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被災地でも迅速給電! TOYOTA×HONDAの強力タッグで生まれたバス発電所システム

FC(Fuel Cell/燃料電池)バスから電力を取り出し、小分けにして配布できる画期的な仕組みとは?

異常気象の影響もあり、台風の大型化や数年に一度と呼ばれるような大雨が常態化している日本。被災地にライフラインとなる電力を届ける手段の確立は喫緊の課題となっている。そうした中、FCバスと可搬型給電器&バッテリーを組み合わせたシステムで、場所にとらわれず安定した給電を目指す自動車メーカー2社の取り組みをご紹介する。

「電気のバケツリレー」で多くの人に電気を供給

9月6日から7日にかけて強い勢力のまま九州の西側を通過した台風10号。九州のほぼ全域を暴風域とし、大規模な停電が発生した。

また今回の台風に限らず、災害時には送電網がダメージを受け、一般家庭や避難所に電気が届かないという事態は起こり得る。被災地への安定した電力供給実現は、今後の大きな課題といえる。

そんな中、一つの解決策として期待されているのがEV(Electric Vehicle/電気自動車)をはじめとする自動車の発電機利用だ。電気が必要なところまで自動車を移動して給電できることは大きなメリットになる。実際、昨年の台風15号(令和元年房総半島台風)で千葉県が甚大な被害を受けた際には、トヨタ自動車株式会社や株式会社本田技術研究所などの各自動車メーカーがFCやPHV(Plug-in Hybrid Vehicle/プラグイン・ハイブリッド車)を派遣して避難所や個人宅で給電をサポートするなど、緊急時電源としての有効性を証明している。

そしてことし、トヨタとホンダという日本を代表する自動車メーカーがそれぞれの技術を持ち寄って、新たな移動式発電・給電システム「Moving e(ムービングイー)」を発表。

9月より自治体や企業の協力を得て、いつでも・どこへでも電気を届ける実証実験を開始した。

「Moving e」のイメージ動画

これまでにもロックバンドLUNA SEAのライブ(2017年)や米国の検査施設(2019年)などでコラボレートして電力供給をサポートしてきた両社。

「Moving e」で想定しているのは、巨大な電気の井戸から必要なところに小分けして配る、いわば「電気のバケツリレー」のようなサイクルだ。

ポイントは大きく2つ。

まず一つが、巨大な電気の井戸となるトヨタのFCバス「CHARGING STATION(チャージングステーション)」だ。ベース車両の「トヨタFCバス」と比べて、高圧水素タンクの本数を増やしたことで水素搭載量は約47kgとほぼ倍増し、航続距離も約200kmから倍の約400kmに延長した。
※2018年3月に販売を開始した量産型FCバス「SORA」の記事→「日本初!燃料電池バス「SORA」の販売がスタート」

また、給電口が1口から2口に増設され、最高出力18kW、発電量454kWh(200km自走した場合は約240kWh)という高出力かつ大容量の発電能力を備えるなど、給電能力を大幅向上させた。これは一般家庭における消費電力量の約1カ月分に相当する。

水素搭載量と給電能力がほぼ倍増された「CHARGING STATION」。加えて、車内には仮眠が取れるスペースが設けられ、災害発生時には休憩場所としても活用できる

そしてもう一つ、必要な場所まで電力を運搬するバケツの役割を担うのがホンダの可搬型外部給電器とバッテリーだ。

「CHARGING STATION」には、自動車から電気を取り出す外部給電器「Power Exporter(パワーエクスポーター)9000」が2台、大容量バッテリー「Honda Mobile Power Pack(ホンダモバイルパワーパック)」36個と「LiB-AID(リベイド)E500」20個が搭載されている。

これにより、燃料電池バスから電気を取り出して、必要な場所で電気製品に電気を供給することが可能になる。

災害などによる停電時に給電する役割を果たす「Power Exporter 9000」

可搬型バッテリー「LiB-AID E500」。「Power Exporter 9000」を介して、発電した電気をこのバッテリーにためることで、避難所などの屋内や車内で電気を使用する

さらにモバイルパワーパックの充電・給電器「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept(ホンダモバイルパワーパック チャージアンドサプライ コンセプト)」も36台積載している。

「Honda Mobile Power Pack Charge & Supply Concept」は、格納する「Honda Mobile Power Pack」を交換すれば、継続的な電気供給が可能になる

最大9kVAを出力する「Power Exporter 9000」はそのままでもエアコンなどの大型家電やパソコンを動かせるが、コンパクトな「Honda Mobile Power Pack」や「LiB-AID E500」に電気を小分けすることで、より多くの人や場所で電気が使用できる仕組みだ。

車内に積載される可搬型外部給電器とバッテリー

今回の実証実験では、派遣可能エリアを燃料電池バス対応の水素ステーションから100km程度に想定。災害対応の一助として被災地での給電活動を行うほか、イベントなど日常的な活用もできるフェーズフリーのシステムとしてのニーズや使い勝手も実証していくとしている。

線状降水帯や台風に加えて、ゲリラ豪雨など自然災害に悩まされている日本。

もちろん、被害がないことが一番だが、「Moving e」はもしものときに多くの人を支えるエネルギーを供給してくれるに違いない。

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