スポーツマネジメントの極意

リアルとバーチャルが交差!ピクシーと秋田豊も加わりeスポーツで新たなプレースタイルの構築を目指す

株式会社 eスポーツジャパン 代表取締役 岡山哲也【後編】

現役を引退して以降、指導者としてのキャリアを積み重ねている“ミスター・グランパス”こと岡山哲也氏。自身の出身校である中京大学附属中京高等学校(以下、中京大中京高)のサッカー部監督を務める傍ら、2018年9月にはeスポーツジャパン社を立ち上げ、新チームである「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」でも指揮を執ることを発表した。現役時代とは全く異なる舞台で指揮を振るう岡山氏の真意とは?

名古屋のレジェンドたちが一堂に会したeスポーツジャパン

自身が指導している中京大中京高サッカー部に所属する選手たちの受け皿になれば、という思いでeスポーツに関心を持ち始めたという岡山哲也氏。自身も一流プレーヤーだったからこそ、当初は“eスポーツとはいえ、ゲームとスポーツは違う”という思いを抱いていた。

しかし、対象となるゲームがサッカーゲームの定番「ウイニングイレブン」だったことが、その考えを大きく変えることとなる。

コナミが販売しているサッカーゲーム「ウイニングイレブン」シリーズは、本物さながらの選手たちのリアルな動きとその操作性から、ゲーム愛好家だけでなく、過去に日本代表メンバーが合宿の余暇時間に楽しんだことがニュースになるなどプロサッカー選手の中にもファンが多い。

それだけにベンチから外れていたサッカー部員たちへの受け皿になると考え、中京大中京高にeスポーツの部活動を発足させたのは前編で記したとおりだが、それからさかのぼること数カ月前。岡山氏は「eスポーツジャパン」という会社を設立し、「STAND UP UNITED(スタンドアップユナイテッド)」というeスポーツチームを発足(2018年9月)させた。

これまでリアルなサッカーに約40年向き合ってきた岡山氏。プロサッカー選手としてのキャリアを経験し、そしてセカンドキャリアで指導者の道に進み、およそ10年が経ようとしている。そうした中、eスポーツと出合い、そこに新たな挑戦を見出したという。

「バーチャルの世界ですが、再び世界と戦えるチャンスがあり、日本一に挑戦できることが大きいですね。これは、リアルなサッカー指導者がバーチャル世界の指導者としてどこまで通用するのか、その可能性への挑戦とも言えます。

プロサッカー選手が引退後のセカンドキャリアとしてeスポーツに参入する可能性があり、さらに競技スポーツではなく生涯スポーツとして子供から大人まで誰でも楽しめる魅力があります。それを広く普及させるコンテンツこそがチーム発足の狙いでした」とその設立意図を語る。

2018年9月に発足した「eスポーツジャパン」の記者会見の様子。岡山氏(左から2人目)をはじめ、ヘッドコーチとして参加する秋田豊氏(左)の姿も

岡山氏は「eスポーツジャパン」代表と「STAND UP UNITED」監督を兼任し、ヘッドコーチにはかつて名古屋グランパスで同僚だった秋田 豊氏が就任。さらには現役時代の岡山氏を「ベストパートナー」と称したドラガン・ストイコビッチ氏(現 中国サッカー・スーパーリーグ・広州富力監督)もチーフアドバイザーとして名を連ねた。

往年の名古屋グランパスのレジェンドたちがこぞって集結した会見に、胸を躍らせたサッカーファンもさぞ多かったことだろう。

実際にプレーした人間だからこそできる新しいプレースタイル

「僕自身、ウイニングイレブンをプレーしたことはありますが、若いころならまだしもさすがに45歳ともなるとなかなか頭と手が付いていかなくて…」と、苦笑交じりに話す岡山氏。

だが、eスポーツジャパンでは監督として「ウイニングイレブン」の新しいプレースタイルを作り上げるため、eスポーツプレーヤーたちに自らの知識を伝授していく。いくらリアル過ぎるサッカーゲームとはいえ、現実のサッカーと比べると全く異なるもののように思えるが、岡山氏によれば“意外と親和性がある”のだという。

「eスポーツでは指以外の体を動かすことはあまりないですが、目の視点が現実のサッカーと同じという点で親和性があると思っています。例えば、ボール回しからのワンタッチプレーやコンビプレー、それにスルーパスなんかも現実さながらに再現できます。僕は現実のサッカーはたくさんプレーしてきたので、ゲームのテクニックはまだしも、サッカーの戦略的な部分なら教えることができます。実際のサッカーをプレーしてきた人間だからこそ、ウイニングイレブンの新しいプレースタイルが確立できるのではないかと感じていますよ」

ホワイトボードを使いながら戦略をレクチャーする岡山氏。リアルでもゲームでも指導方法は変わらない

実際に岡山氏も幼少期には、ワールドカップを特集したテレビ番組で世界トップクラスの選手たちの動きを欠かさずチェックし、そのプレーを頭でイメージしながら練習していたそうだ。

バーチャルとリアルという違いはあれど、お手本となり得るプレーを見て、成功パターンをイメージして実践するという点は全く同じ。そうしたイメージから生まれるエネルギーが、eスポーツプレーヤーたちの技術の向上につながっていくのだろう。

岡山哲也氏が思うeスポーツの未来とは?

eスポーツにおけるウイニングイレブンは通常のゲームとは異なり、3名1チームで相手と対戦するケースがほとんどだ。ゲームとはいえ、現実のサッカー同様、団体競技となるだけにメンバー同士の連携が重要となってくる。その点でも岡山氏の現役時代の経験や指導者としての体験が生きてくる。

そうしたeスポーツとサッカーとの親和性の高さは、将来あらゆる可能性を秘めていると岡山は語る。

「リアルからバーチャルに移行したり、バーチャルからリアルに移行することで何が得られるのかは非常に楽しみですね。ゲームの中で得た知識やテクニックが現実に生きてくるかもしれないし、反対にサッカーの経験がゲームで活用できるかもしれません。それにeスポーツは体を動かすわけではないので、70歳のおじいちゃんになってもできるし、そのおじいちゃんが孫ぐらいの年のプレーヤーと同じフィールドで勝負できますよね。

これはeスポーツならではだと思いますし、生涯スポーツとしても有効です。それと、オンライン機能を使えば、世界中の人との対戦が可能です。現実のサッカーの試合だと対戦国に遠征して試合をしますが、オンラインだとそれもありません。今の時代には合っているのかなと思います」

コナミデジタルエンタテインメントから発売されている「ウイニングイレブン 2019」

画像提供:(C)Konami Digital Entertainment

日本は先進国の中ではeスポーツへの着目が比較的遅い国とされているが、それだけにその可能性は無限にある。そんなeスポーツの未来像を岡山氏はどう考えているのだろうか──。

「僕の願望としては賞金大会がたくさん開催されるようになればいいなって思います。かつて小学生がJリーガーたちに憧れたように、eスポーツプレーヤーたちも子供たちから憧れられる存在になってほしいです。人が人を呼ぶためにはスターの存在が必要ですし、そうしたスターが子供たちを育てていくと思います」

未知の可能性を秘めたeスポーツの世界だからこそ、今後の発展が大いに期待できる。

岡山哲也氏率いるeスポーツジャパンが、その中心を担うことになる日もそう遠い話ではないはずだ。

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