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世界初! 自立型のゼロ・エネルギー小型冷蔵・冷凍けん引トレーラー誕生

PoC TECHらが開発した太陽光発電の冷蔵・冷凍庫が、非常時は電力供給源に

再生可能エネルギー事業の提案・展開を行うPoC TECH株式会社と、冷蔵・冷凍庫を販売するコールドストレージ・ジャパン株式会社は、普通乗用車でもけん引できる小型の冷蔵・冷凍庫に太陽光発電を活用した“自立型ゼロ・エネルギー”の小型コールドストレージ稼働運用に世界で初めて成功。この機能を搭載したトレーラー「COLD STORAGEBOX Portable」の先行受注が始まった。再エネの発電・蓄電による自立運用で、災害時の電力供給源としての運用も期待されるトレーラーの詳細を解説する。

コールドチェーンが抱える課題の解消を目指して

生産地から小売まで冷蔵・冷凍状態に保って流通させる「コールドチェーン(低温物流体系)」は、物流業界が最終拠点から顧客へ商品を届ける「ラストワンマイル」の配送を自動運転車両やドローンに委ねる動きが加速する世相も後押しとなり、市場拡大が見込まれている。

また、生鮮食品や医薬品などの需要増加や技術の進歩によって、発展途上国を含む世界規模で広がるコールドチェーンの未来において、運送時の低温環境を作り出す電力の確保は非常に重要な課題だ。そしてサステナブルな社会の実現が叫ばれる昨今、コールドチェーンを整備する企業は、環境問題、温暖化対策を無視してエネルギー確保を行うことはできない。

再エネを軸としたエネルギー事業を展開するPoC TECHと、小ロット冷蔵・冷凍貨物輸送網の改善に取り組むコールドストレージ・ジャパンは、コールドチェーンが抱える課題を太陽光発電での解消を検討。コールドストレージ・ジャパンがリリース済みの低コスト・低出力で稼働、けん引可能な冷凍・冷蔵トレーラー「COLD STORAGEBOX」をベースに、「COLD STORAGEBOX Portable」を開発した。

「COLD STORAGEBOX Portable」は、外寸はL3034×W1460×H1990(各mm)、箱寸はL2200×W1000×H1500(各mm)。海外の商用コンセントにも対応する

電力供給源として災害時の活躍も期待

「COLD STORAGEBOX Portable」は、角度変更可能なソーラーパネルを並列に搭載し、600Wの定格出力が可能。最大1500W(100V)の出力で、コンテナ単体での自立した冷蔵環境の確保を実現した。

冷却ユニットは-25~5℃の範囲で1℃刻みの温度調整によるきめ細かな冷蔵品質対応が可能だ。また、太陽光で発電された電力はリチウムイオンバッテリーに蓄電され、充電済みの電力で保冷システムは約5時間、連続使用できる(電力消費毎時300Whの場合)。

設定により100Vは周波数を50/60Hzに変更可能、本体以外の100V電化製品へも電力供給できる。非常時は移動式の太陽光発電機としての役割を果たす

これらの機能を備えた「COLD STORAGEBOX Portable」は、例えば電気工事前の建設現場での冷蔵・冷凍スペースの確保や作業従事環境の熱中症対策、災害等の有事における避難所での食料や医療品の保管など、電力供給が難しい、発電設備のない環境での冷却システム、ならびに自立型エネルギー生産拠点としても役立てられる。

再エネでの電力の自立確保による冷蔵・冷凍庫の流通利用の促進はもちろん、両社はコールドチェーン網が不十分な発展途上国でのローコストな冷蔵輸送網の構築、農水産品の輸送・保管中のフードロス削減、医薬品の保管・輸送など、生活者のQOL(Quality of Life=生活の質)向上への寄与も想定している。

使用場所が限定されない自立したクリーンエネルギーの活用が、国境を越えて生活を豊かにする──。

小さなトレーラーに秘められた無限の利活用の可能性を、大いに期待したい。

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