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太陽光でガラスの色が自動変化! 遮光と発電を同時に行う窓が実用化に向けて前進

次世代の太陽光発電を担っていく存在!? 開発合戦が続くペロブスカイトとは

間もなく本格的な冬の到来。太陽の温かさに感謝する日が多くなる毎日だが、これは四季のある日本ならではの感覚だ。常夏の国・地域では、太陽光によって生じる温度を下げるべく膨大なエネルギーが消費されており、コストや環境面からも長年の課題となっている。そうした中、アメリカの国立機関によって、省エネと創エネが同時にできる技術が開発されているという。室内の温度を下げるための遮光と、空調や冷房にも使える太陽光発電を可能にする未来の窓を紹介する。

意外なほど身近にある技術を応用

クロミズム──。

外部から受ける何らかの刺激によって、物質の光物性(色や蛍光)が可逆的に変化する現象のことを指す。ちなみに可逆とは、外部からの刺激によって変化する前の状態に戻ることだ。

このクロミズム、与える刺激によってそれぞれの呼び名が異なり、さまざまな分野で実用化されている。

たとえば、光(紫外線)の刺激で色が変わるフォトクロミズム。身近なところでいえば自動調光レンズだ。屋外へ出た瞬間にサングラスのような濃い色へと変わる眼鏡をお持ちの人もいるのではないだろうか?

他にも、電気の刺激によって色が変化するエレクトロクロミズム。これは航空機・ボーイング787に採用された調光窓で一躍有名になった技術で、電気を加えると色が変化するもの。これまでのようにブラインドを下ろすことなく、スイッチ一つで好みの遮光度合いを選べる優れものだ。

そして、熱の刺激で変化するサーモクロミズム。熱いものを注ぐと色が変わるコップや太陽光の熱で模様が現れるTシャツなどに使用されており、これまたなじみ深い技術といえる。

このサーモクロミズムを用いた新たな研究が、アメリカ・エネルギー省の国立再生可能エネルギー研究所(以下、NREL)で進められているという。

コロラド州ゴールデンの町で進むサーモクロミックウィンドウの研究開発

NRELが実用化を目指すのは、太陽光の熱によって窓の色を変化させて遮光しつつ、発電も行うという「サーモクロミックウィンドウ」。

カギを握るのは、太陽光発電の未来をけん引していくかもしれない結晶構造「ペロブスカイト」だ。

研究者たちの注目の的・ペロブスカイト

アメリカでは全電力の約74%が住宅と商業用の建物で消費されているというデータもあり、省エネ策の一つとして建物の冷房や空調の使用を削減する取り組みが求められてきた。

窓の数を減らすことで冷房効率を高めることが可能となるが、採光やデザインの観点から見れば人が居住する建築物にとって窓は必須。いかに窓から入る太陽光の熱を抑えるかがポイントとなっていた。

そこで、NRELが目をつけたのが、サーモクロミズム。太陽光の熱で窓の色を自動的に変化させて遮光するという単純な発想のように思えるが、そこに発電する仕組みを付け加えた点が注目を集めている理由だ。

遮光と発電を同時に可能にするサーモクロミックウィンドウ。その働きは、2枚のガラスの間に挟まれたペロブスカイトという結晶構造を持つシートが担っている。

このペロブスカイト、シートやフィルムに塗布するだけで太陽電池の役割を持たせることができるため、汎用性の高さや設置コストの安さなどから従来のシリコン太陽電池の後継と考える研究者も多い。

NRELの中で別チームが研究しているペロブスカイト太陽電池の写真。曲げられるほど薄いのが分かる

その証拠に、2009年に世界初のペロブスカイト太陽電池が日本で開発されて以来、変換効率を上げる研究が熾烈(しれつ)化。開発当初は3.9%だった変換効率が、近年では20%を超えるようになってきている。
※東京大学先端科学技術研究センター・瀬川浩司教授による研究内容に関する記事「再エネ普及は躍進するか?有機系太陽電池が描く10年後」

このまま研究が進めば、シリコン太陽電池の上限と言われている29%を超える可能性が高いと見られており、面積や耐久性、作製コストの改善が日夜繰り広げられている段階だ。

本来のペロブスカイト物質は赤褐色を有するが、今回、サーモクロミックウィンドウ用に開発されたものは透明度が高いのが特徴。熱を感知しないときは、通常の窓のように機能する。

一方、熱を感知するとシートと共にガラスの間に入れられた蒸気が引き金となり、ペロブスカイトの結晶構造が鎖状やシート状に変化。黄色やオレンジ、赤褐色へと変化することで太陽光を遮断し、同時に発電を行う。

サーモクロミックウィンドウの試作品。透明から温度変化に伴って色が変わる

開発当初は65.5度以上にならないと色の変化が起こらなかったが、最新の研究では35度以上での動作を確認。ガラス内の温度が下がることで、シートが透明に戻ることも実証された。

また、色の変化に要する時間も3分から約7秒へと大幅に短縮。これにより、1年以内に実用化できるだろうと研究者は発表している。

現在、太陽光発電での変換効率は公表されていないものの、耐久性と併せて改善していくとするNREL。

サーモクロミックウィンドウが広く採用されることにより、無駄なエネルギーが削減されるのはもちろん、窓で発電するという新たな選択肢が加わっていくのかもしれない。

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