
2026.8.24
ファン×半導体素子冷却ベスト着用で猛暑下の作業負荷軽減を確認
認知機能を保持しながら快適性向上、作業環境の改善に寄与
立教大学スポーツウエルネス学部の石渡貴之教授、安松幹展教授および松山大学人文学部の田中英登教授(横浜国立大学名誉教授)は、大東建託株式会社と株式会社昭和商会が共同開発した「ファン付きペルチェ式冷却ベスト」に関して、大東建託からの委託研究による実証実験を実施。このベストの性能について一定の有効性があることを確認した。
この記事のポイント
- ファンとペルチェ素子を組み合わせた冷却ベストの有効性を実証実験で確認
- 直接冷却の併用で皮膚温上昇を抑え、猛暑下の作業時における快適感が大幅に改善
- 作業者のストレス軽減や認知機能の維持にも貢献し、熱中症対策としての活用に期待
ファン付きウエアに“ペルチェ効果”をプラス
近年、猛暑が続く夏を快適に過ごすためのアイテムとして定着し始めた「ファン付きウエア」。体と服の間にファンが起こす空気が流れ、着ているだけで涼しい環境を生み出すこのウエアは、野外での作業服としても重宝されている。
大東建託は、半導体を用いて熱中症対策・空調ベストの開発・販売を行う昭和商会と共同で、ファン付き作業服に半導体冷却技術の“ペルチェ素子”※内蔵の冷却プレートを搭載したファン付きペルチェ式冷却ベストを開発。現在、工事職と工事監理職に貸与している。
ベストはモバイルバッテリーを電源として稼働。内蔵冷却プレートは、着用環境に応じベスト内側の首元または脇下のいずれかに装着可能で、外気温度から約20℃低い冷却面を実現する。
※通電すると、熱が作られるのではなく移動することで片面が冷えて、反対面が熱くなる“ペルチェ効果”を起こす半導体素子

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ファン付きペルチェ式冷却ベスト。内側の冷却プレートを脇下へ装着した状態
画像提供:大東建託株式会社

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ファン付きペルチェ式冷却ベストの冷却プレートを首元へ装着した状態(内側・外側)
画像提供:大東建託株式会社
今回の実証実験はファンによる気化熱に加えて、ペルチェ素子による直接冷却によって作業者の皮膚温度の上昇抑制、および主観的な負担軽減と認知機能の維持の有効性を確認する目的で実施された。
ペルチェ効果による直接冷却の併用で快適感を改善
実証実験では、32℃(暑さ指数 28℃)の暑熱環境下での軽運動中に、ファン付きペルチェ式冷却ベストを着用した際の生理・心理反応を測定した。

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実証実験の様子。ファン付きペルチェ式冷却ベストを着用し、30分間の歩行による運動負荷をかけた
画像提供:大東建託株式会社
従来のファン付き作業服は外気吸入による気化熱に頼るため、高気温下では効果が限定的だった。しかし、ファン付きペルチェ式冷却ベストはペルチェ効果による直接冷却の併用により接触部位はもちろん、非接触部位の上腕部の皮膚温上昇を約0.5℃抑制し、主観的快適感の改善が見られた。

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実証実験での皮膚温度の変化をサーモグラフィーで表示
画像提供:大東建託株式会社
さらに、実証実験では認知機能の改善も計測で確認された。これにより、ファン付きペルチェ式冷却ベストが暑熱環境下における作業者のストレスを和らげ、心身共に快適な状態を保つ一助となることが確認できた。
研究を行った石渡教授は「今後は、個々の⽪膚温度や⼼拍数に反応してファン⾵量やペルチェ出⼒を⾃動調整する『パーソナライズされた冷却制御』を検討することで、バッテリー効率と快適性のさらなる向上が期待できます」とコメント。
田中教授も「今回の職場環境における熱中症対策への取り組みは非常に価値があります。また、厚生労働省が進める建設現場における熱中症対策に大きく貢献するものであり、今後も『より快適で健康的な職場環境』の実現に寄与されることを期待しています」と語っている。
大東建託では今回得られたデータを基に、今後も夏季の過酷な建設現場を守るための環境改善をさらに推進。
また、昭和商会は本結果を生かし、さらなる製品性能の向上と実用化を目指す。

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text:サンクレイオ翼













