SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲット2を3分解説！

「SDG7.2」の達成基準は再生可能エネルギーの割合をどれだけ伸ばせるか

SDGs（Sustainable Development Goals）の目標7（SDG7）は、ゴールである「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」となる世界を実現させるため、具体的に3つの達成基準（ターゲット）を掲げています。

その2つ目が、今回取り上げる「2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる」（以下、SDG7.2）です。

※「SDG7.1」はこちら>>SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」のターゲット1を3分解説！

どれだけ拡大しているのかを測るために、SDG7.2では世界の「最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギー比率」を指標としています。

これは電気や石油製品、ガスなどを製造するエネルギー転換部門での損失を除く、産業、運輸、家庭といった各部門で最終的に消費されたエネルギー量に対し、再生可能な資源から得たエネルギー量が占める割合を指します。

なお日本では、エネルギー転換部門で生じる損失を含め、国が必要とする全てのエネルギー量（一次エネルギー供給量）に対する割合で算出しています。

拡大させるべきは現代的な再生可能エネルギー

SDG7.2で拡大させようとしているのは“現代的”な再生可能エネルギーであり、太陽光や風力、バイオマス、地熱、水力、廃棄物などから得られるエネルギーがそれに当たります。

例えば、太陽エネルギーには太陽光発電と太陽熱利用が、バイオマスエネルギーには木材・廃材利用、バイオ燃料（バイオエタノール、バイオディーゼル）、黒液、バイオガスなどが、地熱エネルギーには地熱発電と地熱直接利用が含まれます。

国際エネルギー機関（IEA）のデータによると、世界の「最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合」は2019年に10.8%となりました。

同じくIEAのデータで日本が基準としている「一次エネルギー供給量に占める再生可能エネルギーの割合」を見ると、世界での割合は2019年で13.8％です。

ただ、この13.8％には古くから調理や暖房に利用される薪（まき）や木炭もバイオマスの一種として含まれています。

それらを除いた現代的な再生可能エネルギーに限ると、2019年の一次エネルギー供給の割合は5.8％とまだ低い水準です。

SDG7.1で取り上げたように、伝統的なバイオマスは、特にサブサハラ・アフリカ地域（アフリカ大陸のサハラ砂漠より南の地域）やアジアの開発途上国で調理燃料として利用されています。

SDG7の目標達成には、世界中で現代的な再生可能エネルギーの普及に努める必要があるのです。

2030年に向けて掲げられたSDG7.2のマイルストーン

国連総会主催で首脳レベルの会合「エネルギー・ハイレベル対話」が2021年9月に開かれ、その成果としてSDG7の達成に向けた世界的なロードマップが公表されました。

SDG7.2に関しては、次のようなマイルストーンが表明されています。

・現代的な再生可能エネルギーの設備容量を世界で2025年に倍増、2030年に3倍にする
・世界の再生可能エネルギーとエネルギー効率への年間投資を2025年に倍増、2030年に3倍にする
・化石燃料消費に対する補助金を再生可能エネルギーやエネルギー効率へと振り向ける
（2021年11月3日、国連事務総長発表より抜粋）

先進国や途上国を問わず、世界の国々が3E（Energy Security：エネルギーの安定供給、Economic Efficiency：経済効率性、Environment：環境への適合）の観点からバランスの取れたエネルギーミックスを目指し、再生可能エネルギーの利用を積極的に拡大していくことが一層求められていきます。

参考：
United Nations, SDGs,
United Nations, High-level Dialogue on Energy New York, September 2021,
IEA (2020), SDG7: Data and Projections, IEA, Paris