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低コストかつ大容量化! シャープが“亜鉛”を活用した新たな蓄電技術を開発

安価&安定供給が見込める豊富な亜鉛を蓄エネルギー物質に活用

再生可能エネルギーによる発電量の安定化に必要不可欠な蓄電池を用いた電力貯蔵技術。今後、再エネを主力電源化していくためには、電力貯蔵における技術革新が求められている。今回は、シャープが開発を開始した亜鉛による蓄エネルギー技術の詳細を紹介する。

再エネ拡大に向けた新たな電力貯蔵技術

カーボンニュートラル社会の実現に向けて、持続可能かつクリーンな再エネの拡大は欠かすことができない。

日本政府が策定した第6次エネルギー基本計画(2021年)によれば、2030年度における太陽光発電や風力発電などの再エネの電源構成比は36~38%程度を見込んでいる。

これは2021年の再エネの電源構成比約22%から10%以上増加させるとともに、主力電源化を目指すという意欲的な目標だ。

一方、自然条件によって発電量が変動する再エネを主力電源化するには、蓄電池(二次電池)の活用による電力供給の平準化は避けては通れない。

当然ながら、太陽光発電であれば夜間や曇天時など太陽が出ていない時間帯、風力発電であれば風車を回せない無風時は発電することはできない。

そこで、再エネの電力構成比伸張のため、革新的な電力貯蔵技術の開発が求められている。

そうした中、シャープ株式会社が今年8月、大規模な電力貯蔵に好適な「フロー型亜鉛空気電池」を用いた蓄エネルギー技術の開発スタートを発表した。

亜鉛による蓄エネルギー技術の利用イメージ

画像提供:シャープ株式会社

なお、この取り組みは環境省「令和4年度地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の「ボトムアップ型分野別技術開発・実証」枠での採択を受けたものだ。

リチウムよりも多くのメリットを生み出す亜鉛

空気中の酸素を活用して充電や放電を行う空気電池の一種である「亜鉛空気電池」。

蓄エネルギー物質(電気を蓄える物質)に用いる亜鉛は、多くの地域で産出・精製されるため供給も安定しており、産出国や精製国が限られるリチウムのように需給が逼迫(ひっぱく)する心配がなく、価格もずっと安価といわれている。

今回開発するフロー型亜鉛空気電池は、一般的な蓄電池の基本構成である充放電を担うセルと貯蔵部がそれぞれ独立しており、貯蔵部を大型化すれば簡単に大容量化できることも特徴の一つだ。

原理として貯蔵部はセルより低コストとなるため、安価な亜鉛との組み合わせにより低コストかつ大容量の蓄電池が実現できる。

加えて、亜鉛を浸す電解液には水系の液体を使用することで発火リスクが極めて小さく、有機溶剤(非水系)を用いた蓄電池よりも高い安全性が確保されるという。

フロー型亜鉛空気電池の概要図。充電時は酸化亜鉛が亜鉛に化学変化する際の電子を蓄え、放電時は空気中に含まれる酸素との作用で亜鉛が酸化亜鉛に戻る際に蓄えていた電子を放出。酸化亜鉛と亜鉛の変化サイクルを活用することで、繰り返し充放電が可能となる仕組みだ

画像提供:シャープ株式会社

カーボンニュートラル社会の実現に向け、「2050年における自社活動での温室効果ガス排出量実質ゼロ」を環境ビジョンとして掲げ、2035年までに60%削減(2021年度比)を目標に取り組むシャープ。

この技術の確立後は、オフィスや工場での自家消費用途、発電所およびマイクログリッド(電力会社の送電網に頼らない地産地消の小規模電力網)での分散型電力貯蓄用途などとして展開し、再エネの普及促進とともにカーボンニュートラル社会の実現に貢献していくという。

再エネの主力電源化実現の大きな可能性を示す今回の取り組み。

世界が進む持続可能な社会をけん引する意味でも、新たなエネルギー貯蔵技術の早期実用化に期待したい。

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