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水分を含んだ丸太がそのまま燃料に!新技術を用いた木質バイオマス発電が来春稼働

林業再生の切り札に!日本でも例を見ない生木を使った発電システムとは

木材を燃焼させることでエネルギーを生み出す木質バイオマス発電。日本各地での普及が進んでいるものの、実は地方の林業関係者への恩恵はことのほか少ないという。そうした中、三重県のベンチャー企業が山の中から切り出したままの丸太を燃料とする画期的な発電所建設を発表。日本の林業界を活気付け、これからの木質バイオマス発電をリードしていく可能性を持つ新しい取り組みをご紹介する。

丸太燃料が切り開く、バイオマス発電の新たな形

かつて木材を主要エネルギーとしていた日本。その需要に応えるように山には多くの樹木が植林され、伐採・加工が繰り返されてきた。

しかし、それも今は昔。日本各地には多くの手付かずの山林が取り残されている。

林野庁によると、日本の森林面積は約2500万ha。この数字は約50年前からほぼ変わらないのだが、現在問題視されているのが森林蓄積の数字だ。森林蓄積とは樹木の幹の体積を表すもので、数値が高いほど生育した樹木が多いことを示している。1966(昭和41)年の森林蓄積が18億8700万m3なのに対し、2017(平成29)年は52億4100万m3と約2.7倍に増えている。

つまり、50年前と比べ“森林資源を有効に活用できていない”ということだ。

植林されたスギ。適度に間伐を行わないと日光が遮られてしまうため生育が悪くなってしまう

そこで注目されているのが、木材を使ってエネルギーを産出する木質バイオマス発電。

燃料となるのは、余剰な樹木を切り倒すことで生じた間伐材はもちろん、製材工場の残材や木造住宅を解体した際の建築廃材など。それらを加工して作られる木材チップを燃やし、発生した水蒸気でタービンを回して発電している。現在、全国各地で80カ所を超える木質バイオマス発電所が稼働しており、着工予定や構想段階を含めればその数は200カ所を超える規模だ。

木質バイオマス発電にはいくつかのメリットがある。

まず、前述データが示す通り、余剰傾向にある森林資源を有効活用できること。林野庁によると、伐採された木材が未利用のまま残置されている量は年間約2000万m3。それらを燃料として使えば残置量が減るのはもちろん、森林蓄積を減らすことにもつながっていく。

次に、化石燃料と比べて燃焼時の二酸化炭素排出量を抑えられること。木材が燃焼する際にも二酸化炭素は発生するが、排出する二酸化炭素は木が成長する際に吸収したもの。つまり、大気中の二酸化炭素の量が変化しないカーボンニュートラルという考えに当てはまる。また、発電所建設で雇用が生まれて地域活性化にもつながる。

このような点から、日本では増加傾向にある木質バイオマス発電所だが、問題点もある。

それは燃料材の8割以上を木材チップが占めている点だ。燃焼効率を考えた際、木材チップの水分量は20%以下にしなくてはならない。しかし、生木の水分量は50~60%と高いため、乾燥させる工程が必要不可欠となる。さらに木材チップへと破砕加工する際のコストを考えると、林業関係者へ支払われる丸太の買い取り価格も安くなってしまう。伐採に掛かる人件費や輸送費などを考慮すると、買い取り価格に対応できない地方が数多くあるという。

その問題を解決するべく開発されたのが、三重県のベンチャー企業・レッツ株式会社が建設を予定している丸太を燃料とする発電所だ。

三重県四日市市内のプラントで丸太燃焼の実証が行われている

三重県大紀町の公園跡地に建設、来春の稼働を予定しているこの滝原丸太発電所。

長さ2m以内の丸太であれば、水分を含んだまま燃やすことができるという。3年ほど前から丸太燃焼の有効性実証に取り組んだ結果、ネックだった水分を燃焼炉内で蒸発させ、800度以上の水蒸気(過熱蒸気)とすることに成功。高い熱伝導率を達成し、燃費の向上や燃料コストの削減につなげている。出力は1990kwで、一般家庭2000世帯分の電力を発電できる計算だ。

水分を含んだ丸太でもそのまま燃やすことが可能

丸太をそのまま使ったエネルギー産出事業に、地元林業界からの期待も高い。現在、丸太の買い取り価格は1t約7500円だが、同社では約8500円を提示。これは、丸太を使う場合の燃料費が木材チップに比べて安いことに起因している。

通常、燃料費としての木材チップはkg15~20円が相場だが、丸太だとkg5~7円で計算できる。つまり、燃料費の削減分を買い取り価格に還元しているのだ。

さらに、丸太以外にも竹を燃料として発電することも可能だという。竹の成長スピードは木よりも格段に速く、地下茎さえ残しておけば約2年で燃料として使用できるサイズになる。そのため、まとまった量の丸太の確保が難しい地域でも木質バイオマス発電に取り組めると注目されている。

豊かな森林資源に恵まれた日本。丸太を使った木質バイオマス発電所の登場により、衰退していた林業分野に明るい兆しが見えるかもしれない。

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