トピックス

再生可能エネルギーと相性抜群! レドックスフロー電池とは

太陽光発電との連動で大学内の照明に活用! 電力の安定運用と低コスト化を目指す

世界各地で導入が進む、再生可能エネルギーを使った発電方法。それと同時に進められているのが、発電された電力をためる蓄電池の開発だ。日本でも各企業がこぞって研究を行っているほか、日本の大学として初めてレドックスフロー電池(以下、RFB)を導入した埼玉工業大学でも新しい動きがあったという。3年間の研究を基に開発された新型RFBを用いた注目の取り組みを紹介する。

RFBのメリット、デメリット

2019年4月の法改正以降、ますます注目度が増している洋上風力発電。再生可能エネルギーを使った発電方法の中で、今、最も成長が見込まれる分野といっても過言ではない。
※洋上風力発電に関する記事はこちら

他にも太陽光や陸上での風力発電など自然の力を使った発電方法は数多いが、課題は共通している。コントロールが不可能な自然環境下において、いかに安定したエネルギーを供給できるかどうかだ。

そうした問題を解決するために期待されているのが、発電所や電力の基幹系統につなぐ大型の蓄電池。送電に余裕がある場合は蓄電、その逆の場合は放電することで、電力供給の安定化を図ることができる。

資源エネルギー庁を管轄する経済産業省でも、大型蓄電池の開発を積極的にサポート。中でも期待されているのが、バナジウムを使ったRFBだ。

RFBとは、電解液が各電池セルと電解液タンクの間を循環する際に酸化還元反応を起こすことで、充電と放電を行う仕組み。他の電池とは異なり、電池セル外のタンクに電解液が貯蔵されるという特徴を持つ。

バナジウム系RFBの原理(上)と全体の仕組み(下)。バナジウムは価数という化学状態の変化で、電気をためるための化学反応に利用できる

日常生活に幅広く使われているリチウムイオン電池(以下、LIB)と比べるとややなじみの薄いRFBだが、蓄電池として数多くの利点があるという。

まず、安全性が高い点。

電解液に使われるバナジウムイオン水溶液は不燃性のため、火災や爆発の危険性が極めて低い。

また、電解液が各電池セルと電解液タンク間を循環するため、各電池セル間の充電度合いが均一化されるという面を合わせ持つ。これにより、一部の電池セルに高い負荷がかかるという状態がなくなるため、電力の変動が大きな自然エネルギー向きといわれている。

もう一つ、耐久性が高い点でも評価が高い。

充放電を繰り返しても電極や電解液がほとんど劣化しないため、他と比べて長寿命。メンテナンスにかかる手間や時間を抑えられるため、ランニングコストが安くなるというメリットも考えられる。

しかし、問題点もある。

LIBと比べ5分の1とされるエネルギー密度の低さゆえ、とにかく規模の大きさが求められる点だ。

難しいからこそのチャレンジ

日本におけるRFBの歴史は、2000年代に大阪府の住友電気工業株式会社が実用化したことに始まる。これはもちろん大型の貯蔵設備を前提として考えられたものであり、中小型の設備は想定されてこなかった。

そこに着目したのが、埼玉県深谷市にある埼玉工業大学。家庭や街中で小さな太陽光発電や風力発電が普及する中にあって、中小型のRFBも実用化できないかと考えたのだ。

2016年、創立40周年を記念して造られた同大学の「ものづくり研究センター」に、全国の大学で初めてRFBを設置。韓国のエネルギー関連企業・HI GROUP Energy & HVAC社と共同で、課題解決に向けてさまざまな取り組みを行ってきた。

埼玉工業大学のものづくり研究センター。自然エネルギーや次世代自動車の開発プロジェクトが展開されている

ことし3月には、これまでの研究結果を基に開発した新型のRFBを設置。新たなフェーズへと突入する。

今回のシステムには、板状の電池セル40枚を1セットとしたセルスタックを1台設置。戸建て1軒分の電力マネージメントを想定し、出力は5.0kWで容量は6.6kWhとなっている。

新たに設置されたRFB。上部がセルスタックで、下部に見えるのがタンク。基本的には、タンクにためる電解液量によって電池の容量が決まる

このシステムに接続されるのが、大学内に設置された出力3.1kWの太陽光パネル。太陽光発電で得られた電力は大学内のLED照明に使われ、その余剰分がRFBに蓄電される仕組みだ。また、電力系統からの充電にも対応している。

RFBに蓄電された電気は、夜間や曇りの日に使われる照明のエネルギー源として自動的に放電される。蓄電と放電を繰り返すこのプロセスで、実際のコストや運用方法を探っていくという。

埼玉工業大学で行われている太陽光パネルとRFBを使った電力の流れを示した図

一般的な大型のRFBでは、現在のコストが1Whあたりおよそ110円。一方、同大学の研究では、産学官の連携により1Whあたり20円以下を目指している。

小型RFBの実用化が進めば、家庭への普及はもちろん、災害時の避難所として使われる公共施設や病院など、高度の安全性が求められる場所での運用も想定。太陽光パネルや風力発電と組み合わせることで、電力を安定供給することができる。

これからますます需要が高まるであろう再生可能エネルギーを使った発電設備と蓄電池。

小型のRFB実用化という常識を覆す研究結果が、埼玉の地で生まれる日も近いのかもしれない。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE