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チャレナジーが災害に強い次世代型のマイクロ風車を新開発!

都市部のベイエリアへ実証機を設置、非常時電源確保への新たな一歩へ

株式会社チャレナジーは、特定の基盤を必要とせず、移動・設置が簡単な置き基礎型風力発電機を開発した。基礎工事が不要で、自然災害発生時の再生可能エネルギー活用へ幅を持たせることが期待されている。この技術についてひもといていく。

騒音をなくしもっと身近に! 風力発電が抱える課題

全国各地で自然災害が頻発し、甚大な被害を招いている昨今、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)が災害時の非常用電源としても有用性を期待されている。近年は、企業が自然災害に対応するBCP策定において、燃料を必要とせず脱炭素化も図れる再エネ活用を重要視する傾向にある。

こうした背景から活用が期待される再エネの一つである風力発電だが、発電機の耐久性の弱さや風車が発生する騒音などが以前より課題となっていた。チャレナジーはこの課題に適応する風車として、プロペラ式ではない、人口密集地など限られたスペースにも設置できる次世代マイクロ風車を開発。2023年1月より販売を開始した。

さらに、従来の風力発電機はコンクリート基礎や杭基礎に固定されており移動が困難で、災害時すぐにアクセスして利用しにくいという課題に対し、同社は基礎工事不要で迅速に設置できる置き基礎型風力発電機を同年9月に開発。必要に応じて場所を選ばず、柔軟に移設できる風力発電機が誕生した。

※Business Continuity Plan/事業継続計画…緊急事態や危機が発生した際、企業が中心的な業務継続と事業の中断の最小化を目指す計画

省スペースで設置可能なサボニウス型風力発電機

今回開発された風力発電機は、垂直な板状の風車が回転して発電する“サボニウス(垂直軸)型”という方式を採用、独特な構造と機能性を備えている。

同社のサボニウス型風車は、低回転数・低騒音という特徴があり、都市部や住宅地での運用に適し、設置が容易である。今回のような移設を想定した自然災害時の活用に向いているとされる。

※世田谷区において、都市部で防災を兼ねたサボニウス型風車を新たに設置した記事:第一生命が挑む“地域住民のQOL向上”を目指したまちづくり

2023年1月より販売を開始した小型のサボニウス型風力発電機。通常時でも夜間のLED照明として活用できる

画像提供:チャレナジー

機能性における特性として、弱い風速でも発電を開始でき、風向きに依存することなく効率的に風を捉えることが可能だ。丈夫なモノコック構造に加えて、強風時14.5m/s以上になると回転を止めて風を受け流すデザイン(特許出願中)により、暴走や損傷のリスクを軽減する。これらの特性により従来のプロペラ型風車に比べて優れた耐久性と安定した発電性能を両立している。

また、回転数がプロペラ型風車の数分の一のため、騒音が少なく、恐怖心も与えにくい。

さらに、氷雪が付着しにくく、付着したとしても影響を受けにくい。冬季は太陽光発電の利用が難しい寒冷地での利用も可能だ。

これらの利点を有するサボニウス型風車に、迅速な設置や移動が可能となる置き基礎を組み合わせることで、「必要な場所に運んで、必要な期間だけ使う」ことが可能となる。緊急時や災害時においても電力を供給する手段として、チャレナジーはBCP対策における企業や自治体での導入を視野に入れ開発している。

今回開発された置き基礎型風力発電機は、東京都が最先端技術を用い持続可能な都市開発を推進する「東京ベイeSGプロジェクト」において、2023年9月より東京ベイエリア・海の森水上競技場に初の実証機が2機設置された。

※株式会社チャレナジー代表取締役CEO 清水敦史氏へのインタビュー記事:“台風発電”が次なるステージへ! 世界も注目するチャレナジーの挑戦

実証機(1機)は縦横共に約3m、高さは約5m。重量は約5t。風力による定格出力は100Wで、太陽光発電(128W)も可能。 LEDによる夜間照明も設置

画像提供:チャレナジー

実証を通じて、この新技術の風力発電機の効果と利点をさらに検証し、都市部や微風しか吹かないようなさまざまな場所やシチュエーションでの導入を目指す。

置き基礎型風力発電機に秘められた無限の利活用の可能性を、大いに期待したい。

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