
2026.07.27
太陽光発電“更新”の時代へ。リパワリングで実現する高効率化
リパワリングの先駆者、GBP株式会社が見いだした太陽光発電の未来
FIT(固定価格買取制度)の導入を追い風に急拡大した太陽光発電事業は、近年、設備の経年劣化や故障、さらに将来的な大量廃棄への対応が課題となっている。その有力な打開策として注目されているのが「リパワリング」だ。リパワリングは太陽光発電事業が抱える課題をいかに解決し得るのか。国内におけるリパワリングの先駆者であるGBP株式会社(東京都港区)代表取締役の龍川洋平氏に話を聞いた。
(<C>カルーセル画像:kou / PIXTA<ピクスタ>)
太陽光パネルの取り換えが容易に進まない事情
2012年7月にFITが導入されて以来、太陽光発電は急速に普及した。しかし10年以上の時を経てその設備の老朽化が進む中、将来的な大量廃棄への懸念も高まっている。
【参照】
「再エネ」って今どうなってるの? 改正FIT法に見る日本のエネルギー
太陽光パネルの廃棄量はパネルの寿命にもよるが、今後2040年前後にピークを迎えると見込まれ、その兆候は既に現れ始めている。一般的に太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされる。しかし、設置環境やメンテナンス状況によっては、それよりも早く破損や性能低下が生じるケースも少なくない。

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太陽電池モジュール(太陽光パネル)排出見込量(寿命20年、25年、30年)
また、パワーコンディショナ(PCS)の耐用年数は10~15年程度とされており、FIT導入初期に設置された設備の中には、既に更新時期を迎えたものもある。

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太陽光発電システムの概要。太陽電池モジュール・アレイ(太陽光パネル)で発電した直流電力を集電盤(集電箱)に集めてPCSに供給。PCSで直流電力を一般の電気器具で使用可能な交流電力に変換される
こうした中で注目されるのが太陽光発電の「リパワリング」だ。
太陽光発電のリパワリング市場を早期より切り開いたGBP株式会社の龍川氏は、リパワリングが注目される背景を次のように語る。
「FIT導入当時に普及していた太陽光パネルは、技術的に未成熟な部分がありました。そのため、設置から10年近く経過すると、破損したり発電量が低下するパネルが目立つようになってきました。また、当時のメーカーが製品提供を終了していたり、中には経営破綻しているところもあり、本来は保証対象であっても保証を受けられないケースが増えていました。こうした相談が弊社にも数多く寄せられたため、リパワリング事業に注力するようになりました」
FIT制度では、出力10kW以上の産業用太陽光発電設備に対し、原則20年間の買い取り期間が設けられている。しかし期間を残したまま発電量や収益性が低下しているケースも少なくない。
「多くの産業用太陽光発電設備が完工したのは2014年ごろでした。そのため、まだ買い取り期間は残っています。しかし、発電性能の低下が進む一方で、当時のパネルは既に生産を終了しているケースが多く、しかもメーカーが経営破綻していたりするなど、同じ型番の製品を調達できないという課題があります 」
このような課題・ニーズが、同社における旧型番パネル互換品の国内累計50万枚超(2026年5月末現在)の受注・供給実績につながっている。

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「弊社では、交換が困難な旧型の太陽光パネルと同サイズの互換パネルを製造・提供することで、低コストでのリパワリングを実現しています」(龍川氏)
全面リパワリングと高単価FIT維持の難しさ
GBPでは、太陽光パネルの部分交換だけでなくPCSを含めた全面的なリパワリングの依頼も増えているという。
「耐用年数が10~15年とされるPCSは交換需要が高まっていますし、今後さらに増えると考えられます。ただし、PCSだけを交換しても発電量を大幅改善できるわけではありません。PCSは発電された直流電力を交流に変換する機器であって、変換効率は向上しますが太陽光パネルの性能が低下していると、変換自体に意味はあるのですが改善効果が得にくくなってしまします。ですので、PCS更新に合わせて太陽光パネルや設備全体の更新を希望されるお客さまも少なくありません」

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GBPによるリパワリングのイメージ。セントラル型PCS(左)を、高効率の電力変換が可能でコストパフォーマンスの良い分散型PCS(右)に取り換え、リスク分散や運用コストを低減する(画像はイメージ)
画像提供:GBP株式会社
しかし、全面的なリパワリングには大きなハードルも存在する。設備容量の増加や設備構成の大幅な変更を伴う場合、FIT認定時の設備との同一性が失われたと判断され、FITの買い取り単価が変更される可能性がある。
FIT開始当初の2012年度は、太陽光発電の売電価格(産業用)が1kWhあたり40円に設定されていた。その後、太陽光パネルの量産化や設置コストの低下に伴い買い取り額は段階的に引き下げられた。そのため、高単価FITで運用されている発電所にとって、全面リパワリングは慎重な判断が求められるという。
「仮に40円で売電している産業用発電所がリパワリングで認定変更の対象となれば、現在のFIT価格では9円程度まで下がる可能性があります。そのため、旧型パネルの部分交換だけでなく、FIT認定への影響も考慮した設計・施工からアフターサービスまでをワンストップで提供している弊社のサービスは高く評価されています。ただ、設備の状態によっては全面リパワリングが必要になるケースもあり、その場合はFITからFIPへの移行が選択肢の一つとなることもあり、発電所の現状や課題、ニーズに合わせて最適なプランを選ぶことが重要です」
【参照】
「FIP」を3分解説!
リパワリング市場の広がりと、その先の課題
GBPには現在、企業や行政が所有・管轄する太陽光発電施設のリパワリングの依頼が寄せられている。その中には例えば、集中降雪で太陽光パネルや架台が雪の重さに耐え切れず破損したケースなど、設置する地域の環境・気候にひも付く相談、塩害や獣害による設備トラブル対策なども少なくないという。
加えて近年は、銅価格の高騰を背景に機器同士をつなぐ銅製ケーブルの盗難被害も深刻化している。
「弊社では、銅製ケーブルの代替としてアルミ製ケーブルへの取り換えを提案しています。アルミは銅より導電率が低いものの、ケーブルを太くすることで同等の性能を確保できます。 また、アルミは銅に比べて材料コストが安価で盗難による転売価値が低いため、盗難対策にも有効です。この他、反射トラブルを抑えるためにパネルの色を変更したり、塩害や雪害が発生しやすい地域では、それぞれの環境に応じた設計を行ったりするなど、地域ごとの課題に合わせたカスタマイズ性の高いサービスを提供できることも弊社の強みです」

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アルミ製ケーブル(画像)は、カバーの色や重量が銅製ケーブルとは異なるため、視認性の観点からも銅を狙った盗難被害の回避にもつながるとされる
この他、同社では出力低下への対策として蓄電池システムの導入支援、太陽光パネルに(木々や看板などで)影がかかることでの発電量の低下を抑えるオプティマイザー※の開発など、太陽光発電を末永く効率的に行うための課題に向き合っている。
技術を武器に海外のリパワリング市場の開拓にも余念がなく、2026年4月にはヨーロッパで旧型番太陽光パネル互換品の初受注を獲得し、展開を加速させている。
「ヨーロッパは太陽光発電の全体量が多くリパワリングの割合はまだ低いですが、既に数百MW規模のリパワリング実績を持つ現地の事業者もいます。ただ、ほとんどの手法がすべて新品に更新するもので、旧型番パネル互換品を用い既存設備をなるべく生かすリパワリングはまだ一般的でないという認識です。弊社では旧型番パネル互換品を使ったリパワリングの認知拡大から取り組み、現在はドイツやフランス、オーストラリア、アメリカなどで事業を展開しています」
太陽光発電のリパワリング市場は今後ますます拡大していくだろう。一方で、その普及を進める上では大きな課題も残されている。
「弊社ではリサイクル事業も手掛けていますが、国内には使用済み太陽光パネルを適切に処理できる施設が圧倒的に不足しています。パネルは輸送コストが高いため、本来は設置場所の近くで処理するのが理想です。しかし、処理施設が限られているため、遠方まで運ばざるを得ず、余計なコストが発生しています。このままでは、今後大量に発生する使用済みパネルの処理が追い付きません。処理施設の整備とリサイクル体制の強化を進めなければ、不法投棄のリスクも高まるでしょう」
※太陽光パネルの発電量や電圧を制御・最大化する装置。パネルに影や汚れがかかった場合、他のパネルへの影響の波及を防ぐ

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環境省は「省CO2型の再エネ関連製品等リサイクル高度化設備への補助」を設定し、使用済み太陽光パネルのリサイクル設備導入を支援。2018~2023で計12件を採択、現在も支援を継続している
FIT制度の買い取り期間が順次終了していく中、太陽光パネルの交換・廃棄需要はさらに拡大すると見込まれている。
太陽光発電所を単に新設するのではなく、リパワリングでどう生かし、より持続可能なものにしていくかが、今後、社会でより求められていくだろう。

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text:木村敬(ウィット) edit:大場 徹(サンクレイオ翼) photo:下村 孝














