エネルギーの革新者

「EMIRAビジコン2020」最終審査開催! 全国の学生168チームの頂点はどのアイデアに?

「SDGs×エネルギー」をテーマにしたビジネスアイデアコンテストが終幕

「EMIRA」と「早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル(PEP)育成プログラム」(以下、PEP)がタッグを組んだ初めての学生コンテスト「EMIRAビジコン2020 エネルギー・インカレ」の最終審査が2020年2月22日に東京・日本橋で行われ、最終審査に残った5組がそれぞれのアイデアを公開プレゼンテーション形式で披露し合った。最も優れたアイデアに授与されるEMIRA最優秀賞に選ばれたのは、果たしてどのアイデアか? 最終審査の様子をレポートする。

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ビジネスアイデアの募集テーマは「SDGs×エネルギー」

2020年2月22日に東京・日本橋で、イノベーションを「エネルギー」という視点から読み解いて未来を考えるメディア「EMIRA」と、電力・エネルギー業界の人材育成を進める「PEP」が共催した学生コンテスト「EMIRAビジコン2020 エネルギー・インカレ」の最終審査が開催された。

「EMIRAビジコン2020 エネルギー・インカレ」の最終審査が行われた東京・日本橋の「早稲田大学日本橋キャンパス WASEDA NEO」

2019年10~11月の2カ月間にわたり、理系・文系を問わず全国の大学生・大学院生(高等専門学校生を含む)からビジネスアイデアを募集。今回の募集テーマは、2030年までの達成を目指す「SDGs」(持続可能な開発目標)に、エネルギーの視点から挑戦する「SDGs×エネルギー」だ。

“誰一人取り残さない”未来を創るSDGsに真っ向から向き合った全国の学生から寄せられた168のアイデアから、最終審査に残ったのは次の5つ。

1.「グリーンインフラ×空き家利用」Green Energy(明石工業高等専門学校、奈良工業高等専門学校)
2.「養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用」仲泊明徒(琉球大学 工学部 電気電子工学科※現、工学科)
3.「公共交通機関利用アプリによるSDGs観光」椙山女学園大学 現代マネジメント学部 現代マネジメント学科
4.「紫外線・光触媒・球を組み合わせたグリース・トラップ等悪臭除去システムの提案」プースカフェズ(北九州市立大学 国際環境工学部 エネルギー循環化学科)
5.「意外な新エネルギー!?を利用する車」K(金沢工業大学 情報フロンティア学部 経営情報学科)

最終審査の開始にあたり、「EMIRA」の亀谷潮太編集長から開会の挨拶があった。亀谷編集長は、今回の募集テーマの背景として、雑誌が一冊丸ごとSDGsの特集を組むといったように、近年急速にSDGsという単語が世間に浸透してきたことを言葉にした。

その理由として、企業がSDGsの価値観を取り入れて投資価値が高まったり、新しいビジネスを創出したりというビジネスの面から広がった点と、SDGsの価値観が今の時代の気分にマッチしているという点を挙げた。

「今の時代は、閉塞感を抱えながら生きている。そんな中で出てきたのが、このSDGS。一つ一つ取り組んでいけば持続可能な世の中をつくっていけるかもしれないと、今の時代の気分に合ったのではないかと思う」と亀谷編集長

続いて、PEPのプログラムコーディネータ―を務める林泰弘教授(早稲田大学 理工学術院)、東京電力ホールディングス 経営企画ユニットESG推進室の野村威室長、東京電力ベンチャーズの赤塚新司代表取締役社長、EMIRAの亀谷編集長の審査員4名に加え、特別審査員のC Channel株式会社の石井龍夫常勤監査役、CSR/SDGsコンサルタントの笹谷秀光氏の2名が紹介された。

熱を帯びる5者5様の公開プレゼンテーション

いよいよ公開プレゼンテーションがスタートした。

トップバッターは、Green Energyによる「グリーンインフラ×空き家利用」のプレゼンテーション。空き家に太陽光パネルを設置してEV(電気自動車)の拠点にし、送電網が発達していない地域の電力供給源にする共に、雨水をろ過して貯水も行うなど用途を増やし、さらに地域のコミュニティスペースとして活用することで地域活性化にもつなげる、というアイデアだった。

チームリーダーが体調不良で急きょ欠席になるなどアクシデントに見舞われたものの、吉村勘太郎さん(奈良工業高等専門学校)は堂々たるプレゼンテーションを見せてくれた

続いては、個人で応募した琉球大学 工学部 電気電子工学科(現、工学科)の仲泊明徒さんが発表。海藻など海洋生物による二酸化炭素が吸収される仕組み「ブルーカーボン」に着目し、海藻を養殖して海域での二酸化炭素吸収量を増やすシステムを整えながら、ウニ養殖の飼料、バイオマス燃料、肥料としても活用していくビジネスアイデアを披露した。

二酸化炭素の回収・利用について、陸上の植物ではなく、海の藻類に着目した「養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用」のプランを解説した仲泊明徒さん

3番目に登場したのは、椙山女学園大学 現代マネジメント学部 現代マネジメント学科の4人。彼女たちが考えたのは、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)アプリの活用だ。

バスや電車など、複数の公共交通機関の利用料を個別に支払うのではなく、全てのモビリティを一つのサービスとして捉え、アプリ内で目的地までの最適なルートと料金の検索、決済までを済ませられる“切符アプリ”だ。交通だけではなく宿泊施設、観光施設との連携や広告収入、利用者のビッグデータの販売までを視野に入れたものだった。

フィンランドでは実用化、日本でも千葉・柏の葉で実験がスタートしているなど注目が集まる仕組み。これを地元・愛知県で取り入れたモデルを発表した(左から)池田帆乃香さん、塩崎有紗さん、浅井那月さん、山田恵里さん

4番手は、プースカフェズによる「紫外線・光触媒・球を組み合わせたグリース・トラップ等悪臭除去システムの提案」。チーム代表を務める北九州市立大 国際環境工学部 エネルギー循環化学科の山手健矢さんが、大学内の生協でアルバイトしていたときの“気づき”をビジネスアイデアに昇華したものだ。

紫外線を当てた光触媒コーティング済みボールを用いて殺菌、悪臭分解を行うこのシステムは、既に学内外から補助金を得て実証試験を進めているそう。それを感じさせる山手さんのプレゼンテーションには、審査員席からも感嘆の声が上がった。

食堂の厨房には、排水に含まれる油脂分や残飯などを分離、収集するグリース・トラップという装置があり、厨房内の悪臭の原因となっていた。山手健矢さんのアイデアは、この問題を解決しようとしたのが始まり

最後の発表となったのは、金沢工業大学のチーム、Kのビジネスアイデア「意外な新エネルギー!?を利用する車」だ。アイデアの根幹は、二酸化炭素をエネルギー源としていくCCU(Carbon capture and utilization)と呼ばれる技術の一つ。二酸化炭素が動力の源泉となるスチームエンジン自動車を開発しようというもので、既存技術の組み合わせによる実現性の高さや、市場成長性の高さを訴えた。

空気中の熱を集めて大きな熱エネルギーに変換する「ヒートポンプ」を応用して、新しいモビリティを提案した金沢工業大学 情報フロンティア学部 経営情報学科の高橋克茂さんと香林亜美さん

5者5様のユニークな視点のビジネスアイデアに、質疑応答時にはいずれのアイデアに対しても審査員席から質問が収まらず、熱を帯びた公開プレゼンテーションとなった。

白熱した審査の結果、応募総数168組の頂点に輝いたのは…?

プレゼンテーションが終わり、審査員と特別審査員の6名は、別室で審査を開始。審査時間は当初の予定では25分間だったが、学生たちの予想を上回るビジネスアイデアに議論が白熱。予定を大幅に超える約50分の議論の末、ついにEMIRA最優秀賞が決まった。

EMIRA最優秀賞を授与されたのは、「養殖藻場によるブルーカーボンの創造と活用」のビジネスアイデアを個人で応募した、琉球大学の仲泊明徒さん。「ブルーカーボン」から得た着想を幅広く展開している点と、多角的な内容を論理的にまとめた点が高く評価された。

賞品のアマゾンギフト券 30万円分を授与された仲泊さんは、「このような賞をいただけるとは思っていなかったので、光栄に思っています」と、緊張した面持ちで話した

ほか、KADOKAWA賞にGreen Energy、TEPCO賞にはK、優秀賞には椙山女学園大学 現代マネジメント学部 現代マネジメント学科とプースカフェズがそれぞれ選ばれた。

授与式を終え、PEPの林教授は、「審査に時間がかかりましたが、『SDGs×エネルギー』というテーマ性と、ビジネスアイデアの観点から選びました。アイデアをビジネスに昇華するときには、技術が必要となります。そこに皆さんのようなプレゼン力があれば、世界のどこに行っても通用します」と、学生たちを激励。

「これからの時代は博士でないと世界には通用しない。このイベントが将来を考える機会になれば」と林教授

最後は、初開催となった「EMIRAビジコン エネルギー・インカレ」について、「これからもっともっと広げていきたい。今回は168の応募がありましたが、今後はさらに応募数を増やして、“ロボコン”に負けないくらいの規模にしていきたい」と述べ、締めくくった。

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