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脱炭素社会実現のカギ!「カーボンリサイクル」を3分解説!

回収したCO2を再利用して化学品や燃料などを製造する技術

エネルギーの注目キーワードを3分で理解!今回のテーマは「カーボンリサイクル」。不可避に排出されるCO2を活用して製品を作る技術とはどのようなものなのか。最低限知っておきたい「カーボンリサイクル」のポイントを解説します。

カーボンリサイクルはCCUの一形態

さまざまな分野において脱炭素化に向けた取り組みが進む中で、CO2を回収し再利用して、化学品や燃料、コンクリートなどを製造する技術に注目が集まっています。これを「CCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)」と言います。

CCUは、分離回収したCO2を利用することで、従来製造に用いられていた化石燃料を代替することができます。

CCUの中でも、回収したCO2を炭素資源と捉え、多様な炭素化合物として再利用する技術のことが「カーボンリサイクル技術」と呼ばれています。つまり、カーボンリサイクルはCCUの一形態と言えます。

似た言葉として、「CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)」がありますが、これは分離回収したCO2を地下深くに貯留することで大気への放出を防ぐ技術です。

CO2を分離回収するところまではCCUもCCSも共通ですが、それより下流の特性は異なります。

社会実装に向けたロードマップ

日本では、2019年6月に「カーボンリサイクル技術ロードマップ」(2021年7月に改訂)が策定され、カーボンリサイクルという言葉が注目を浴びるようになりました。

同ロードマップでは、現状、2030年、2040年以降と3つのフェーズに分けてカーボンリサイクル技術の目標や技術課題などをまとめています。

現状はフェーズ1である「カーボンリサイクルに資する研究・技術開発・実証」に着手する段階にあります。

2030年ごろから普及を目指す技術として、ポリカーボネート(化学品)、合成燃料やSAF(燃料)、コンクリート製品やセメント(鉱物)製造などへの利用が挙げられ、2040年以降はさらなるコスト低減や消費の拡大を見込んでいます。また、2040年以降はより需要が多い汎用品の技術普及を目指すとしています。

2023年6月には、技術に限らない総合的なロードマップとして、「カーボンリサイクルロードマップ」が策定され、カーボンリサイクルの意義やカーボンリサイクル技術の社会実装に向けた国内の取り組み・国際協力がまとめられています。

カーボンリサイクルを産業として育てる

カーボンリサイクル技術の確立に向けて、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、「カーボンリサイクル実証研究拠点」(広島県大崎上島町)を2022年9月に開所しました。

研究拠点では、大崎クールジェン(石炭ガス化燃料電池複合発電とCO2分離回収技術を組み合わせた革新的低炭素石炭火力発電の実現を目指す実証事業を行う大崎発電所)で分離・回収したCO2をパイプラインで輸送し、そのCO2を利用したカーボンリサイクルに関する技術開発や研究が行われています。

例えば、研究テーマの一つとして、CO2を有効利用したコンクリートの適用範囲拡大に向けた技術開発が行われました(2022年度終了)。

CO2有効利用コンクリートは道路ブロックなどで実用化済みですが、その適用範囲をダム・河川構造物やビル・橋などへ拡大するための実証研究です。

この他に現在、研究拠点では10のテーマについて研究が進められています。

また、2019年8月には、民間企業などを主体とした「一般社団法人カーボンリサイクルファンド」が設立され、カーボンリサイクルに関する研究助成活動や広報活動などが実施されています。

カーボンリサイクルを産業として育てていくためには、技術開発に加えて、認知度を高めるための普及啓発や人材育成、CO2排出者と利用者をつなぐ産業間の連携の強化が重要です。

参考:
・柴田善朗「CCU・カーボンリサイクルに必要な低炭素化以外の視点―CCUSという分類学により生じる誤解―」
https://eneken.ieej.or.jp/data/8821.pdf
・水野有智「カーボンリサイクル:CO2を利用する循環エネルギーシステム」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2021S/0/2021S_17/_pdf/-char/ja
・経済産業省「カーボンリサイクルロードマップ」
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_recycle_rm/pdf/20230623_01.pdf
・経済産業省「(別冊1)技術ロードマップ」
https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/carbon_recycle_rm/pdf/20230623_03.pdf

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