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未来のEVスーパースポーツカーはボディー自体に蓄電する!

進化した蓄電システムが車の常識を変える

ランボルギーニがボディーに電力を蓄電するEV(電気自動車)デザイン・コンセプトカーを公開、その開発を発表した。車のエネルギーサイクルを変える画期的な蓄電システムを搭載したこの車。果たしてEVの未来となりうるか注目だ。

これが未来のスーパースポーツカーだ

まずはこちらの動画を見ていただきたい。


「ランボルギーニ・テルツォ・ミッレニオ」公開時の様子

この動画に映し出されているのは、イタリアの高級カーブランド・ランボルギーニが11月7日に披露したEVデザイン・コンセプトカー「Lamborghini Terzo Millennio(テルツォ・ミッレニオ) 」。

このデザイン・コンセプトカーが示すのは、ズバリ未来のスーパースポーツカーのカタチだ。

デザイン性やパワフルな走行性能は従来のランボルギーニの特徴を踏襲。その上で、テクノロジーの進化に対応して独特のY字形の形状を進化させるなど、将来のデザインとテクノロジーの姿を具体的に描いて開発されているのがポイントだ。

さらに今回のプロジェクトで注目なのは、蓄電システムと材料科学における革新的なイノベーションの実現を目的としている点。

これにより「ランボルギーニ・テルツォ・ミッレニオ」には、EVの蓄電池として使用されるリチウムイオン電池が存在しないというから驚きだ。

このEVのエネルギー革新を実現するため、これまでにノーベル賞受賞者を数多く輩出してきたアメリカの名門校、マサチューセッツ工科大学(MIT)の2つの研究所と提携した。

同社CEOのステファノ・ドメニカリ氏はMITとのコラボレーションについて、「これまでランボルギーニが得意としてきた“スーパースポーツカーのルールを書き換える”この上ない機会」とその意義をコメントしている。

重量と体積という蓄電池の問題点からの解放

「ランボルギーニ・テルツォ・ミッレニオ」にはバッテリーの代わりとして、電池と比べて
1.高出力の放電や短時間で充電が行える
2.放電・充電による劣化が少ない
ために、製品寿命が長いなどの特徴を持つスーパーキャパシタ(電気を蓄えることができる蓄電装置・コンデンサの一種)を利用したエネルギーの蓄電と使用が検討されている。

スーパーキャパシタや小容量のキャパシタの車への導入自体は、5年前同社の「V12アヴェンタドール」に低電圧スーパーキャパシタが搭載されたように、他メーカーを含めて一部では既に始まっている。

しかし、それはエンジン始動時のスターターモーターやウインカーなどの電装品の電源として用いられる程度と極めて小規模なもの。

「ランボルギーニ・テルツォ・ミッレニオ」は次のステップとして、高出力と運動エネルギー回生と車の耐用年数期間内の経年劣化を極力抑えつつ、電力の放出と回収を実現する蓄電システムの開発を目指しているのだ。

そして「ランボルギーニ・テルツォ・ミッレニオ」はボディー素材にカーボンナノファイバー(炭素繊維)を採用することで、ボディーと蓄電装置を一体化しようという試みがなされている。つまり、ボディーをスーパーキャパシタとして利用しようというわけだ。

ボディーを蓄電デバイスとして使用するという大胆な発想に注目

高出力で小型・軽量といわれるリチウムイオン電池であっても、EVに搭載されるその重量は何百kgにも及び、高い運動性能が要求されるスーパースポーツカーには適していない。また、それを格納するだけのスペースを確保する必要もある。

仮にボディーを蓄電デバイスとして使用できれば、重量の問題が解決され、高いパフォーマンスの維持ができ、かつ蓄電池の格納スペースが不要となることでデザイン性の自由度も高まる。まさに車においてのエネルギー革命といえる代物なのだ。

ただし、スーパースポーツカーにおあつらえ向きと思えるスーパーキャパシタにも、エネルギーを長時間保持することができない=蓄電量が少ないという問題点がある。

この点について、共同開発者の一人であるマサチューセッツ工科大学化学科のミルセア・ディンカ教授は「今回のプロジェクトによって既成概念にとらわれることなく、電動スポーツカーで要求される蓄電の課題に応える新素材の設計に取り組むことができる」とその解決に向けて前向きなコメントを発表している。

問題の完全解決にはまだまだ時間を有すると考えられるが、未来のスーパースポーツカー開発に向けて確かな第一歩を踏み出したランボルギーニ。高級ブランドカーだけにおいそれと手に入る代物ではないが、システムは他車への流用も可能なはずだ。

未来のEVでこのシステムがスタンダードとして採用されていたら…。それがランボルギーニ発だと考えると、不思議と高級感が味わえるのではないだろうか?

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