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「エネルギー価格高騰」を3分解説!

需給バランスが崩れ、エネルギー価格が大きく上昇

エネルギーの注目キーワードを3分で理解!第29回のテーマは「エネルギー価格高騰」。世界情勢の変化によって、エネルギー価格に多大な影響が出ています。最低限知っておきたい「エネルギー価格高騰」のポイントを解説します。

世界的なエネルギー価格の高騰

2021年後半以降、全世界を巻き込んでエネルギー価格が高騰し続けています。

新型コロナウイルス感染拡大からの経済回復によるエネルギー需要の増加、天候不順や災害、さらに2022年2月以降のロシアによるウクライナ侵攻などによって、エネルギーの需要と供給のバランスが崩れ、エネルギー価格が高い水準で推移しています。

例えば原油価格は、経済回復に伴う需要増加、2020年の原油価格低迷による供給側の生産減少やOPECプラス(石油輸出国機構とロシアなど非加盟主要産油国で構成)の協調減産による石油在庫の低下が、原油価格の上昇に影響を及ぼしました。

また、欧米主要国のロシア産原油禁輸措置の発表や、欧州のロシア産ガスからの脱却方針、ロシアの欧州向け天然ガス輸出削減が、原油価格やガス価格の高騰をもたらしています。

天然ガス価格は、2022年3月には欧州だけでなくアジアLNG(液化天然ガス)市場でも急上昇しました。特にオランダでは天然ガス指標価格(TTF。MMBtu当たり※)が、同年6月上旬の20ドル台半ばから高騰し、8月には90ドルを超える最高値を更新しました。

※Btu:英熱量。1W=3.4Btu / 時MMBtu=100万Btu

欧州における卸電力価格の高騰

二次エネルギーである電気も、卸電力価格が高い水準となっています。

例えば欧州では、各国を結ぶ送電線網によって国境を越えた電力融通が行われていますが、2021年後半から大きく価格が上昇しました。

この背景には、天候不順によって風力発電の発電量が低下し、代わりにガス火力発電の発電量が増加したことで、ガスの価格が高騰。それとともに卸電力価格も高騰したのです。

また、2022年夏は熱波の影響で電力需要が高まり、他国への電力輸出余力が低下した国が増加。そうした中、フランスの原子力発電所の多くが運転を停止したことで供給余力が縮小、卸電力価格の高騰につながりました。

欧州において、英国やドイツなど石炭火力発電の廃止を進めガス火力発電の割合を高めている国々では、卸電力価格が特に高騰しました。

卸電力価格の上昇を小売価格に転嫁し切れなかったことで、欧州では小売エネルギー事業者の経営破綻や発電事業者の経営難も相次いで発生しています。

日本のエネルギー価格にも影響

当然、日本においても、世界的なエネルギー価格高騰の影響は見られます。

原油価格の高騰を受けて、ガソリンをはじめとする燃料価格が高い水準で推移しています。

これを踏まえ、日本では2022年1月から「燃料油価格激変緩和対策」を実施しています。

これは、原油価格の高騰によってコロナ禍からの経済回復が阻害されることを防ぎながら、小売価格の急騰を抑制して消費者負担を低減することを目的としています。

この対策によって、例えばレギュラーガソリンの全国平均小売価格は167.9円/L(2022年12月現在)に抑制されています。同措置は、2023年前半にかけても引き続き実施される予定です。

また、電気料金の月別平均単価を見ると、2021年8月から2022年8月にかけて家庭用は約20%、産業用は約40%上昇しました。都市ガス料金の月別平均単価も、2021年8月から2022年8月の期間で家庭用が約30%、産業用が約80%上昇しています。

こうした背景から、電気・ガス料金の高騰に対しても、2023年1月から激変緩和対策が実施され、電気は低圧契約で7円/kWh、高圧契約で3.5円/kWh、都市ガスは30円/m3が補助されます。

各国でもエネルギー料金を補助する政策が実施されていますが、エネルギー価格の高騰がいつ収束するのか、見通すことは非常に難しい状況です。

参考:
・経済産業省『エネルギー白書2022』(2022年6月7日)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2022/html/
・経済産業省資源エネルギー庁『燃料油価格激変緩和補助金』
https://nenryo-gekihenkanwa.jp/
・経済産業省資源エネルギー庁『電気・ガス価格激変緩和対策事業』
https://denkigas-gekihenkanwa.go.jp/

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