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「カーボン・オフセット」を3分解説!

削減できない温室効果ガスの排出量を埋め合わせる方法

エネルギーの注目キーワードを3分で理解! 第12回のテーマは「カーボン・オフセット」。努力だけではどうしても削減できない温室効果ガスの排出量を抑える仕組みとは? 最低限知っておきたい「カーボン・オフセット」のポイントを解説します。

カーボン・オフセットとは、温室効果ガスの削減手段の一つ

カーボン・オフセット (carbon offset)とは、企業や個人などの活動によって排出される温室効果ガスを、できるだけ削減する努力を行ったうえで、どうしても削減できない分の全部あるいは一部を、他の場所での削減・吸収活動で埋め合わせる(オフセットする)という考え方です。

他の場所での削減・吸収活動とは、例えば森林管理や再生可能エネルギーの利用、高効率な省エネルギー機器の導入などが挙げられます。

これらの活動によって削減・吸収された温室効果ガスは、決められたルールに基づいて定量化され、「クレジット」という形で市場取引が可能になります。

例えば、企業がこのクレジットを購入し、自社の排出量をオフセットすることができるため、クレジットの売買によって削減・吸収事業に資金が流れ、取り組みがさらに活性化していくことも期待されています。

もちろん、市民や企業、団体、自治体などが、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、まずは主体的な削減に努めることが、カーボン・オフセットの大前提です。

この欧米で活発なカーボン・オフセットは、日本でも民間を中心に取り組みが広がっています。

日本のカーボン・オフセット

日本では、環境省が2008年2月に「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」を取りまとめ、カーボン・オフセット フォーラムを設立しました。

また、クレジットを認証する制度として、現在はJ-クレジット制度が国により運営されています。

日本の場合、クレジットを利用した主な取り組みは、次のものが挙げられます。

(1)オフセット製品・サービス
(2)会議・イベントのオフセット
(3)自己活動オフセット
(4)クレジット付き製品・サービス
(5)寄付型オフセット

例えば(1)は、製品の製造・販売事業者や、サービス提供者などが、製品やサービスにおける製造、流通、消費といったサイクルを通じて温室効果ガスの排出量を埋め合わせる取り組みです。

また、(2)はコンサートやスポーツ大会、国際会議といったイベント主催者などが、その開催に伴って排出される温室効果ガスの量を埋め合わせる取り組みを指します。

個人レベルの排出量を削減する手段

日本が掲げた「2050年ネットゼロ」という野心的な目標を達成するには、企業や自治体、団体のみならず、個人レベルで一人一人が温室効果ガスの削減に取り組む必要があります。

そのためには、まず自分の排出量を知り、日常生活を見直して排出削減に向けた努力をできる限り行うことが重要です。

そして、削減できない分をオフセットすることが考えられます。

最近は、カーボンフットプリント(CFP:ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算したもの)のように、排出量を分かりやすく「見える化」した情報を表示した商品やサービスも登場しています。

また、個人の排出量を見える化し、さらにオフセットしたい削減量に沿った森林保護などの投資先プロジェクトが提示されるアプリサービスも出てきています。

ただ、ここで忘れてならないのは、カーボン・オフセットをすれば温室効果ガスの排出が許されるわけではないということです。

これからの社会では、まずは日常的に自らの排出量を知ること、そして意識的に排出量の少ない商品やサービスを選ぶことが重要となるのです。

参考:
・環境省『カーボン・オフセット』
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/mechanism/carbon_offset.html
・カーボン・オフセット フォーラムホームページ
http://offset.env.go.jp/index.html
・J-クレジット制度ホームページ
https://japancredit.go.jp/
※参照:2021年6月22日

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