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「循環型社会」を3分解説!

3Rを基本とした環境への負荷をできるかぎり減らす社会

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第8回のテーマは「循環型社会」。気候変動や資源循環、生物多様性といったさまざまな問題に直面する中で、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムを根本から見直し、世界が目指すべき社会の形とは何か? 最低限知っておきたい「循環型社会」のポイントを解説します。

循環型社会とは、大量廃棄型社会からの脱却

循環型社会とは、①廃棄物などの発生を減らし、②廃棄物のうち有用なものを資源として活用し、③廃棄物を適切に処分することで、天然資源の消費を減らし環境負荷をできる限り低減した社会を指します。

これは、ものを大切に使ってごみを減らし(リデュース)、使えるものは繰り返し使いながら(リユース)、ごみを資源として再び利用する(リサイクル)という「3R」の考え方を基本とした、地球の環境と資源を大事にする社会とも言えます。

冒頭のような定義が2000年に成立した「循環型社会形成推進基本法」で示され、同時に国や自治体、事業者や国民の責務が規定されました。

例えば、事業者は「排出者責任」が明確化されており、廃棄物を適正かつ循環的に利用・処分しなければならない責任を負うとしています。

また、この法律に基づいて、国は具体的な施策をまとめた「循環型社会形成推進基本計画」を、およそ5年ごとに策定しています。

最新となる第4次計画は2018年6月に閣議決定されました。

新しい計画では、「多種多様な地域循環共生圏形成による地域活性化」や「適正処理の更なる推進と環境再生」といった7つの柱ごとに将来像や指標、取り組みが設定されており、国が2025年までに実施する施策が示されています。

注目すべき柱の一つに「ライフサイクル全体での徹底的な資源循環」があり、これに向けた国の取り組みの一例が2019年5月に策定された「プラスチック資源循環戦略」です。

日本は海洋プラごみ汚染ゼロに向けてリード

プラスチック資源循環戦略は、第4次循環型社会形成推進基本計画を踏まえて策定されました。

同戦略では、3R+Renewable(リデュース、リユース、リサイクル+バイオマスプラスチックなど再生可能資源への代替)を基本原則に、2030年までにワンウェイプラスチック(使い捨てプラスチック製品)を累積で25%排出削減することや、2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインにすることなどがマイルストーンとして掲げられています。

この背景には、廃プラスチックの有効利用率の低さや、海洋プラスチックによる環境汚染などが世界的な問題となっていることが挙げられます。

2019年のG20大阪サミットでは、2050年までにプラスチックごみによる新たな海洋汚染をゼロにするという「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を世界共通の認識として共有しました。

同ビジョンの実現に向け、日本は途上国の廃棄物管理技術の構築やインフラ整備などを支援することを表明し、イニシアチブ(マリーン・イニシアチブ)を立ち上げています。

循環型ビジネスモデルで競争力と環境保護の両立を目指す欧州

一方、欧州ではサーキュラーエコノミー(循環型経済)と呼ばれる資源循環政策が注目されています。これは、従来の3Rとは少し異なり、資源を循環させることで新たな市場や産業を創出し、雇用拡大にもつなげることが狙いです。

そうした中でEUは、2015年12月に「循環型経済パッケージ」を発表しました。持続可能な低炭素社会を実現させるため、資源の利用効率を高めて循環型経済へ移行するための行動計画を掲げたのです。

さらに2020年3月には最初の行動計画の成果を踏まえた新しい行動計画を発表。製品の設計と生産に焦点を当てて、資源を可能な限りEUの経済活動圏内にとどめることを目標に掲げています。

例えば、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の普及において重要な蓄電池(バッテリー)は、資源集約型の産業構造の中でも特に循環型モデルへと移行しやすいとみて、新たな規制枠組みの構築が推進されています。

日本やアジア諸国においても、今後は環境保護だけでなく企業や産業の競争力強化という観点から、国・自治体・企業・市民が循環型社会の実現に改めて取り組んでいく必要があるのです。

参考:
・環境省『令和2年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』(2020年6月12日)
・環境省『プラスチック資源循環戦略』(2019年5月31日)
・環境省『第四次循環型社会形成推進基本計画』(2018年6月)
循環型社会形成推進基本法(2000年6月2日)
※参照2021年2月22日

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