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購入商品のCO2排出量を可視化!消費者の選択軸を変える「商品炭素簿」って?

テックシンカーがwebブラウザで商品のライフサイクルアセスメント(LCA) を算定できるサービスを運用開始

食品などの日用品が、「原材料調達」「生産」「物流・販売」「使用・維持管理」「廃棄・リサイクル」の商品ライフサイクルの5段階でそれぞれにおいて生み出すCO2排出量。その数値を可視化し、排出量を明確にすることで消費者の購入基準を「価格」から「価値観」に転換させる「商品炭素簿」が2022年8月に登場した。複数製品のCO2排出量を比較し、環境負荷のより小さい商品を選択することにより、脱炭素社会実現への貢献が期待される画期的なサービスを紹介する。

製品の全ライフサイクルにおける環境影響を評価

世界気象機関(WMO)および国連環境計画(以下、UNEP)により、1988年に設立された政府間組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)の第5次評価報告書によると、現状のまま地球温暖化が進んだ場合、2081~2100年の世界平均気温が2.6~4.8℃上昇すると予測されている。

また、UNEP(国連環境計画)発表の報告では、2050年にCO2の濃度が2倍になった状態を想定し、異常気象・海面上昇による土地の喪失、漁業・農業への悪影響、さらには水不足などにより全世界で年間約35兆円以上の損害が発生する可能性を示唆している。

環境問題に対する危機感が強まる中、近年は持続可能な社会や開発を支援するためにさまざまな領域でLCA(製品やサービスに対する環境影響評価の手法のこと)が広く活用されるようになっている。各企業は、LCAによって定量的に算定された環境負荷の結果を参考にし、複数製品のCO2排出量を比較、環境負荷の小さい製品を選択することができる。また、LCAはCO2排出量の可視化を通じて企業にCO2排出削減を促し、脱炭素社会の実現への貢献も期待されている。

「商品炭素簿」でできること

カーボンオフセットの取り組みを支援するプラットフォームを運営する株式会社テックシンカーからリリースされた「商品炭素簿」は、Webブラウザを通じて手軽に利用できるのが特徴だ。アプリのように、ユーザーが利用の前にあらかじめダウンロードしておく必要はなく、商品のCO2排出量を可視化できる。

商品単位での脱炭素促進やCO2排出に関する取り組みの社内外に向けた発信に活用可能

使い方は、ユーザーが商品のライフサイクルである原材料調達や生産、流通・販売や使用・維持管理、そして廃棄・リサイクルにおいて投入される資源、事業者の活動規模である「原材料の質量」「生産時に用いた電気・水道の量」「輸送や利用者における電気・水道利用量」「廃棄・リサイクルの質量」といったデータを入力すると、CO2排出量が算出される仕組みになっている。

商品のライフサイクル(5段階)において排出される二酸化炭素換算量(g-CO2eq/eq:equivalent)を算出

CO2排出量の表示は、消費者の「モノを買う基準」を変えることが可能になると期待される。「環境に優しい商品・サービスのために5%高い価格を支払っても良い」と考える消費者も実際にいることは事実。コモディティ化により価格競争に陥りやすくなった日用消費材などでは、消費者の選択軸を「価格」から「価値観」に転換させるに当たり、CO2排出量の表示が有効になるだろう。

カーボンオフセットへの取り組みが見られない企業は、今後、消費者による商品・サービス購入選定時に選択されなくなる傾向が強まるとも予測されている。「商品・サービスをつくる基準」を変えて環境負荷を低減するための方法を工夫すると、企業は商品・サービスの差別化や顧客の囲い込みといったビジネス機会の獲得や、売り上げの向上が期待できるわけだ。

これまで消費者や企業がカーボンオフセットに取り組む際に課題となっていた「プロセスが不透明」「手続きが煩雑」という問題を解消すべく、テックシンカーが設立した「オフ・エミッション」プラットフォームでは、「商品炭素簿」の他にもCO2可視化ツールとして、月々の生活費からCO2排出量を計算し可視化することで脱炭素ライフスタイルを促進する「家計炭素簿」をはじめ、会議やイベント開催時のCO2排出量を可視化する「イベント炭素簿」なども提供している。

「商品炭素簿」の大きな特徴は、「自主的に情報を開示するため、CO2eq(温暖化係数を用いて各温室効果ガスをCO2相当量に換算した値)排出量を算定したい」というニーズを持つ企業を想定して開発された点。商品単位での脱炭素の促進や取り組みの社内外に向けた発信に活用が可能だという。

透明性も高く、分かりやすい情報提供が、消費者の意識変化に大きな影響を与えるだけでなく、どの工程でどれだけのCO2をロスしているかが見える化されることにより、同一商品を扱う企業同士のCO2削減に対する意識改革にも影響を与えることが期待できそうだ。

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