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「AETI」を3分解説!

アジアの持続的な経済成長とカーボンニュートラルの同時達成に向けた支援策

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第16回のテーマは「AETI」。アジアにおけるカーボンニュートラル達成に向けた道筋を描くために、日本が表明した国際的な支援策とは? 最低限知っておきたい「AETI」のポイントを解説します。

AETIとは、アジアに向けた日本の支援策

AETIは、正式名称を「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(Asia Energy Transition Initiative)」と言います。

2021年5月に開催された「日ASEANビジネスウィーク」のオープニングセッションで、梶山弘志経済産業大臣(当時)が初めて表明しました。

AETIは、アジアにおけるカーボンニュートラルの実現に向けた、各国のエネルギートランジション(エネルギー転換)に対する日本の包括的な支援策で、次の5つの柱に基づいています。

1.カーボンニュートラルに向けたエネルギートランジションのロードマップ策定支援
2.アジア版トランジションファイナンスの考え方の提示・普及
3.再生可能エネルギー、省エネ、CCUSなどのプロジェクトに100億ドルのファイナンス支援
4.グリーンイノベーション基金の成果を活用した技術開発・実証支援
5.脱炭素技術に関する人材育成・知見共有・ルール策定

※CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage。日本語では「二酸化炭素回収・有効利用・貯留」と訳される

アジア各国に沿った現実的なエネルギートランジション

ネットゼロ宣言をする国が相次ぐ中、急成長が今後も見込まれるアジア諸国の脱炭素化に向けた取り組みは世界から注目を集めています。

当然ながら、カーボンニュートラルを実現するための方法や道筋は一つではありません。

各国や地域におけるエネルギー資源の賦存量(ふぞん;潜在的に存在する量)や経済、エネルギーインフラなどの状況によって異なります。

特にアジアは、エネルギー需要が引き続き大きく伸びると考えられ、エネルギー安全保障を確保しながら経済発展を支えるために、今後も石油と天然ガスが重要な役割を果たすと見られています。

世界が目指す脱炭素化の実現に向け、どうすればよいのか。

そこに対して、日本はアジア各国の事情を考慮した転換(トランジション)の重要性を主張してきました。

さまざまなエネルギー源や技術を活用し、多様で現実的な途上国のエネルギートランジション実現のため、AETIの5つの柱を具体的な支援策のパッケージにしてASEAN諸国へ提示していく考えです。

期待されるのは革新的技術やファイナンス

AETI発表後、日本は新たに開催した「日ASEANエネルギー大臣特別会合」(2021年6月)や、定例会合の「ASEAN+3及び東アジアサミットのエネルギー大臣会合」(同年9月)などで、アジアのエネルギートランジションについて積極的に議論しています。

2021年10月に開催された「第1回アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合」では、ロードマップ策定に向けASEAN各国との対話が進んでいるという日本の成果が紹介されました。

また、同会合で指摘されたのが、革新的技術の導入やファイナンス支援の重要性です。

現在の国際金融業界では、特に化石燃料プロジェクトからの投資撤退(ダイベストメント)が進んでいます。

AETIの枠組みには、世界が進む方向に合わせつつ、アジアのエネルギートランジションを支える「アジア・トランジション・ファイナンス」の仕組み化に向けた後押しが期待されます。

参考:
経済産業省ニュースリリース(2021年5月28日)
経済産業省ニュースリリース(2021年6月21日)
経済産業省ニュースリリース(2021年10月4日)

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