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レトロポップなデザインが話題! シトロエン発の2人乗りEVモビリティ「ami」がデビュー

ヨーロッパで普及する超小型モビリティのEV化から見えてくる未来のエネルギー展望

1回の充電での航続距離1000kmを射程に捉えた電気自動車(EV)。ハイスペック化が進む一方、ヨーロッパで古くから愛されている超小型モビリティのEV化も盛んだ。創業101年を迎えたシトロエン社がことし2月に発表した「ami」もそのうちの一つ。往年の名車を思わせるデザインに加え、フランスでは免許不要で運転できる手軽さや値段の安さから注目を集めているという。日本でも今後の普及が期待される超小型モビリティのメリットとは何か、amiを通してひもとく。

古い街並みに映えるシトロエン社のami

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、長くなった在宅時間に動画配信サービスを利用してドラマや映画などを見ている人も多いかもしれない。

そんな人に、ある不朽の名作を1本おすすめしよう。

1979(昭和54)年に劇場公開されたアニメ「ルパン三世 カリオストロの城」だ。

宮崎駿監督が監督として初めて手がけた劇場映画としても知られ、目まぐるしい展開や複雑な人間ドラマ、心に染みる名ゼリフなど、40年以上経過した今でも根強いファンが数多く存在する時代を超えた名作。

詳しいストーリーは割愛するが、映画冒頭に展開されるカーチェイスシーンが今回の記事につながってくる。悪党から逃げるヒロインが運転するのは、フランスに本社を構えるシトロエン社の「2CV」。そして、それを助けようとルパンがハンドルを握るのは、イタリアに本社を構えるフィアット社の「500」。

どちらもヨーロッパを代表するクラシックカーだが、シトロエン社がことし2月に発表し、6月に配車予定のEV「ami」が、どこか2CVを思わせるフォルムやデザインだと話題になっているのだ。

シトロエン社が公開しているamiの公式動画。レトロポップなデザインが目を引く

amiは2人乗りのEVで、サイズは長さ2.41×幅1.39×高さ1.52(各m)。一般的な駐車場1台分のスペースが長さ約5mのため、同車なら2台止められる計算だ。わずか3.6mの最小回転半径を生かし、狭い道でもスムーズな運転を可能にしている。

しかもレトロで丸っこい外装に加え、サイドウインドウーを手動で上にはね上げて開ける仕組みなど、往年の名車を思わせる仕掛けが満載。随所に2CVを感じさせるデザインは、ヨーロッパの古い街並みに溶け込むこと間違いなしだ。

大人2人でも意外と広々と乗車できることが分かる(上)。ドアは互い違いに開く設計となっている(下)

モーターの最高出力は6kWで、最高速度は45km/h。5.5kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載しており、およそ3時間の充電で最大70kmの走行が可能だ。

技術の進歩により航続距離がどんどん伸びている中、amiはそこに重きを置いていない。

最高速度や航続距離を見ても分かる通り、街中でのちょい乗り需要に合わせた超小型モビリティとなっている。

ヨーロッパ、そして日本における超小型モビリティ

そもそも超小型モビリティとは、原動機付自転車(原付バイク)と同等以上、軽自動車未満の車両カテゴリー。1~2人乗りを基本とし、エネルギー消費量が少ない乗り物として知られている。

ヨーロッパ(EU圏)では古くから普及しており、車のサイズや最高速度などに特定の制限を設けることで、車の免許がなくても運転が可能。16歳以上(フランスは14歳以上)で運転が可能な点も特徴的だ。

かつては高齢者の需要が高く地味なデザインが多かった超小型モビリティも、近年ではEV化とともに若者にもそのマーケットを拡大。車の免許を取得するまで、または運転の機会が少ない人に人気が高まっているという。

amiは6000ユーロ(日本円にして約70万4000円、4月16日現在、1ユーロ117円で計算)で購入できるほか、月額19.99ユーロ(約2346円、初期費用を除く)で長期レンタルすることも可能。

さらに、カーシェアリングサービスでは、1分あたり0.26ユーロ(約30円)という格安料金で借りることもできる。

スマートフォンをダッシュボードのメイン画面にする設計。シンプルな造りにすることで、車両価格を抑えている

これは、ラストワンマイルを埋めるため、すなわち公共交通機関の駅から自宅など最終目的地までの短い距離の移動手段として使ってもらうための料金設定ともいえる。

amiのようなモビリティを使う人が増えれば、都市部への自家用車乗り入れ数が減少する。都市としてのエネルギー消費を抑えることができ、環境対策にも有効といわれている。

この動きは今後、日本でも加速しそうだ。

残念ながらamiのようなEUで販売されている超小型モビリティは現地の法規に照らし合わせているため、日本国内で販売されることはない。

日本では現在、使用者やエリアを限定する場合のみ、国内規格に合わせた超小型モビリティの走行が許可されている。しかし、ことし中にはその制限がなくなり、広く一般道での走行を可能にするための整備が国土交通省で進行中。それに合わせ、早ければ今冬にはトヨタ⾃動⾞から2⼈乗りのEVが発売される予定だという。

矢野経済研究所の調査によると、日本国内での超小型モビリティの販売台数が2025年には7000台、2030年には1万台に達する見込みだ。

ことし3月に矢野経済研究所が発表した「次世代モビリティの市場見通し」。今後の動向に期待がかかる

出典:矢野経済研究所

ハイスペック化と簡素化の2極化が進むEV。

街中でのちょい乗り需要に合わせた超小型モビリティの普及によって、車を取り巻くエネルギー事情も変わっていくのかもしれない。

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