1. TOP
  2. トピックス
  3. ナフサの代替に! 木材由来のセルロース繊維からプラスチック様材料の形成に成功
トピックス

ナフサの代替に! 木材由来のセルロース繊維からプラスチック様材料の形成に成功

分厚い加工も自由自在、サステナブルなプラスチック様材料普及へ活路

大阪大学産業科学研究所の石岡瞬助教と東京大学大学院農学生命科学研究科の齋藤継之教授、同大学院工学系研究科、第一工業製薬株式会社、国立開発研究法人 海洋研究開発機構(JAMSTEC)からなる研究グループは、木材由来のナノ繊維であるセルロースナノファイバー(以下、CNF)から成形自由度の高いプラスチック様材料の形成に成功。加熱しても軟化しにくく材料の膨張、収縮、変形も起きにくい、自由な成形が可能な部材として車のフレーム、建材などへの用途が期待される本研究について解説する。

サステナブルな材料の活用拡大を阻む課題

CNFは、木材の細胞壁を解きほぐして得られる直径2~3nmの結晶性ナノ繊維で、優れた機械特性および熱特性を有することで今後の活用が期待される木材由来のサステナブルな材料だ。

通常、プラスチックや金属などの汎用材料は、加熱すると柔らかくなり冷やすと再び硬くなる「熱可塑性」を有し、所定の形状に自由に成形できる。

ところがCNFは会合(粒子レベルでひも付け)させると高性能材料(ナノ粒子会合体)が形成される一方、その構造を維持したまま熱可塑化ができないため、材料としての用途には制約があった。

CNF会合体(粉体/シート)

画像提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

こうした課題に本グループは、CNF会合体を薬品、触媒などの処理を加えて性質や状態を変化させる改質を試みることで、熱成形を可能にする手法の研究に着手。予備検討を実施した。

次世代素材からプラスチックを生み出す

研究グループは、さまざまなCNFに正電荷(カチオン)の導入を行う予備検討を実施。その結果、イオン液体と呼ばれる低融点の塩を形成しやすく、高い解離性を有するカチオンの導入が、CNF会合体の熱可塑化に効果的であることが分かった。

そこでCNF表面が負電荷(アニオン)を持つように改質し、正電荷イオン(カチオン)とでペアを形成させて昇温、界面でイオンの位置交換を伴う運動(自己拡散)を誘起しCNF会合体の熱可塑化を試みた。

CNF表面をアニオンに改質し、解離性が高く低融点の塩を形成しやすいイオン液体のカチオンとペアを形成させ、熱可塑性を持たせる

資料提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

改質によりCNF会合体内部では自己拡散が誘起され、界面が効果的に熱可塑化される

資料提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

これにより研究グループは、CNFからなる粉体やシートから多様な形状の構造体を熱成形可能となることを実証。CNFの会合体からなる粉体やシートをより高い自由度で成形可能になることから、ナフサ(原油から精製される粗製ガソリン)に代わる、木材由来の材料によるプラスチックの代替技術の開発、塑造部材や放熱部材への応用の促進が大いに期待される。

研究グループによる熱成形性の実証。CNF会合体の粉体は、熱プレスにシート、平板などに熱成形が可能に

資料提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

研究グループによる熱成形性の実証。CNF会合体のシートはパッケージへの加工、多重積層による厚い積層板も高い自由度で成形可能。CNFの利用可能な領域が大きく広がる

資料提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

また、研究グループが見いだしたこの手法は、酸化グラフェンの会合体にも適用可能であり、多様な組成や形状のナノ粒子の会合体の熱成形が可能となることが示唆された。酸化グラフェンは黒鉛を酸化させナノレベルまで剥離した炭素原子の単層シートで、プラスチックなどと混ぜ、次世代の蓄電材料やバイオセンサーなどへの活用も可能だ。

※…黒鉛を酸化させてナノレベルまで剥離した炭素原子の単層シートのこと

酸化グラフェン会合体の熱成形。 会合体からなるフレークの熱プレスにより一体成形シートを成形

資料提供:大阪大学 産業科学研究所 石岡助教

本研究を今後さらに発展させナノ粒子会合体の拡張性と成形性を拡充することで、ナノ粒子会合体が有する優れた特性の活用範囲が広がり、プラスチックでも金属でもない、新たな熱可塑性材料の実用化が期待される。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitterでフォローしよう

この記事をシェア

  • Facebook
  • Twitter
  • はてぶ!
  • LINE
  1. TOP
  2. トピックス
  3. ナフサの代替に! 木材由来のセルロース繊維からプラスチック様材料の形成に成功