空想未来研究所2.0

シンフォギア響のパンチは7500億kcal!月を蒸発させる美少女たちの膨大なエネルギー

「戦姫絶唱シンフォギア」の絶唱なシーンを考察してみた

マンガやアニメの世界を研究する空想未来研究所が、今回取り上げるテーマは「戦う少女の強さ」。セーラームーン、プリキュアなど数多くの美少女戦士たちが地球の平和を守ってきたが、今回は想像を超える戦闘シーンを見せる「戦姫絶唱シンフォギア」の少女たちが秘めたエネルギーの大きさについて考えてみました。

エネルギーに満ち満ちた戦う女子たち

『美少女戦士セーラームーン』(1992~97年)は、新しい時代を切り開いたアニメだった。

悪と戦う正義のチームが、全員女子!彼女たちは、敵の妖魔を怖がったり、泣いてしまったり、タキシード仮面に助けてもらったりしながらも、地球の平和を守り抜いた。

同じ女子だけのチームながら、対照的なのが『プリキュア』シリーズ(2004年~)だ。巨大な怪物に真っ向から挑んで蹴る蹴る!岩やビルにたたきつけられて、めり込んでも立ち上がり、勇猛果敢に戦う!

そんな「戦う女子たち」の一つの頂点を極めたのが、『戦姫絶唱シンフォギア』(2012年~)であろう。

人を飲み込んで炭素に変えてしまう未知の存在ノイズ。これに唯一対抗できるのが、聖遺物の欠片のエネルギーから生み出された鎧型武装「シンフォギア」だ。これを身に着けて「装者」となれるのは限られた適合者だけ。劇中の適合者は全て少女たちだ。シンフォギアの力は、それが発する旋律に合わせて歌うことによって発動するため、彼女らは歌いながら戦う必要がある。

その力というのがまたすごい。中でも驚くべきは、「絶唱(ぜっしょう)」によって引き出される「限定解除」。

立花響(たちばな・ひびき)の体の後方に長さ100mほどのビームが伸びて、パンチやキックを強化する!
風鳴翼(かざなり・つばさ)の剣が身長の30倍ほどに巨大化する!
雪音クリス(ゆきね・-)の背中から300連装ほどのミサイルランチャーを備えた翼が出現する!

これらを駆使して、空中、宇宙、異世界で、激しい戦闘が展開される。この大スケールの戦いで放たれる莫大なエネルギーに迫ってみよう。

少女たちは生身でも充分に強い

物語の中心となる装者たちは、先ほどの3人の他に、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、月読調(つくよみ・しらべ)、暁切歌(あかつき・きりか)、小日向未来(こひなた・みく)。彼女たちの実力は、第2期『戦姫絶唱シンフォギアG』のラストシーンに表れている。

武装組織「フィーネ」のウェル博士が、巨大な怪物「ネフィリム・ノヴァ」を出現させる。それは1兆℃の熱を持ち、爆発すれば地表は蒸発する。地球を守るには、異世界「バビロニアの宝物庫」に収納するしかない。

響ら6人は「ソロモンの杖」で宝物庫に通じる穴を開け、ネフィリム・ノヴァを落とし込むが、マリアが引きずり込まれてしまった。残る5人も宝物庫に突入。激闘を繰り広げたのち、ソロモンの杖で脱出に成功する。すぐにソロモンの杖を投げて宝物庫を閉じなければならないが、砂浜に落下した全員にその力は残っていない。宝物庫の入り口は、青空にぽっかり口を開けている。地球蒸発の大ピンチ!

ここへ、響の親友である未来が駆けてくる。砂浜に刺さった杖を投げて、バビロニアの宝物庫を閉じた!

これにはビックリ。宝物庫の入り口は、かなりの高さにあり、そのすぐ後ろに積雲(せきうん。わたぐもとも呼ばれ、高度500~2000mにできる)が浮かんでいたから、高度は1000mほどと見られる。未来はこの高さまでソロモンの杖を投げたのだ。シンフォギアを装着していないのに!

宝物庫の入り口は、地面から見て仰角30度ほどにあった。地上からの直線距離は2000m。到達するまでの時間は13秒だった。すると未来は、空気抵抗を無視しても、杖を時速550kmで投げたはず! 

杖の重量を1kgとすると、発揮したエネルギーは2.8kcalである。えっ、たったそれだけ?と思ってはいけない。

人間が1秒間に発揮できるエネルギーは全力運動でも1kcalほど。未来が投げる動作で槍を1m動かしたとすれば、その動作には0.013秒しかかからなかったはずで、1秒あたりに発揮したエネルギーは220kcal。常人の220倍である!

生身で、この強さ。鎧型武装シンフォギアを装着していたら、どうなっていたのだろうか。

少女たちは山の高さの順位を変える!

その答えの一つが、第3期『戦姫絶唱シンフォギアGX』の冒頭にある。

地球に帰還するスペースシャトルが制御不能に陥る。響、翼、クリスはミサイルで宇宙空間へ出て、シャトルの外壁に取りつく。3人はシンフォギアから巨大な武器を出して空気抵抗でシャトルの速度を落とそうとするが、前方のカラコルム山系を回避できない。標高世界2位の山、K2が迫る!

この絶体絶命に、クリスが大量の小型ミサイルで頂上の下部を打ち砕き、響に「ぶん殴れ!」と叫ぶ。響はミサイルが砕いた破片をパンチで吹き飛ばし、シャトルは見事に山を通過。直後、山頂部がダルマ落としのようにズシーンと落下した。

つまり、山の中腹を破壊して、頂上部が落ちてくる前に、隙間を通り抜けようという作戦なのだ。

空想の世界でも、屈指の危険なミッションである。支援する組織のオペレーターは「K2の標高、世界3位に下方修正」と報告していたが、そんなコト言ってる場合なのか。

K2は標高8611mでエベレスト(8848m)に次ぐ。世界3位はヒマラヤ山脈のカンチェンジュンガ(8586m)、4位はこれもヒマラヤ山脈のローツェ(8516m)。ここからK2が世界3位になったということは、その標高低下は、8611m-8586m=25mを超え、8611m-8516m=95m以下だったはず。ここでは、中間値の60mだけ低くなったと考えよう。

現実世界のシャトルは全高15mだった。劇中のシャトルも同じだとすると、頂上部が60m-15m=45m落ちるまでに「頂上部の底面の直径」を抜けなければ押しつぶされる。その時間はわずかに3.04秒だ。

画面で測定すると、頂上部の底面の直径は790m。必要な速度は時速940kmだ。地上8000mでのシャトルの速度は時速900km前後だから、超絶ギリギリ!

だが、制御不能とは「減速不充分」ということだろうから、もっと速かった可能性が高い。ここだけは、制御不能で良かったですなあ。

少女たちの貢献度に大差アリ

このK2ダルマ落としには、どれほどのエネルギーが必要だったのか。これは、(1)クリスがミサイルで岩石を打ち砕く、(2)響がパンチで破片を吹き飛ばす、の2段階に分けて考える必要がある。

(1)頂上部が円錐形だとしたら、ミサイルは、その下部の円錐台(プリン型)の部分を破壊したと考えられる。詳細は省くが、重量は9200万t。これを爆破するためのエネルギーは68億kcal。TNT爆薬は1tあたり100万kcalのエネルギーを放つが、それでも6800tが必要だ。

(2)シャトルは無事に通過したのだから、響が吹き飛ばした破片の速度はシャトルの速度を超えていたはずだ。9200万tの破片を時速940kmで飛ばすのに必要なエネルギーは7500億kcal。TNT爆薬に換算して75万tだ。

これは、山腹を打ち砕いたミサイルの109倍。クリスと響は、力を合わせてスゴイことをしたように見えるけど、エネルギーに注目すると、響の方が貢献度は高かったということですね。

響が発揮した7500億kcalは、未来が出した2.8kcalの2700億倍。人が違うので明言はできないが、シンフォギアを装着すると、3000億倍ぐらい強くなる模様である。

少女たちの敵は月の破片を地球に落とす!?

こんな彼女たちと戦うのだから、敵の強さも半端ではない。驚いたのは、第1期『戦姫絶唱シンフォギア』の終盤だ。

裏でノイズを操っていた美女・フィーネが、その正体を現す。彼女は人類の征服を目論んでおり、そのための手段として「カ・ディンギル」という巨大な荷電粒子砲で月を破壊しようとする。

放たれたビームは月の中心を外れたものの、月の端が割れて、地上から肉眼で確認できるほど巨大な破片が生じた。この破片に、フィーネは長大な鎖を伸ばして突き刺し、絶叫しながら引っ張る、そしてこう言ったのだ。

「月のカケラを落とす!」

支援組織の軌道計算によれば、直撃は避けられないという。この豪快過ぎる美女は、どれほどのエネルギーを発揮したのか。

アニメの画面で月の直径と比較すると、破片の差し渡しは2400km、厚さは450km。重量は330京tで、地球の全陸地の海面上の重さの9.4倍にも及ぶのだが……。

月は地球を秒速1180mで公転している。中心間の平均距離は38万4000kmだ。これに鎖を突き刺して引っ張ると、公転する秒速1180mに、引っ張った速度が加わり、月は楕円軌道を描き始める。

楕円軌道には、最も近くを通過する「近地点」と、遠くを通過する「遠地点」があり、引っ張る速度によっては、近地点で地球にぶつかる可能性がある。これに必要な速度は、秒速955m、気温15℃のときの音速を基準にすれば、マッハ2.8である。

330京tの物体を秒速955mで引き寄せるためのエネルギーは、3600垓(がい)kcal。などと書いても伝わりにくいので、数字で書くと、360,000,000,000,000,000,000,000kcal。科学で使われる表記法では、3.6×1023kcal。響がK2の破片をぶっ飛ばしたエネルギーの4800億倍。わ~、やっぱりこの美女、怖いよ~。

だが、このシーンには不思議な点がある。月の破片は、フィーネの体重よりはるかに重い。それをマッハ2.8で自分に向かって引っ張ると、「作用・反作用の法則」により、自分も猛スピードで破片に向かってぶっ飛ぶはずだ。

長身なフィーネの体重を60kgとして、その速度を計算すると、光速の99.9999999999999999999999999983%。

月の破片を落とそうとして鎖を引っ張った瞬間、自分自身が亜光速で月の破片に向かってすっ飛んでいってしまう!

激突のエネルギーは3.2×1029kcal(3.2穣kcal)で、月を引っ張るエネルギーの89万倍。これは、地球を木っ端微塵に打ち砕くエネルギーの6倍だから、月の破片など跡形もなくなる!

なんと、科学的に考えれば、フィーネは自ら招いた災厄を、自ら解決してくれるはずだったのだ。ところが劇中では、月だけが落ちてきた。具体的にどうすればそういうことができるのかは、全然分かりません。

だが、月は落ちてこなかった。なぜか?

答えは簡単。響、翼、クリスの3人が宇宙に飛び出して、歌を歌いながら殴り蹴り、巨大な剣で斬りつけ、ミサイルを撃ち込んで、破片のほとんどを蒸発させたのだ!

330京tの岩石を蒸発させるエネルギーとは、3.8×1025kcal。フィーネが自らぶつかるエネルギーには及ばないが、それは劇中では起きなかったのだから、まあいいか。月を引っ張って落とすエネルギーに比べると110倍であり、響たちの方がはるかに強い!

上空1000mまで杖を投げるというのが、すでに仰天の行為なのに、その2700億倍のエネルギーで山の標高を低くする。かと思えば、その4800億倍のエネルギーで月の破片を地球に落とし、その110倍のエネルギーで破片を蒸発させる。ああ、少女&美女たちはどこまで強さをエスカレートさせるのか。人間の想像力は、本当に素晴らしい!

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