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農業もスマート化!AIロボットによる野菜の自動収穫で人手不足に光明

最新鋭の自動野菜収穫ロボットが企業と農家に恩恵をもたらす

労働力不足に悩む日本の農業。待ったなしの対策が求められる中、神奈川県鎌倉市に本社を構えるベンチャー企業inaho株式会社が取り組んでいるのが、AIロボットによるスマート農業化だ。1月17日、国内有数のキュウリやアスパラガス農家を有する佐賀県鹿島市に初の拠点「鹿島オフィス」を開設。5月には野菜の自動収穫ロボットをリリース予定の同社。その取り組みがもたらす農業改革の真相に迫る。

危機的状況にある日本の農業に救世主登場!

スーパーや日々の食卓、飲食店のメニューなどに並ぶ色とりどりの野菜。これらは国内外問わず農家の人々の努力によって生産され、私たちはその恩恵を受けている。

しかし、1965(昭和40)年には1100万人を超えていた日本の農業人口は高度経済成長期とともに年々減少。近年は少子高齢化の影響もあり、現在はピーク時の1/7程度のわずか150万人ほどになっているという。さらに平均年齢は約67歳。49歳以下の割合は、なんと全体のわずか10%に過ぎないのが現状だ。

日本の農業従事者の平均年齢と年齢構成比を示すグラフ

人口減少社会の中、ただでさえ人材確保が難しい上、肉体的な負荷も大きいなど過酷な労働環境下にある農業。今後のおよそ10年で日本の農業人口はさらに半減するとの予測がされているほどだ。

単純計算でも、現在の収穫量を維持するには、1人当たりの生産量を倍にする必要がある。そこで、AI(人工知能)ロボットによる農業の自動化を目指す動きが国内で加速している。

実際にキャベツやタマネギなど、これまでも収穫に農業機械を使用してきた露地野菜では、すでに収穫用ロボットの実用化が進行中だ。しかし、キュウリやナスなどのハウス野菜は収穫対象の判別が難しいことから開発が遅れているという。

そうした背景の中、野菜の自動収穫ロボット開発を手掛けるinaho株式会社(以下、inaho)が、ことし5月から佐賀県でAI技術を活用した自動収穫ロボット(β版)20台の運用をスタートさせる。

この自動収穫ロボットは、アスパラガスやキュウリ、ピーマン、ナスなど複数の野菜を1台で収穫したり、作物の病害判定や土壌診断といった機能を拡張できるのが特徴だ。

開発中の自動収穫ロボットによる野菜の収穫を収めた動画

先だって公開された動画では、開発中の自動収穫ロボットが収穫に適したサイズに成長したアスパラガスやキュウリを選別し、収穫していく様子が確認できる。

自動収穫ロボットは、搭載したカメラによって撮影された野菜が収穫時期に適しているかを判断。収穫時期と判断された場合は、刈り取りを行うという仕組みだ。この判断にAIを活用することで、従来難しいとされたハウス野菜であっても、人間と同様の収穫作業が可能になった。

画像認識精度は、ナスであればヘタの形までをも認識できる性能だという

葉っぱなどによって一部情報が欠落している場合は、認識部分の形状から隠された部分を予測する補完技術も開発中

inahoではロボット1台につき約3人分の労働力を得られると試算。自動収穫ロボットの導入によってエネルギーの効率化、人的負担の削減と農家の所得向上を見込んでいるという。

また、こういったシステムや機械は便利だが導入コストの問題で、実際に活用されるにはハードルが高いこともある。しかし、今回はロボット自体は無料提供され、収益に応じた利用料を払えばいいシステムとなっているのが画期的だ。

inahoの描くRsss(ロボットのサービス化)によるビジネスモデル展開図。自動収穫ロボットは無料で提供し、農家は収益(収穫量×市場取引価格)の15%を利用料として支払う。農家は安定した労働力を得られると同時に、雇い入れる人件費の削減にもつながる仕組みだ

すでに2018年10月より野菜収穫の自動化(自律走行しながら野菜を収穫する)実証実験を佐賀県で実施。夜間の無人収獲や複数のハウスを連続して収穫するなどの成果が得られているという。

今後は車幅やロボットアーム収納時のコンパクト化、奥方向をさらに捉えるセンサーの検証など、実験で明らかになった課題の改善を進めていく方針とのこと。

地元農家の協力の下、培ってきた農業技術とAIが融合して世界でも最先端の農作業体系の構築を目指す日本ベンチャー企業のチャレンジ。もしかすると、inahoが日本の農業を救う“リアル佃製作所”になる日が来るかもしれない。

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