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ゲーム×エネルギー思考の未来ビジネス

「ゲーム×エネルギー」をテーマにした多彩なビジネスアイデアが集結!

「EMIRAビジコン2026」最終審査を振り返る

2020年より続く「EMIRA」と早稲田大学パワー・エネルギー・プロフェッショナル育成プログラム(以下、PEP)の共催による学生ビジネスアイデアコンテスト「EMIRAビジコン エネルギー・インカレ」。今年で7回目となる本コンテストの最終審査に残った5チームによるプレゼンテーションが行われた。今回は、その模様を振り返りつつ学生たちが見いだしたビジョンの可能性に目を向けていきたい。

若い感性が光る個性豊かなビジネスアイデア

2026年2月14日、「EMIRAビジコン2026 エネルギー・インカレ」最終審査が、早稲田大学 リサーチイノベーションセンター(東京都新宿区)で実施された。

>第1回「SDGs×エネルギー」リポートはこちら
>第2回「食×エネルギー」リポートはこちら
>第3回「住まい方×エネルギー」リポートはこちら
>第4回「カーボンニュートラル×エネルギー」リポートはこちら
>第5回「モビリティ×エネルギー」リポートはこちら
>第6回「エンタメ×エネルギー」リポートはこちら

最終審査には、前年を上回る数のメディアが取材に訪れていた

今回は「ゲーム×エネルギー」をテーマに、全国の学生たちからアイデアを募った。
昨今、ゲームデザインの要素や仕組みをビジネス、教育といったゲーム以外の領域に応用した「ゲーミフィケーション」や、遊びを通して学びを得られる「エデュテインメント」(教育:Educationと娯楽:Entertainmentを組み合わせた造語)が注目を集めている。

これらの要素を取り入れ、例えばカーボンニュートラル社会の実現や地方創生といった社会課題に貢献することはできないか──。

そんな発想から生まれたテーマに、全国の大学生・大学院生から集まったビジネスアイデアの数は38。厳正な審査を経て、最終審査には5チームが進出した。

はじめに、5人の審査員を代表してEMIRAの亀谷潮太編集長が開会のあいさつを行った。「エネルギーの枯渇や環境面での問題もある一方、エネルギーは人類のイノベーションに欠かせない、すごくポジティブなものです。そういったエネルギーのワクワクした面に注目していただきたくて、今回のテーマを『ゲーム×エネルギー』としました。ゲームはゲーミフィケーションなど、行動変容をもたらす面白い媒体です。 そんな媒体と皆さんの若い感性が合わさったら、どんなビジネスが生まれるのか。とても楽しみにしています」

「EMIRA」の亀谷潮太編集長

続いて、東京電力ホールディングス株式会社 組織・労務人事室 人財・組織開発センターの岡本淳史所長、早稲田大学 政治経済学術院 政治経済学部の下川 哲教授、ゲームディレクターでファーレンハイト213株式会社の塩川洋介代表取締役、合同会社O l+d. CEOでMakaira Art&Designの大畑慎治代表の4人の審査員が紹介され、学生たちによるプレゼンテーションが始まった。

東京電力ホールディングスの岡本淳史氏

今回のテーマを選定した早稲田大学の下川 哲教授

ゲームディレクターでファーレンハイト213代表取締役の塩川洋介氏

合同会社O l+d. C CEOでMakaira Art&Design代表の大畑慎治氏

ゲームと共に成長した世代らしいアイデア

トップバッターは東京理科大学のチーム「桜!」の2人。“面倒な節電を、楽しいエネルギーマネジメントへ”をキャッチフレーズとした、エネルギー最適化ゲーム『タイモン』を提案した。

『タイモン』は、「面倒な節電」を「楽しいエネルギーマネジメント」へと転換し、全ての家庭を持続可能なエネルギー社会の能動的なプレーヤーに変えることをビジョンに据えた、スマートメーター連携の育成ゲームアプリ。エアコンの稼働率が最大化する猛暑日などに発生する電力需要逼迫(ひっぱく)を「モンスター襲来」に見立て、節電量を攻撃力に変換。同地域の仲間と共闘して、使用電力削減につなげる。

育成モンスターが一定レベルに達すると電気代を5%カットするなど、レベル連動割引制度や家族全員で楽しめるゲーム性といったユーザー側のメリットも考えられている

電力会社をはじめ、接続された家電の電源のオン/オフや各種設定を遠隔で操作できるスマートプラグメーカーのビジネスモデルなど、細部まで目の行き届いた資料とともに語った。審査員からは「心理的動機付けと経済的合理化を足し算で実行させようとしているのが素晴らしい」といった声が上がった。

エネルギー最適化ゲーム『タイモン』を発表した東京理科大学・チーム「桜!」

続いて、早稲田大学と芝浦工業大学の合同チーム「わせぷろ」による『守れ!サステナブルシティ』のプレゼンテーション。

冒頭で、「子どもたちにゴミ分別の大切さを教え、今後1000年続く日本をつくります」と頼もしく宣言した彼らが、クイズも交えて提案したのは、ゴミ分別の複雑さに頭を悩ませている人たちに向けた、パズルゲームを通して適切な分別方法を学ぶアプリケーション。

ゴミ分別に関するクイズコーナーからプレゼンをスタート

パズルゲームの要領で、ゴミ分別により引き起こされるサーマルリサイクルによるCO2の発生や水分量の多いゴミが引き起こす電力効率の低下といった問題を解決するため、ゲームで「水分を切る」「汚れを洗い落とす」といったアクションを行うと、ゴミが消えていく。

教育機関を中心に、子どもたちに遊びながら正しいゴミ分別の知識を習得してもらい、実生活でも実行できるようなスキームを提案。また、マネタイズ方法として、飲料水メーカーとのタイアップで、バーコードを読み取るとゲーム内に購入した飲料水がパズルとして登場することで広告宣伝費を獲得するアイデアも披露した。

審査員からは「飲料水を購入することでペットボトルのゴミが増えるのでは」などの意見も飛び出した。

『守れ!サステナブルシティ』を発表した早稲田大と芝浦工大の合同チーム「わせぷろ」

明治大学のチーム「HARVEST」は、プレゼンにミニコントを交えて会場を沸かせた。彼らの発表は、小学生をターゲットとしたすごろくスタイルのテーブルゲーム『バランスデンキ』のデモンストレーションからスタート。

プレーヤーは電気事業者となって、進んだマスに記されている指示に従い、発電量と消費電力のバランスを取る。進んだマスによっては、「政府補助金の獲得」や「大規模寒波の襲来」といった電力バランスが変動するイベントが発生する。

ボードゲーム上におけるトラブルになぞらえたミニコントで、親しみやすい発表に

ドイツでは「再エネ急拡大型」、フランスでは「原子力大国」といった、各国ごとの発電特性を反映したモデルを展開し、ボードゲームが盛んなドイツとチェコで暮らした経験のある2人ならではの視点が光った。審査員からも「最初からグローバル展開を狙うのも一考」といった講評が聞かれた。

ボードゲーム『バランスデンキ』のアイデアを発表した明治大学のチーム「HARVEST」

早稲田大学のチーム「愛は世界を救う」は、これまでのゲーム主体のアイデアとは異なり、発電システム内蔵の『推しの光を創る 振り回し発電式サイリウム』を提案。

現在、新たなマネタイズが可能な消費モデルとして注目を集める“推し活”の中で、サイリウムと呼ばれる使い捨ての発光体を大量に消費することで知られるアイドル界隈。ライブ終了後には、会場に設けられた専用ゴミ箱に大量のサイリウムが捨てられる実状に着目し、振り回すことで発電・発光するLEDペンライトを各アイドルのライブグッズとして製作・販売するというアイデアだ。

「ゲーム×エネルギー」の要素として、発電量を可視化するアプリと併せてファンの応援をゲームメカニクスで拡張。ライブ演出に組み込むアイデアだ

アイドルのライブ会場へ足を運び、実際のユーザーとなるコアファン層や芸能プロダクションのスタッフへの聞き取りなどのフィールドワークを行ったことも報告した。

審査員からは「ライブ会場側が購入し、観客に貸し出すのはどうか」というアイデアも飛び出した。

『推しの光を創る 振り回し発電サイリウム』を提案した早大のチーム「愛は世界を救う」

審査ポイントは“目的とゲームのバランス”

そして、最後は九州大学のチーム「MD」が「エコバッグの継続利用推進アプリ『TSUKUMO』」をプレゼン。最終的に同チームが「EMIRA最優秀賞」に選出されることとなった。

※チーム「MD」による『TSUKUMO』の詳細は第1週の記事を参照:「EMIRAビジコン2026」最優秀賞! エコバッグを使うのが楽しくなる育成アプリとは

EMIRA最優秀賞に輝き、下川教授から賞状を受け取るチーム「MD」

審査員の下川教授は、「今回で7回目を迎えるEMIRAビジコンですが、あまりエネルギーになじみのない方にも、ゲーミフィケーションで親しみを持ってもらおうという目的で、行動変容などを目指してこのテーマを設定しました。審査は、ゲーム・エネルギー・ビジネスという3つの軸で行いましたが、『MD』のアイデアは目的とゲームのバランスが良く、最優秀賞に選出しました」と述べた。

受賞した「MD」の末永千絢さんは「自分が担当したキャラクターの部分を褒められたところは、素直にうれしいです。今回のビジネスコンテストを通して、エネルギーの使い方などにもしっかり向き合えたように感じています」と喜びを語った。

その他の受賞結果は、KADOKAWA賞に「愛は世界を救う」、TEPCO賞に「HARVEST」、優秀賞に「桜!」と「わせぷろ」となった。

下川教授は総評で、「エネルギー問題や環境問題も含めて、興味を持ってもらうきっかけとしてゲームはすごく有効で、どんどん新しいアイデアが出てくるなと実感しました。このコンテストに参加した皆さんが、新しいエネルギー活用の形を実現していくことを期待しています」と述べ、最終審査は幕を閉じた。

プレゼン終了後には合同取材&意見交換会を実施。学生同士が活発にそれぞれの発表への感想を語り合い、場の空気は大いに和んだ

学生たちにとって、なくてはならないものを掛け合わせた「ゲーム×エネルギー」というテーマだからこそ生まれた、さまざまなアイデア。

「EMIRAビジコン2026」に参加した学生たちが実現に向けて邁進することで、より親しみやすいエネルギー削減への近道が導き出されるかもしれない。

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