ”を組み合わせることで消費量を正味(ネット)でゼロにしていくという新しい考え方だ。

ZEBの概念を分かりやすく表した図。省エネと創エネをバランスよく組み合わせることが重要

出典:環境省

電灯の数を減らす、エアコンの設定温度を控えめにするなど比較的簡単に取り組める省エネに比べ、ビルの屋上で太陽光発電をすることが一般的な創エネはハードルが高い。

そうした背景を受けて開発されたのが、建設業界の盟主・大成建設と化学メーカー・カネカがタッグを組んだ「T-Green(R)Multi Solar」だ。

高い意匠性でビルや公共施設への親和性も◎

日本ではオフィスビルや商業施設でのエネルギー消費量が増加傾向にあることから、国を挙げてZEBへの取り組みが進められている。

そうした中、大成建設ではZEBの実現に向けて2014年に実証棟を建設。新しいシステムの開発や従来技術の効率化などを図ってきた。

今回開発したT-Green Multi Solarは2種類あり、どちらも窓や外壁などの建材と太陽電池が一体化しているのが最大の特徴。太陽電池モジュールとして世界最高のエネルギー変換効率24.37%(一般的には15~20%ほど)を達成したカネカの技術提携を受けて作られており、その性能も折り紙付きだ。

まずは、外壁部に太陽電池を組み込んだソリッドタイプ。電極線が見えないような工夫が施されており、さまざまなビルにフィットする高い意匠性を持つ。

電極が見えにくいため、通常のビルに使われる外装と見間違えるほどのソリッドタイプ

次に、窓ガラスと一体化したシースルータイプ。ストライプ状に太陽電池を配置することで高い透過性を確保し、発電しつつ採光できる仕組みを作り上げた。

また、2枚のガラスで両面太陽電池を挟むことにより、発電効率の向上につなげている。

これは、Low-Eという遮熱や断熱に優れた金属膜を建物内側のガラスにコーティングすることで、屋内に入ってきた光を近赤外線として太陽電池に反射させる特許出願済みの仕組みだ。

シースルータイプが発電と採光を同時に行う様子(上)。同タイプで両面太陽光電池が発電する概念図(下)

太陽電池モジュールとしての変換効率(素子)はどちらも約20%。ただし、シースルータイプは半分が開口部(ガラス)のため、実質約10%となっている。どちらのタイプも一般的な外装材と同等の強さを持ち、30年以上の発電を持続させることが可能だという。

気になる価格は、通常の窓もしくは外装のコスト+太陽光パネルの同等以下とし、その導入しやすさも普及が期待される要因だ。

創エネとして日常使いできるのはもちろん、災害時に独立した非常用電源としても活躍するT-Green Multi Solar。蓄電池を用いれば、使い方のバリエーションが増えることは想像に難くない。

今後はZEBを目指す企業への導入、または災害時の活動拠点となる公共施設、災害時の居住継続機能を高めたい集合住宅などへの施工を目指すとする大成建設。すでに東京都内にある学校の校舎の一部に使われることが決まっており、2021年春ごろの完成予定だという。

これまでは、独立したパネルを屋根や屋上に設置することが当たり前だった太陽光発電。設置する場所の面積や環境の問題から導入を断念せざるを得なかったケースも少なくなく、外壁や窓で発電できる技術にかかる期待は大きい。

温室効果ガス削減に向け、ZEBへの取り組みが加速するとされる2020年代。

ふと外出先で見上げたビルの窓や外壁に、T-Green Multi Solarが普及しているような環境に優しい未来を期待したい。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE
  1. TOP
  2. トピックス
  3. 窓や外壁で発電する時代に突入! 大成建設×カネカが建材と一体化した太陽光発電システムの開発に成功