
2026.10.30
ドローン×AI で見抜く! 新型の密漁監視システムで密漁者を発見
関東学院大学が次世代型密漁対策の実証実験をとおしてシステムの有効性を立証
関東学院大学、神奈川県立海洋科学高等学校、横須賀海上保安部、横須賀市は、ドローンとAIを駆使した監視・取り締まりシステムを新開発。横須賀市沿岸部におけるアワビやサザエなどの密漁の抑止に活用する実証実験を実施した。昨年に続く実施となった今年度は実際に密漁者を発見しており、密漁監視の効率化への期待がより高まった取り組みについて解説する。
この記事のポイント
- ドローンとAIを組み合わせた新型の密漁監視システムを開発
- 実証実験で実際に密漁者を発見し、システムの有効性を確認
- 密漁監視の効率化と将来的な自動通報の実現を目指す
密漁者を判別するためのシステム構築を目指して
東京湾の湾口部に位置する横須賀市沿岸部は、潮通しの良さが特徴でアワビやサザエなどをはじめとするさまざまな水産物が水揚げされる漁場として知られている。しかし、近年はこれらの水産物を狙った密漁が後を絶たず、地元の漁業関係者に深刻な被害をもたらしている。
密漁は貴重な水産資源を守る上でも喫緊の課題であるが、広大な海岸線や夜間の監視・取り締まりには人手が必要だ。また、レジャー客が軽い気持ちで採取する事案も多く、横須賀海上保安部による監視・取り締まりだけでは限界があるという。
こうした状況を解消するべく、関東学院大学情報学部の元木誠教授および研究室によるドローンとAI技術を活用した密漁監視・取り締まりシステムの開発に、ドローン操縦士の登録講習機関である神奈川県立海洋科学高等学校、横須賀海上保安部、横須賀市の全面協力が実現。2025年より、システム構築に向けた実証実験が進められてきた。

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密漁監視・取り締まりシステムはドローンの機動力とAIの高度な画像解析能力を組み合わせ、ドローン映像に映る人物が密漁者かどうかをリアルタイムで検知する
画像提供:関東学院大学
実証実験1年目の2025年は、AIの学習データの収集を実施。海上保安官が密漁者役となり、岩場に隠れる、海に潜る、採捕物を袋に入れるなど密漁行為を海上で再現する様子をドローンで撮影。

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撮影した映像から1万枚以上の画像を切り出し、1枚1枚にアノテーション(AI学習用のラベル付け作業)を手作業で行った
画像提供:関東学院大学
研究室の学生たちは何をもって密漁者とするのか、基準となる行為について繰り返し議論を重ね、最終的に密漁に使用する網やヘラに着目する検知基準を設定しシステム構築に成功した。
2年目の実証実験中に密漁者を発見
関東学院大学では、昨年度の検証で得られたデータを用いて約1年を費やしAIの学習を進化させ、画像判別に加え、動画による判別を可能にし、さらに高精度化。そして、2026年7~9月に4回にわたりAI搭載ドローンを横須賀市の密漁多発海域で飛行させ、密漁が疑われる人物をAIが自動で検知できるか、その精度と実用性の評価・検証を行った。
その結果、実証中の8月、飛行中のドローンが密漁者と疑わしき人物を発見。撮影した画像と動画をAI でリアルタイムに判別し、「密漁者の可能性が高い」との結果が得られた。そのため、待機していた海上保安官が、その人物に声掛けを行ったところ「サザエ、トコブシなどを採捕した」ことを認めた。

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画像と動画でAIがリアルタイムに密漁者を検知した際の判定画面
画像提供:関東学院大学
今回の実証実験で、AI の精度向上、さらにドローンとAI を組み合わせた監視の有効性が実例をもって確認できたことは、今後の密漁監視の効率化に結びつくだろう。
関東学院大学では、将来的にドローンが自動で密漁者を検知、関係機関へ即時通報するシステムの社会実装を目指す。

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text:サンクレイオ翼












