
2026.8.25
需要が拡大する「重要鉱物」を3分解説!
経済的・産業的に不可欠でありながら、供給リスクが高い鉱物資源
エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「重要鉱物」。蓄電池や半導体、再生可能エネルギー設備など、今後需要の拡大が見込まれる鉱物資源とはどういうものなのか。最低限知っておきたい「重要鉱物」のポイントを解説します。
供給リスクの高い鉱物資源
重要鉱物(Critical Minerals:クリティカルミネラル)とは、産業活動や経済安全保障に不可欠である一方、供給途絶や供給集中のリスクが高い鉱物資源を指します。
日本では、「経済安全保障推進法」に基づき、安定供給確保の対象としてリチウム、ニッケル、コバルト、レアアース、グラファイト、ウランなど36鉱種が「重要鉱物」として位置付けられています。米国は2025年のリストで60鉱種、EUは2024年に34種類の「重要原材料(Critical Raw Materials)」を指定しており、リチウム、コバルト、ニッケル、レアアース、グラファイト、白金族などは共通しています。
ただし、各国・地域の産業構造や供給リスクの違いを反映して、対象となる鉱物に違いがあります。対象範囲に違いはあるものの、各国ともに経済的な重要性と供給リスクを重視する点は共通しています。
なぜ重要鉱物が注目されるのか?
重要鉱物への関心が高まっている背景には、脱炭素化やデジタル化の進展に伴って重要鉱物の需要拡大が見込まれることがあります。
国際エネルギー機関(IEA)の「Global Critical Minerals Outlook 2026」によると、電気自動車、蓄電池、送電網などの電力インフラ、風力タービンや太陽光発電(PV)、永久磁石を含むエネルギー技術における重要鉱物の利用拡大によって、2025年もリチウムやニッケル、レアアース、銅など主要な鉱物の需要が増加しました。特にリチウム需要は、過去2年間の平均で年間約25%のペースで増加しています。2040年までの見通しにおいても、複数あるシナリオの全てで重要鉱物の需要は強く伸びると指摘されています。
他方で、多くの重要鉱物について採掘以上に製錬工程が特定国に集中している点がリスクとして指摘されています。エネルギー関連の重要鉱物では、最大の加工・精製国の平均シェアは2025年に70%に達しました。ニッケルはインドネシア、それ以外の鉱物の大半は中国が最大の精製供給国となっています。
安定供給に向けた取り組み
重要鉱物の安定供給に向けて、日本では供給源の多角化、国内製錬能力の強化、省資源技術の開発、リサイクルの拡大、備蓄体制の強化が進められています。
独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、海外鉱山開発や製錬事業への出資・融資支援、資源国との連携強化を通じて、サプライチェーンの強靱化を図っています。また、経済産業省は2026年4月に「成長戦略『マテリアル(重要鉱物・部素材)」分野ロードマップ(案)」を発表し、永久磁石の確保として、リサイクルの技術開発や、省レアアース・レアアースフリー磁石などの開発に関する2030年の目標を掲げました。
こうした取り組みに加え、日本では、2026年2月に南鳥島周辺の排他的経済水域に存在するレアアース泥の回収に成功し、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)を中心に国内資源の開発に向けた技術的な検証が進められています。さらに、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)において、重要鉱物に関する協力はサプライチェーン強化の文脈で注目されており、今後は域内連携を通じた具体的な取り組みの拡大が期待されます。
参考:
・経済産業省「重要鉱物に係る安定供給確保を図るための取組方針」(2026年3月30日改定)
https://www.meti.go.jp/policy/economy/economic_security/metal/critical_minerals_torikumihoshin.pdf
・IEA (2026), “Global Critical Minerals Outlook 2026”, IEA, Paris
https://www.iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2026
・JAMSTEC, 南鳥島EEZ海域でのレアアース泥採鉱システム接続試験の結果について(2026年7月24日)
https://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20260724/

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